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「巣ごもり」の成果Ⅱ【徒然文】

 「#検察庁法改正案に抗議します」のツイートが、大きなうねりを呼んだ。「一人でツイッター・デモ」と称して投稿した、広告制作に関わる三〇代の女性のツイートである。結果的に、政治を動かした。著名人が共鳴し、リツイートしたことも大きかっただろうが、五月八日夜に投稿し、四日間で、九〇〇万のリツイートがあったようだ(私もその一人)。
 彼女は、二年前からフェミニズムに興味を持つようになり、ツイッター仲間と女性の権利や社会問題について話すようになった。なので、政治の話をしても、「空気が壊れない」中にいた。が、政治的発言とは、無縁だった。
 そんな彼女も、コロナ禍でリモートでの在宅勤務になり、横目で国会中継を見ているうちに、「なにかおかしい」と思いはじめたようだ。そこで頭に浮かんだのが、「右も左も関係ありません。犯罪が正しく裁かれない国で生きていきたくありません。この法律が通ったら『正義は勝つ』なんてセリフは過去のものになり、刑事ドラマも法廷ドラマも成立しません。絶対に通さないでください」。
 彼女のツイートは、「一人でツイッター・デモ」、「右も左も関係ありません」と、組織に関わる者でないことを冒頭で押さえ、決して「アベやめろ」調の過激なものでなく、また、専門的な視点からの硬い文章でもなく、検察官が登場するテレビドラマをモチーフにした筆致になっている。広告クリエイターらしく、閲覧者が受け入れやすいように、工夫されていることも共感を呼んだ、と思う。
 「今回コロナのことで政治に興味を持つ人が増えたのも、『マスク二枚』『一人十万円』『犬と遊ぶ』『四日間は自宅待機』『九月入学』など、どれも自分ごと化しやすい具体的なストーリーやキーワードがあったからなんだと思います」とNOTEで書いている。そう、彼女もNOTE仲間。笛美さん、という。

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