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無神経【エッセイ】一二〇〇字

朝カル「エッセイ講座」6月の課題は、「無神経」。わが国リーダーの「無神経ぶり」を書こうと思った。たとえば、星野源さんが公開した弾き語り動画に合わせソファでくつろぐ動画を流した、あの御方。あ、彼のブランドマスクもあった。「必勝しゃもじ」をお土産として持参した、あの御方。いまの無神経ニュースと言えば、ウィシュマさんへの「詐病かも」発言の維新参院議員・・・・嗚呼。ストレスが爆発しそうになる故、身の回りの話をば。
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 ウォーキングの最中。「アッと驚く為五郎~」と、ハナ肇も開いた口が閉まらないどころか顎が外れる光景を目撃した。総合病院前の横断歩道を渡ると、薬局前の歩道を塞ぐように、電動アシスト車が停められている。しかも、T字になっている点字ブロックの真上。トイレ事情で風雲急を告げていたなら、「千歩」譲ってわからないわけでもない。いや、黄色ブロックの真上では、やはり、理解不能。しかも、薬局の前。一秒を争うほどとも思えない。中に入って、注意をしようと思ったが、通り過ぎてしまった。後悔した。新聞への投稿も考えたが、こんなお方は、新聞も投稿記事も読まないだろうから、止めた。(そんな日の酒は不味いながらも)呑んで寛いでいると、またまた始まった。上の部屋の音が。
 私が住む集合住宅は、防音だけは優秀。お隣さんは、ワンちゃんと同居しているのだが、吠え声は、全く聞こえない。が、階上の騒音は別だ。私より十歳位下の、還暦越えのご夫婦が、真上にお住まいだったのだが、たまにお孫さんが来るのだろう、ドタドタと走っていると思われる音が響く。しかし、時折、菓子折りを持って挨拶にくるだけの気遣いがある住人。二十分程の我慢で、酒が旨く呑める(ツマミなら、さらに良いのだけど)。
 ところが最近、そのご夫婦を見かけなくなったと思ったら、鈍い音が。朝・昼・晩と定期的に、三十分位。小さな子の走る音ではない。運動をしているような音。昔、天井をネズミがよく走っていたが、ネズミとわかるので、ストレスにならない。ひと様は別だ。直接注意に行けば、殺人事件に発展してしまうのも、困る。管理室にクレームしようと考えるが、証拠を示せない。管理人が、その部屋のポストに注意書を入れたとしても、限界がある。せいぜい「上階の騒音に迷惑している方がいらっしゃいます」と知らせるレベル。気づく人種では、ない。
 自転車のお方や、天井人てんじょうびとさん達は、自分勝手すぎる。迷惑なんて一ミリも考えない人種だから、注意しても、馬耳東風だろう。想像力の欠如、無知であるが故の成せる業。嗚呼、嘆かわしい、と愚痴を言っているだけの自分が惨めに感じ、不味い酒を、呑みほすことになる。
 そんなワタクシではあるが、逆になることもある。
 ある日、「エッセイ教室」が終わり、その日は呑みの予定が迫っており、タクシーを探した。まもなく空車のサインが見え、手を挙げる。すると、60mくらい手前の駐車している車の影で手を挙げている80歳前後のご老人も手を挙げている。タクシーは、私の前でとまった。車の影でご老人が見えなかったのだろう。私は、そのまま乗車し待ち合わせの店に向かったのだった。なぜ、声をかけて譲ってあげなかったのかと、自責の念に駆られている。その日の酒は、むろん旨かろうはずが、ない。

(おまけ)

本日の新聞コラム比較

東京新聞朝刊(5月20日)
朝日新聞朝刊(5月20日)



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