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ほとけさまのおしえ「淀み」

 私が住んでいる田舎の近くに「大きな川」が流れております。

 上流のほうなので流れが「急峻」ですが、ところどころ「淀んでいるところ」もあります。

 そんな場所には小魚が休んでいたり、石の裏に「背虫」が膜を張っていたりします。

 そしてそういう魚や虫たちは、ゆったりと過ごし、またよく食べているのか身も大きかったりします。

 昭和の終わり、このあたりの田舎から都会に働きに出る若者は多くいました。

 東京や大阪や海外に羽ばたいて、「夢とやる気」を持って挑戦していきました。

 そんな中で「大企業」を勤め上げたり、寝る間も惜しんで「自営業」を頑張っている人もおります。

 その一方で、失意のうちに地元に帰ることもできずに地方で「細々と」命をつないでいる方もお見えになります。

 またストレスやハラスメントで精神的に「追い詰められた」方もおります。

 そんな様子を見ていると「夢と憧れ」には、「失望と現実」が影となって寄り添っているのだと実感するのです。

 仏教には「苦楽一如」(くらくいちにょ)という言葉があります。

 苦しみと悲しみは紙の表と裏のように「一緒に存在するんですよ~」という意味です。

 喜びには悲しみが、楽しみには苦しみが、期待には失望が、「常に寄り添っている」ということに気づいていない人は意外と多いのです。

 そして楽しくもドキドキもない「日常の毎日」が淀んでいるように見えても、実は幸せが隠れていることに気づけたら、「この瞬間」もありがたいと思えるのです。


☆今日の一句☆

 日常が
   ここにあること
         ありがたし

 

 

 

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