見出し画像

α版(クローズド)ローンチまでの道のり

0.はじめに

こんにちは。
社会人教育企業のデジタル部門で新規事業開発室責任者兼プロダクトマネジャーをやっている南日です。先日、新規事業を立ち上げた記事から約3ヶ月が経ちました。

B2BのSaaSプロダクトを作っているのですが、α版をクローズドで限定リリースをしました。顧客獲得に向けて目下動いていますが、数社話を進めているところがありつつの、まさかのコロナという見えない敵がやってきて、見通しをつけるのが大変難しい状況になりました。

と言いつつも、まずは自分たちがコントロールできることに徹底的に向き合いたいと思っています。さてこの記事ではプロダクトマネジャーをやっていて大事だと思ったことを、まずは3点に絞って書いていきたいます。これ以外にもたくさんありますがまずはこれで!

1.プロダクトマネジャー(PdM)という仕事
2.顧客に向き合う意味とは?
3.やはり大事なのは自身のWILL

1.プロダクトマネジャー(PdM)という仕事

よく新規事業って楽しいでしょ?と言われますが、先に言っておくと物凄く楽しいですよ!ですが経験されている方には釈迦に説法ではありますが、相当強いWillを持っていないとメンタルが持たないと思います。なぜWillが大事なのかは後で書きます。

◆そもそもPdMって?

プロダクトマネジャーってよく聞くけど、そもそもこれって何ですか?ということを先に伝えておきます。これはそのままといえばそのままなのですが、プロダクトの成功に責任を持つ人のことです。そのためあくまで役割の1つと捉えてもらえるといいかなと思っています。

最近まではプロダクトマネジャーはPMと表現されていましたが、昨今PMのロールがあまりに広くなっているため、PdM+PMMとわけて表現をしています。グローバルでは結構当たり前にこの分け方をしているようですね。SmartHRさんの記事で参考になるものがあったので貼っています。PdMやPMMに興味がある人はこちらを見てくれればと。

本記事ではPdMを意識して書きますが、今のフェーズは新規なのでPdMもPMMも全部やっていきます。ただマーケット拡大はもっと後のフェーズなのでまずはPdMがメイン業務という形です。

プロダクトの意味をもう少し定めるために時代の流れを簡単におさらいします。戦後は「モノ」が重視をされてきました。そのため機能がある程度充足しているプロダクトやシステムが求められてきました。多くの人がプロダクトと聞いてもあまりピンとこないかもしれませんが、日立やNECなどが開発しているITシステムということであればイメージがしやすいかもしれません。しかしそれらシステムは日本企業特有の業務フローに最適化されており、毎回膨大な開発工数やとんでもないくらいの額を支払って開発をお願いしています。

2000年代くらいからインターネットであらゆるものが繋がりモノが充足し、人々は少しずつ自分自身の「体験」に価値を置くようになります。その後、リーマンショックや死生観を問われるような震災などの影響により、人の価値観は「体験」から「意味」にシフトしてきています。いわゆるモノ消費からコト消費、そしてイミ消費に変わってきているということです。

今日書きたいのは、コトやイミ消費が当たり前化されている時代に主流になりつつあるSaaS開発におけるプロダクトを対象にしています。ちょうど良い記事があったので貼っておきます。

SaaS開発はサブスクリプションモデルが前提です。プロダクトを使っていて自分たちにとって意味がないと思えば、ボタン一つで解約ができてしまうようなものです。そのため継続的に顧客に満足をしてもらうためにカスタマーサクセスを導入します。システムだけで発揮できる価値領域は一部分であり、人が介入してこその”Whole Product”が目指すべきプロダクトだとB2B領域のSaaSでは考えています。もはやプロダクト単体ではカバーしきれない範疇であり、プロダクトが事業そのものであると捉えてもらえるといいかなと考えています。

