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[レビュー]Tritonlab/Infinity Bass preamp overdrive

■サンプル音源



■Feature 


•エストニア製のハンドメイド
•jFETを用いたチューブライクなサウンド
•4バンドEQ、ローパスフィルター、ノッチフィルター等の十分な数の調整ノブ
•9V/250mA電源で33Vへ内部昇圧し広いヘッドルームの確保
•トランスを使用したバランスドDI出力
•グランドリフトスイッチ搭載
•チューブ系歪みには珍しいブレンドノブ
•サウンドをタイトにし、パンチを追加することのできるコンプレッサー搭載
•高品質部品の使用

■使用感

チューブライクな歪みとは、実際言ったもん勝ち
なところがある歪みエフェクター界隈。
私自身歪みペダルを19台持っていて、そのうち真空管を実際に搭載したペダルが5台、ソリッドだがチューブライクなサウンドと言われているものが8台手元にある。実際真空管を搭載しているペダルと比較し、出音が真空管のソレと感じるものは2台しかない。その2台はCogEffects/Knightfall66 とTritonlab/Infinityである。Cogのペダルはチューブライクなどと謳ってはないがVoiceのつまみを触るとかなり近いサウンドが確認できた。Tritonlabに関してはjFETを用いてチューブライクなサウンドを出すとメーカーが自信を持って言っていたが、実際半信半疑だった。
実際ペダルが手元に届き歪みサウンドを確認すると、オッ!となった。

歪みサウンドについて
まずこのペダルはゲインを上げ歪んだサウンドをこのプリアンプの特徴としており、歪みありきのサウンドメイクを勧めている。多くのペダルはクリーンなサウンドチャンネルに対してフットスイッチを踏んで歪みチャンネルに切り替える仕様になっているが、このペダルはそれがない。
もちろんゲインを最小にするとクリーンなサウンドは出るがそれでは面白みもなく、このペダルの意図された音を出すことができない。
ゲインを少しずつ上げていくと少しずつ歪んでいくのがわかる。9時くらいのゲインで自然な気持ちの良い歪みが出始める。そこから12時まで上げると深く歪んだオーバードライブ、最大にするとかなり深い歪みを得ることができる。
どの状態でも真空管の歪みに近いサウンドが確認できた。細かな歪みの上に少し粒の大きい歪みがピッキングのニュアンスにより出力される。また温かみのある歪みである。実際に真空管を載せているEffectrode/Blackbirdに近いサウンドを確認できた。

ブレンドノブについて
チューブを搭載したペダルやチューブライクなペダルにはあまり見かけないブレンドノブがついている。このペダルのブレンドは原音とブレンドするか、若しくはコンプスイッチをオンにした際にコンプのかかった原音とミックスをすることができる。ブレンドノブはよく、歪みペダルの低音の削れを補正するのに使われるが、このペダルはそこではない。このペダルの歪みサウンドはEQで十分な低音を得ることができる。では何故ブレンドが必要なのか。私が思うに理由は2点ある。一つ目は音の輪郭の補正である。歪ませると倍音がかなり増え、ものによっては低音からミドルあたりが膨らむ様に感じられる。この膨らみを歪みの音量割合を減らして原音と混ぜることでサウンド全体をタイトにしてくれ、スラップをした際やよりミドル付近のアタックの欲しい時の補助をしてくれる。二つ目はコンプとのミックスのためである。

コンプノブについて
このペダルは製作者曰く、製作者自身のサウンドへのこだわり故に歪みではなくコンプ機能にスイッチを設けたようだ。
コンプといえば音を均一にしバランスを整えてくれるものとの理解が一般的だが、リリースやアタックの調整次第でパンチやタイトさを演出できる。コンプのスイッチをオンにしてブレンドにて歪みサウンドにミックスすると、よりサウンド全体がタイトになり更にアタック感も増す。
実際正直なところ私はこのコンプ自体は好きではない。オプトコンプなのだが音が固くOTA系のコンプな感じがしたし、コンプを強くするとアタックサウンドにパツッと言った破裂音が混じり、圧縮以外の他のつまみもないので音量も下がる。単体では好んで使いたくない。ただ、これが歪みサウンドとブレンドで混ざると破裂音はマスキングされ聞こえなくなり、通常の原音ブレンドより、よりタイトでコンプ独特のパンチ感を加えた輪郭のはっきりしたサウンドを得ることができる。デモ演奏の二曲目はファンクで細かな動きのある曲になっているが、このコンプ機能が大活躍してくれている。音の輪郭が強調され音がグダグダとせずにハッキリと出すことができた。オマケ程度に考えてもらいたい。

各種EQやフィルターについて
EQの各種の値については
BASS 80Hz、LoMid 250Hz, HiMid 750Hz, Treble 5kHzとなっている。
個人的にはLowはブースト前提。
ミドルについては250と750両方とも私の好きな位置にあり、250は実際にローとして聞こえやすい帯域だが場合によってはピーキーな変な膨らみを持つこともあるのでうまく調査たしたい。750はカットすると美味しいドンシャリサウンドを楽しむことができる。
トレブルの5kHzに関しては上げると歪みの倍音が際立ちよりエッジの効いたサウンドを得ることができる。このトレブルノブはローパスフィルターのノブとうまく組み合わせて設定したいところだ。ローパスフィルターは尖りすぎた高域を好きなポイントでうまく丸め込むことができる。
ある程度これらのノブでサウンドを作り上げたあとなったフィルターで400Hzをカットしたりしてみて全体の音を整えるのがいいのかもしれない。

まとめ
日本円にして約26,000円でこのスペックでこのサウンドのペダルが買えるのはかなりお得である。もちろん使い方をしっかり考えた上で購入した場合である。
個人的には歪んだサウンドをメインで使用してる人や、チューブライクなオーバードライブが欲しいという人には値段的にもかなりオススメできる。
コンプ付きのプリアンプで、歪みもついてる!という理解で買ってしまうと痛い目を見る。このペダルはどちらかというと、EQやフィルターが豊富でサウンドメイクの一環としてコンプがついているチューブライクな歪みペダルと考えた方がいい。
本物の真空管を搭載したペダルは重くて衝撃にも気をつけなくてはいけず、電源にも気を使う結構面倒なペダルなのでソリッドで真空管サウンドに近いペダルというのは結構リアルに選択肢に入るペダルである。

■後書き

このペダルとの出会いはスペインのベーシスト兼ペダルオタク兼YouTuberのJeanさんからの一通のメールでした。以下日本語訳
[オマエめっちゃいいペダル持ってんなメーン!オラの個人的お気に入りのメーカーの新作ペダルの比較レビューをして欲しいんだメーン! オマエがどんな感想をこのペダルについて持つのか知りたいんだっちゃ!]
こんな感じのが来て、メールを交わしてるうちに、スペインからドイツの私の家にペダルが届きました。
で、色々手元のペダルと比較してみるとアラいいじゃないコレ!となったわけです。
で、好きなポイントと嫌いなポイントを正直にJeanさんに全部話すと、彼そのままビルダーに伝えてたんですね全部。。。
で、今度はビルダーからメールが。以下日本語訳
[拙者は遥々エストニアからのトリトンラボのビルダーアレックスでござんす!ペダル上げるからYouTubeレビュー作ってちょんまげ!]
え、まじっすか!あざっす!頑張りマッスル!
と言った感じでこうなった次第です。他にもレビューしたいペダルがあったんですが、ペダルくれるならあんたを優先してやんよ!と全力で三日間編集とか頑張りやした!
最後に一言。
これ最後まで読まれた方だいぶ拗らせた変態ですよ。
以上



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