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「交ざり合って、想像を超える未来を。」魅せるアイドルがファンを熱狂させ続ける理由

これまでに二つの記事で渋谷で見かけた、とある広告の話題を追いかけてきた。広告はアイドルのキャンペーンに関するものだったのだが、これが非常に面白かったので各記事を書かせていただいた。

ただ、この2つの記事でまとめさせていただいた内容以外にも、まだまだこの前後に隠れているものがあった。当初は広告のみにフォーカスしようと考えたが、そもそもこの一連の流れやコンセプトにも目を向ける必要があると考えた。

なので、今回はアイドル観点(作品)とプロモーション観点に分けてみようと思う。

そして、調べていくうちに、ファンがこのアイドルに熱狂する理由が見えてきた。それはファンを大事にする企業や個人にも言えることだと感じている。

少し真面目トーンにしたが、なかなか慣れなくて苦しんだので、時を戻そう....ではなく、元に戻そう(これがしたかっただけです、すみません)


アイドルのビジョン

まず、熱狂する理由に入る前に、アイドリッシュセブンのビジョンについて触れておく。というか、触れずにはいられない。

今では、企業や個人のどちらにせよ何かしらのコンセプトやビジョンを持って活動していることが多い。コンセプトやビジョンが無ければ、モノが溢れる世の中では差別化が図れなくなっている。

端的に言えば、だいたいのことが解決できる中で「うちの商品なら解決できるよ!」と、どの企業も口をそろえて言っているだけなのであれば、商品A、Bではなく、商品Aの色違いが生まれるだけ。華やかさが増すくらい。ビジョンについては下記のリンクや本の中で事例を交えて紹介されている。


それくらい大事なビジョンは、もちろんアイドリッシュセブンにもある。

「アイドルの創出」「2次元を超える」だ。

リリース当初から掲げられているものであり、実現させるために随所にその要素が散りばめられている。さらに、この二つのビジョンはどちらもファンを熱狂させる理由に大きく関わっている。


ビジョンのこだわりがファンを熱狂させる

作品観点から言えば、作品へのこのビジョンの反映がとにかく徹底されていることが筆頭に挙げられる。

広告にも言えることだが、傍から見てもグラフィックがとにかくクオリティ高くキレイだったり、登場するアイドルは完璧超人というよりは「弱さ」みたいなものがそれぞれにあって、リアルな「人間味」につながっている。

実際にユーザーの方もそういった反応を示している人は多い。

そういった細部の徹底ぶりから親しみやすさ、近さのようなものが生じて、「アイドルがそこにいる」と感じられる要因となっている。

2次元を超えて、そのアイドルの息遣い間近に分かるからこそ、会いたくなって没頭するし、没頭すればビジョンに基づく各要素が没入感を促進するといった非常に良質なループを作り出していると言える。

没入感が重要だという点では分かりやすい例で言えば、ディズニーランドを思い浮かべてみてほしい。

ディズニーランドに行くと、スタッフ/店員さんと言わなくなる魔法がかかり、「キャスト」と呼ぶようになる。さらに言えば、お客様は神様ではない、「ゲスト」だ。

また、他の建物が見えないように園内の作りを考えたり、入園時にはティンカーベルが魔法の粉までかけてくれるのだ。おそらく、先ほどの魔法はこの時にかけられている。

ディズニーランドも世界観(非日常を味わう)、没入感というものに最大限こだわっており、高い人気が結果となって表れている。

まさにアイドリッシュセブンはその没入感が担保されている。それにより、アイドルをすぐに感じられる、非日常を味わえる空間を体験でき、ファンが熱狂する理由の一つになっていると言える。

そして、この没入感は何も手の中だけはない。アイドリッシュセブンのプロモーションの巧みなところは、没入感をリアルの世界でもやってのけてしまうところにある。


リアルとデジタルの境を無くしたプロモーション

ここからはプロモーション観点になるが、最もすごいと感じる部分はここにある。4周年特設サイトの情報やアイナナファンの方にいろいろヒアリングさせていただいたところ、7月からの流れだけで大まかに以下のようなことをしている。