さて、こうしたプロダクト開発における大切なことについて書いていきたいと思います。

◆ 何よりも大事なマインドセット

自分自身がPdMとして動いている中、兎にも角にもマインドセットが本当に大事だと思っています。過去キャリアで経験してきた経営コンサルティングやBiz Devをしている中でもマインドセットは大事ではありましたが、「意思決定」をする回数が圧倒的に違います回数がめちゃくちゃ多いです。そのため「ああ、この意思決定本当に大丈夫だったかな」「あれ、このケースまで考え尽くしたっけ」とモヤモヤし続けるのがPdMになりたての頃です。

といっても、まだ3ヶ月くらいしか立っていないのでようやくPdMの仕事を少し理解できたかなという感じです。まだまだ新米すぎて泣けます。

なぜマインドセットが大事かというと、この仕事は圧倒的な当事者意識や、絶対にやりきるという執念がないとやりきれないと心底感じるからです。今でこそPdMとPMMという役割が発生していますが、PMとしてどちらもやっていくのは鬼ですね。今は立ち上げ期なのでPdMだけでは業務が回らないのでてんやわんやです。

もう少し丁寧にPdMの仕事を伝えていくと、有名なこのトライアングルがあるかと思います。

(参考:プロダクトマネジメントトライアングル)

画像1

ちなみに参考とした記事は下記ですね。もう何回も読みたい。ただ読めば読むほど自分がもう小さ過ぎてもうテンションは落ちます笑

プロダクトを中心に、顧客、開発、ビジネスを見ていくという形です。記事にも書いてあるのですが、トライアングルを踏まえて自分自身の強みや弱みをまずは理解することが大事ですね。僕はビジネス出身なので、ビジネスと顧客の間が第一の強みです。正直他領域の経験は浅く、デザインや開発側にどう寄り添っていくべきか最初は相当悩みました。

少し話は逸れますが、最近だとBTC人材と言われていますが、ビジネス、テクノロジー、クリエイティブの3つをいかにしてプロダクトマネジャーがコントロールするかがプロダクトの成否に関わってくると感じています。

じゃあどうするの?ということですが、私としてはまだまだ仮説レベルではありますが、結論BもTもCも全てできた方がいいというのが現時点での考えです。できないところは任せればいいじゃん、と考えがちですが最終的に自分自身が意思決定をして最後に成果までをコミットする必要がある中、わからないことを意思決定する怖さはずーっと残ります。ちょっと不安な意思決定をすると、頭の片隅に残り続けてもう本当に気持ち悪いし、こうした意思決定はしたくないです。

でもでも、時間は有限である!ということが人間の常といいますか。やることが本当に多いので何に対して自分やチームのリソースを割くべきかを誤ってはなりません。その時に何を拠り所にするかというと「今、何の課題を解決すべきなのか?」です。

◆ 事業フェーズで異なる課題とPdMの役割

今は「ゼロイチの新規事業」であるため、ビジネスというよりも顧客や開発側が極めて大事だと思っています。先ほどのトライアングルは、どこに課題があるのか?ということを見極めるための1つのツールと僕自身は捉えています。このフェーズで向き合うべきは、突き詰めると大きく3つと考えています。

A) 我々は何を目指すのか?
B) そのために、「今」何の課題を優先的に解決すべきか?
C) 課題解決に必要なリソースをどこから調達するか?

これってなんだと思います?

もはや社長といっても過言ではないかもしれません(社長の皆さんごめんなさい)。もちろんそんな簡単にサクサク考えられるものではないです。コンサルとの違いでいうと、やはり綺麗事はゼロということですね。数字遊びや資料作成は特には必要ですが、とにかく泥臭く何でもやる!という覚悟を持つ必要があると思っています。ちょっと社長というのは言い過ぎですね。よく言われているのは、Mini CEOです!(笑)

◆ Mini CEOとしての役割

意思決定の話をしましたが、PdMはよくMini CEOとも言われたりします。プロダクトを成功させることにコミットをするので、正直思いついたことややれることは全てやりきりたいと考えているのです。

