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一枚のモノクロ写真【エッセイ】

 『村上ラヂオ』に、こうある。「セントラル・パークがなかったら、そんなにあの街には行かないだろう」と。その街に、図らずも、行くことになる。飛行機嫌いの、私が。
 平成最後の正月二日、秩父宮で早明戦をYさんと観戦した。彼は一つ下で、〝アラ古稀〟の独り身。起業前にいた会社の部下で、出身大学が同じという縁から、今も呑み友達だ。
 観戦中。「僕はパフュームの大ファンで、三月末に、NY公演に行くのですが、行きませんか? 」と。公演には興味はないが、私の会社を手伝ってくれた女性が、NYにいて、遊びに来るように誘われていた。
 Yさんが一緒なら、と思った。西海岸だが、彼は米国に二年滞在経験があり、心強い。空路十三時間さえ耐えられれば、と、決断。
 Yさんの目的は、他にもあった。四年前に八十七で亡くなった母上の生誕地が、NYで、その地を訪ねたい、ということだった。その彼の想いにも、後押しされる。
 セントラル・パーク北端先のウエストサイド辺り。手がかりは、母に抱かれる幼児の、一枚のモノクロ写真だけ。さて、『母をたずねて三千里』のマルコに、なれるか、どうか。
 ホテルから徒歩で二時間。桜には少し早いようだが、初春のパークの散策、楽しみだ。
 部屋では、ブルーノートで会うことになる、ボビー・マクファーリンが、流れている。


※画像は、ブルーノートで撮影したものです。残念ながら、「Don't Worry, Be Happy」は歌ってくれませんでした。しかし、生は、最高、でした!

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