主な取り組み:WHAT'S NON FICTION / CROSSING x US / 2019ブラホワ

・7月6~7日 2nd Live@西武球場
・7月8日 「WHAT'S NON FICTION?」の広告群@西武池袋駅
・7月17日 4周年特設サイト公開(WHAT'S NON FICTION ビジュアル)
・8月4日~19日 「WHAT'S NON FICTION?」
        アイドル個別ビジュアル1人分ずつによる
        4周年カウントダウン
・8月20日 4周年「CROSSING × US」第1段 陸@渋谷 公開
        全部で5回に分けて掲出していく告知。
・9月23日 「CROSSING × US」第2弾 ZOOL@横浜
・10月21日「CROSSING x US」第3弾 Re:vale @新橋
・11月25日「CROSSING x US」第4弾 TRIGGER@新宿
・12月15日 #2019ブラホワ 全国ビジョン&渋谷6面サイレントジャック
       (メッセージ埋め込み)
・12月16日 「幕が上がる」掲出 @渋谷
・12月17日 幕→除幕→本広告
・12月23日 「CROSSING x US」第5弾 IDOLiSH7 @渋谷

まず、数だけ見ても多くのことをしているのが分かる。過去の記事にも挙げている部分があるので、詳細は述べないが一つ一つの施策のレベルはとても高い。

ファンのことを考えた内容になっているのはもちろんなのだが、全ての施策に共通して言えるのが、

アイドリッシュセブンの世界と現実の世界がリンクしており、二つの世界の境界を曖昧にしようと仕掛けていることだ。

アイドルの創出、2次元を超えるというビジョンがあるからこそ仕掛けていることなので、当然と言えば当然なのだが、これが見事にデジタルとリアルの融合というマーケティングで必要と言われていることにハマっている。

例えば、実際に存在する場所で撮影がされて、それを施策で使用する広告にしているという現実ではよくある過程を踏んで広告が作られていたりする。しかも、それがその地域の屋外広告などになって度々登場している。

どこかでこんなテイストを聞いたことがあるなと思った。そうだ。大ヒットした映画の「君の名」はである。あれもヒットした理由の中には実際に馴染みのある風景が出てきて、感情移入がしやすいといった要因があると聞いたことがある。

また、上記の広告は2nd Liveが行われた翌日から1週間掲載されており、liveを終えた後の非日常から現実に戻る瞬間のファンの心境を上手く捉え、さも「リアルに舞い戻った」感を演出していると言えます。

ここまで見ると、ヒットする要因が至るところに散りばめられているというのがお分かりいただけるだろう。

今思えば、ゲリラ的に渋谷でジャックをしたのも単純に認知度を上げるとかファンのことを思って行った部分もあるが、このビジョンに沿って考えられた施策だからではないだろうか。

「アイドルに会う」ということは現実的に考えれば、非日常的である。いくら実際にいるといっても非日常であることに変わりはない。

一つシーンを思い浮かべてほしい。

道端で、とても偶然に好きなアイドルに会えたらどうだろう?ファンならテンションも上がるし、嬉しさも倍増する。

では、アイナナのビジョンに沿ってその嬉しさを表現するにはどうすればいいか?

答えは簡単。

突然出会ってもらうしかないのだ。しかも、現実で。

だからこそ、告知なしに渋谷に現れたアイドルに偶然会えたかのように演出をする。そうすることで、2次元を超えてきたのだ。

まさにビジョンについてきてくれるファンのことを考えた施策であり、こういったビジョンに沿った運営側のプロモーションがファンを熱狂させる最大の理由だと言える。


まとめると

リアルとデジタルを行き来することで、その二つが交ざり合って

アイドル・ゲーム業界やファンの想像を超える未来を作り出す。

アイドリッシュセブンの広告は、ただファンが見るだけではなく、それ以外の方にも関心が持てる内容だった。しかし、それは一部でしかなく、もっと深く見てみると運営が作品のビジョンにこだわり、施策も徹底する。そのビジョンに惹かれたファンは強く反応して、運営とファンが一緒に「ビジョンを作り上げている」と感じた。

アイドリッシュセブンは新しい次元のアイドルでもあり、確かにそこに存在するアイドルなのだ。

リアルとデジタルをこんなにも自由に行き来できる唯一無二のポジションを確立し、今後のモデルケースになる可能性を感じました。




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