例えばタベリー矢本氏はPdMについてこんな記事があります。

私の場合、元々はBiz Devの人間なのでPdMは開発側で誰かやってくれるかなあという気持ちでした。これは昨年の秋くらいまで正直そうしたマインドでした。しかしながらメンバーの休職なども発生しそうも言ってられない状況となり、私がPdMをやることになりました。

いまPdMをやっていて、ビジネスをやっているときからもっと開発サイドにコミットすべきだったと大反省をしました。。。理由はもっと早くにプロダクトそのものが事業そのものであるという"Whole Product"であることに気づけていなかったためです。

幸い今のチームには、ベンチャーの元CTOや、非常に優秀なフロントエンドのSMがいるため彼らに丁寧に色々と教わりました。会社内にはPdMを長く経験した人はいないためキャッチアップは難しいと思い、基本的に社外の情報からキャッチアップをしていきました。

この辺り長くなりそうなので、初めてPdMをやるにあたってどのようにスキル関連をキャッチアップをしていったかは別記事でまとめていきたいと思います。

Mini CEOとして動くにあたり、この立上フェーズで極めて大事なのが「現場」です。もちろんフェーズに関係なく現場は永遠と大事なのですが、最初にとにかく現場に泥臭く入り込み、どれだけ実態を把握してそこからインサイトを出せるかがプロダクト開発の第一歩です。

2.顧客に向き合う意味とは?

◆ 「今」解決すべき課題とは?

やりたいことを実現するためには、「何の課題に向き合うか?」を明文化することが大切です。新規事業はスタートアップ同様リソースに限りがあります。そのため時間をかけて解決できる課題に向き合ったらその瞬間死にます。そのため「今」このタイミングだからこそ向き合うべき課題の解像度を上げていくことが重要なプロセスとなります。

これがどこに落ちているか?それは「現場」です。

データや人から聞いた情報も大事ではありますが、そういったものは解釈が入ってしまっており、実態とは乖離したものであることが多いです。そのため自分の目や耳で感じ、そして実態を正確に把握することが極めて大切です。実際に使っていただく想定ユーザーの声を徹底的に聞き、そこから「インサイト(顧客も気づいていないような課題)」を導出することが大切です。

インタビューのやり方についてはまた別の記事で書きたいと思います。たまたまチームに外資マーケを渡り歩いて今はサーバーエンジニアという謎なキャリアのおじさんがいるので、その方のプロなインタビューを見ながらやり方を工夫してきました。

なお、課題を特定するプロセスは以前まとめています(元コンサルの知見)。ご参考までに!

この現場で得られた声が、開発をする上での拠り所になります。もちろん声に寄り添い過ぎてしまうのもダメで、目指したい世界観との整合を取っていき、何をやるべきで何を捨てるべきかを考えるのもPdMの仕事です。捨てる行為が極めて大事な仕事でもあります。

Wantは捨てろ!Mustだけを作ろう!

と、α版を作る上でチームの目標にしていました。

PdMとして開発側とコミュニケーションする上で大事なのが、「Why」「What」「When」です。バックログにストーリーをどんどん積んでいかないと開発も止まってしまうのですが、この3つを意識して記載をしないと、燃料切れで全てが止まります。エンジニアからよく言われますが、

Howはこっちで考えるから、やりたくなるWhatとWhyをちゃんと考えてね!!!!!

これを一つ一つ丁寧に深く考えることこそが、実現したい世界につながれば、その解決策としてのプロダクトに落ちてくるのです。

◆ 現場の理解は「全員野球」で!

