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その11 『よはく』と『対話』と『ポリシーメイキング』について


1 はじめに

 最近他職種の方と話をして分かったことがありました。
 ある組織では、約10年以上前から『業務の合理化・効率化』として、『スクラップアンドビルド』に取り組んでいました。
 既存の業務をスクラップしないと、新しいことをビルドする隙間ができないという考え方です。
 この組織は、ピラミッド型の組織故、一定の『対話』なしには、仕事が進みません。
 決裁の対象となる各級幹部に相対する時には『対話』相手である同僚らと良好な関係のもと、良質の対話を重ねて、理論を武装するがごとく積み重ねていきます。
 ピラミッド型組織は、決裁文化により、真に必要なことを厳選する力に秀でています。

2  『子どもを主語にする』

 教員の世界では『子どもを主語にする』ことで、何もスクラップできない状況があります。
 スクラップできず、ビルド、ビルドが積み重なった結果、『よはく』がなくなり、『対話』する時間が持てないのです。
 学校現場では、負のスパイラルが既に起こっています。
 教育界にスクラップアンドビルドの考えがないとは言いません。
 しかし、皆が『ばらばら』なのです。

3  一人一人の教育観

 『ばらばら』は聞こえの悪い言葉ですが、言い換えると、それぞれの教員が、各々の教育観を持っていると言えます。
 それが良しとされています。
 すべてがなんでも正解という雰囲気が作り出されています。

 教育観を盾に、これまでの経験を盾に、繰り返しになりますが、子どもを主語にすることで、自分を正当化できてしまうのです。
 
 更に自己研鑽を繰り返さなくても、浅はかな知識や考えで、我が道を突き進めてしまう側面があるのが、学校現場の課題です。

 そこで必要になるのが『ポリシーメイキング』です。

4  ポリシーメイキング

 今の社会は、『多様性』が重んじられるので、社会的には、何をやってもほぼ正解なのです。
 この『多様性』が、また一つ『(自由な)教育観』を後押ししているのだとも思います。
(誤解のないように…『多様性』は、素晴らしいです。)
 
 一つの学校、一つの教師集団となった時には、立ち返るべき『ポリシー』が必要です。
 決して、すべての『教育観』をよしとすることはできないのです。
 目の前にいる子ども達を想像した時に、その子ども達、全員が学べる学校を考えた時に、それぞれの先生が持つすべての教育観が正しいなんてことはあり得ません。
 目の前にいる子どもを見ずに、抽象化した子ども、絵に描いた子どもを見るのなら話は別ですが…そんなことは絶対にできません。
 知識偏重で、多数派の子どもだけを見るなんてことも絶対にできないことです。

 学校の置かれた状況、教師集団の特性、子どもの学力、家庭環境、教師や子どもの人間関係等々を総合的に捉えて、全教員で『対話』することで、本当に大事にしなければならないものが明らかになります。
 それが『ポリシー』です。
 
 先生達が、子どもの指導や、行事のスクラップ(ビルドも然り)、新しい学校のきまり(スクラップもビルドも)に行き詰まった際に、立ち返るべきポリシーを持つ必要があります。
 
 『私たちは、何を大事にして子ども達のことを考えてたっけ?』と、立ち止まって考え、立ち戻ることができるもの、それが『ポリシー』です。

5  おわりに

 『よはく』と『対話』と「ポリシーメイキング』は、どれからはじめるとかは、ありません。
 すべてが重要で、相互的に作用しています。
 『よはく』を意識することで、『対話』が近づいてきます。
 『対話』することで『ポリシー』ができあがっていきます。
 『ポリシーメイキング』には、『よはく』と『対話』が必要です。
 
 

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