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liner note___「光を浴びて」

2023年9月27日リリースのシングル「光を浴びて」に関して振り返っていきます。


目次

・所感
・歌詞
・聴いて欲しい所
・結び


所感

2023年の年度を跨ぐ頃、社会における自分の不甲斐なさを強く感じていました。誰かに強く自分の言葉を押し付けられなかったり、それによって体の内側に反響した言葉が痛くて何もできなかったり。人として変化する事を期待せずには生きていけない所まで精神は困窮していました。
結果的に自分の中にある大きなモノと対峙し、人間的に一つ大きな殻を脱ごうとした出来事でした。(このような書き方になったのは自意識の中での変化なんて大したものではないと感じるからです、本当に変化したのか、真相は闇の中)

そんな中、ほんの少しシンプルになった気持ちで想像したのは、季節が過ぎ去った後のような、清々しくもどこか寂しい気持ちでした。

自分の嫌いな部分を直したつもりが、その嫌いな部分すら実は無意識で好いていて、もうその時間は巻き戻らない事。過ぎた季節の後には、その煩わしさにすら美を感覚する事。

この曲はそんな風に作り始めました。

仮タイトルは「光浴」。なぜかその当時読んでいた2、3冊の小説の中に「光を浴びて」という言葉が散見され、何かに導かれるようにこのタイトルになりました。カラーバス効果ってやつなんでしょうか、僕にはそんなことを超越した感覚に思われましたが。



それでいて余談ですが、作り終えてから、ステージに立つ人間の事を歌ってる曲でもある気がしています。まあこの話はこの辺りで。



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歌詞



光を浴びて
作詞作曲 碧海祐人

差し出して鈍くなった想いが
触らないで腫れていった いつしか

海が元に戻っていく
水晶体の邪魔をしている
魔法はもうとけるはずだよ、と
君を憶えている

浮かんでは淡くなる言葉
曝け出した肌色を抱く 光を浴びる
柔らかさが 変わらなさが
滲んでいく時に
もう一人でいたいの 微風

へし折って逆さにした
棘のまま 持ち歩いている

夜が窓を登っている
染色体を作り替えている 途中で
くたびれた細やかさ
君を想い出す

見上げたら嫌になる夜空
哀しさや! 灰色のまま 少し笑う
この澱みが暖かさが
いつかを満たす様に
これでさよなら

海を渡る 鳥の群れが雲の皮膚が
朝に色づく時に
もうここにはいない 君を想う
変わらぬまま ただそのまま
靄が晴れていく様に
もう一人でいられそう 微風


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聴いて欲しい所


聴いて欲しい所についても書いていきましょうか。今回演奏を頼んだのは粕谷哲司さん(from Brkfstblend)と今野颯平さんのお二人。上手下手を越えた"味"を求め笑いながら奔走したレコーディングは、僕にとってとても大事な経験になっています。この曲の心地よい空気感が2人の演奏家の足元から始まっている事には感謝しかありません。

赤瀬楓雅さん(from Khamai Leon)にパーカッションもお願いしていて、ボンゴ、シェイカー、チャイムなど任せてます。特にボンゴとシェイカーは木々の葉が擦れ合うような、背景の塗り残しを丁寧に扱ってくれていて素晴らしい。とても意識的に抜き差ししてるので注意を払ってそこも聴いてみてください。

編曲だと作りながら聴いていたのはスピッツとキセルとBuilt to Spill。少しでもわかってくれたら嬉しいです。
あとは最近のJpopを構造的に分解して、コードの流れや展開を決めています。そういう意味ではこれまでの僕らしくはない曲だなと感じるところもありますが、アホみたいな顔で「気持ちええ〜」って聴いて欲しいです。朝、昼、夜、いつでもその時にある光を脚色して優しくしてくれる、そういう光の感覚の曲ですので。僕のおすすめは逆に夕方です。橙じゃなく、黄色くて色彩感のない夕方。いろんな日に聴いてみてね、是非に。


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結び


読んで頂きありがとうございました。シングル「光を浴びて」について書かせて頂きました。


潮騒ドライブ / コブクロ
Doesn't Matter / BENEE
夜風 / Lamp


最後に上記三曲の参考楽曲と、その制作に携わった方々に多大なる感謝を。


「光を浴びて」Credit

Drums:粕谷哲司
Bass : 今野颯平
Percussion:赤瀬楓雅(from Khamai Leon)
Allother instruments:碧海祐人
Recorded & Mixed & Masterd :吉井雅之

Artwork :カチナツミ
MV Cast:Emi Ito
MV Director,Cinematographer:Mari Elhanafy
MV Production Assistant:el

photo by Hayato Niiya

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