チーム全員が現場を少しでも理解するために、プロダクト開発を本格的に進める前、昨年末にデザインスプリントを実施し、モックアップを想定顧客に当ててフィードバックをもらう取り組みをしました。そこから開発側としても顧客解像度も徐々に上がってきて、加えてインタビューも裏側で見てもらいながら現場を理解してもらう取り組みもしました。

すると徐々に、あの●●さんだったらどう考える?と言った共通ペルソナができてきました。これからもっと顧客像が理解できる工夫を引き続きしていきたいと考えているところです。

共通のペルソナを持つためには様々アイデアがあるので、クローズドの段階から顧客にどんどん使ってもらい、そこからリアルなフィードバックをもらう、という繰り返しをしていく予定です。

Slackのチャンネルでも、ビジネスが現場に行ってきた場合は、そこで感じたことをどんどんアップしたりデイリーのスタンドMTGで共有・議論するといった取り組みもしています。

◆ とは言っても柔軟性も大事

現場の声から、こうした開発をこの優先度で開発していくと一度決めたことであっても、朝令暮改も当然発生します。例えば今回のコロナのような未曾有の出来事においては、リアル前提の事業だけでは立ち行かなくなることが想定されます。我々教育業界においても同様です。これからはオンラインが前提の世界になるため、リアルは手段の1つとして位置づけられます。当然我々はオンラインが前提の世界がくることを見据えたプロダクト開発をしていますが、それが想定よりも3年くらい早く来てしまったということで、開発優先度を変える意思決定もしました。そうすると先ほどのWhyも微妙に違ってきたりするので、Howとしての機能も変化してきます。こうした外部変化に柔軟に対応し、そしてそれをWhyにスピーディに落としていくことも、PdMには重要なミッションです。

「アフターデジタル」の書籍が昨年話題になりましたが、まさにその世界が意図せず来てしまったということです。

3.やはり大事なのは自身の想い

◆ 自分自身が実現したいWILL

先ほど述べた新規事業フェーズで必要なA~Cがあったかと思います。

A) 我々は何を目指すのか?
B) そのために、「今」何の課題を優先的に解決すべきか?
C) 課題解決に必要なリソースをどこから調達するか?

全ての発信源は、自分自身のWillだと僕は考えています。自分自身といかに本気で向き合い、どんなに辛いことがあってもやり続ける覚悟や執念を持てるWillを作る必要があると思っています。僕自身の場合は「人のポテンシャルを解放する」という言葉を使っているのですが、自分自身が「死」を見た経験もあったことから、その期間にかなり深く自分自身を見つめ直すことができたため、ブレない軸があります。以下はその参考記事です!

こうした自らのミッションと、今自分がいるマーケットや企業の強みから、どのような方法であれば実現できるかを私の場合は考えました。詳細はまだ書けませんが、これは戦略的なアプローチで考えています。コンサルの経験が活かせた領域と思います。

よく新規事業をやっている大企業の方々と話すと、自分自身のWILLが一切ない方が非常に多いと感じています。

・上司がやってほしいというから
・会社的にこのマーケットを取りに行かないといけない
・新規って楽しそうなのでとりあえずやっています

などなど、おいおい大丈夫かよと疑いたくなるような理由で取り組んでいる方が多い印象です。まずやってみるという意味では心意気として大事なのですが、想像以上にやることは泥臭いので、自分自身の心がワクワクしていくものではないと到底続かないです。そのため、会社に言われたからという受動的な考え方は一旦忘れて、自分自身がそれをやるモチベーションの源泉になるものが何かをしっかり深く考えてもらいたいと思います。そうすれば、自ずとやるべきことは見えてくるし、やらないと気持ち悪い感覚になってきます。

ただ、こうした自分自身のWILLというものは特別な経験をしていなくとも、後天的に見えてくるものだと信じています。そのためには、新規事業を立ち上げるプロセスでもある「現場」を徹底的に見ることで、自分自身のWillが育っていくとも考えています。

Willをどのように作っていくのか、これもまた再現性の高いアプローチがあると考えています。これも後日記事化したいです。ちょっと記事化したいことが多すぎました・・・笑

最後になりますが、私が最初にPdMをすることになりインターネットでまずは情報収集をしました。そこで本当に良かった記事がコレです。是非ともPdMをやってみたい人はこの記事を何度も読むと良いかなと思います。

長くなりましたが、そろそろこのあたりで。β版ローンチに向けて、がんばっていきます!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?