もみあげくん(ノヴァーク版)

青春のまっさかさま https://twitter.com/masaya_kv319

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最近の記事

モーツァルトの虹色のメロディ。

中学高校時代、まだクラシック音楽を聴き始めのころ、宇野功芳氏が折にふれ「いちばん好きな作曲家はモーツァルト」と書いているのを読んでは、「モーツァルトの何がそんなにいいんだよ」と思っていた。小ト短調の交響曲などは十代の感受性にもそれなりに訴えかけてきたものの、ベートーヴェンの激情、ブルックナーの宇宙、ワーグナーのスペクタクルに比べてモーツァルトはいかにもスケールが小さく、どの曲もなんだか似たような、明るいけど軽い、軽食みたいな音楽としか感じられず、したがってCDプレイヤーにその

    • 笹の葉Love Song

      近所のスーパーに七夕の笹が飾ってあって、たくさんの短冊が結わえられていた。「トッキュウジャーになれますように」「あなとゆきのじょおうのえるさになれますように」「ピアノがもっとひけますように」「バレエがうまくなりますように」「タカラジェンヌになりたい」などに混じって「○○に就職が決まりますように」「結婚できますように」「宝くじ6億円」といった生々しいのがちらほらあったりするのが微笑ましい。ふと足元を見ると、結わえ方が緩かったのであろう、一枚の短冊が裏向きに落ちている。ぼくはおせ

      • 『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』ベロックの最期について

        ※ネタバレ全開です。未見の方はご注意ください。 ※ネタバレ全開です。未見の方はご注意ください。 大事なことなので2回言いました。 なんとはなしにインディ・ジョーンズシリーズ第1作である『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』を見返したりしているんですが、そのクライマックスシーンにおいて子供のころは気づかなかったことに最近気づきました。 このお話はご存じのとおり、モーセの十戒石板が納められているとされる「アーク《聖櫃》」をめぐって主人公の考古学者インディとナチスドイツが熾

        • 虚構/現実/オーバーテイク

          数年前のこと。「炎神戦隊ゴーオンジャー」にハマっていた俺はゴーオンジャーの映画村ロケを見学に太秦まで出向いた。はたしてそこにはまさに撮影中のゴーオンの面々(逢沢りなちゃんが眼福の極みであった)や、ケガレシア役の及川奈央さん、そして彼女らを取り囲む大勢のちびっ子たちと保護者の姿があり、俺は大きなお友達として迷惑にならない範囲でしかし夢中になって撮影の様子に見入った。 撮影というものは自分が想像していたよりはるかに地味で、カメラが回っている時間に比べて待機時間のほうが圧倒的に長

        モーツァルトの虹色のメロディ。

          俺は育ったこの渋き精神の国で

          フロッピーディスクを処分しようと中身を整理していたら学生時代に書いた日本文化論のレポートが出てきて、ちょっと面白かったので加筆訂正して載せる。文中での引用はこの授業で使われていたテキスト(後述)。 *********  我々は無条件的に日本文化なるものが存在すると信じている。しかしそれは一体どこに根を下ろしているものなのだろう。日本文化の実体とは何だろうか。清水寺や法隆寺などの建築か、茶の湯か、あるいは源氏物語か。  いっぽう、21世紀こんにちにおける私自身の生活では、

          俺は育ったこの渋き精神の国で

          俺には何も何も見えなかった

          連休に実家へ帰った折、昔のアルバムを引っ張り出す機会があったので少し覚悟を決めて昔の自分を見てみたがまあダサい。ダサいが服着て歩いている、というか写っている。そもそもからしてその服が絶望的にダメだ。何をどう考えてこんな服をセレクトして着ていたのか、その服はどこの店に行けば手に入るのかというような写真のオンパレードで、自分はオシリス神のスタンド(ダービー兄)が勝負に負かした相手をコインに変える時のような勢いでバーンとアルバムを閉じたのだった。 概して十代オタクのファッションは

          俺には何も何も見えなかった

          宮本浩次は「恋人よ」を歌わない

          突然だが、いちばん好きな歌手の、いちばん好きな一曲を挙げよ、と問われれば迷う人も多かろう。 エレファントカシマシにおいて、俺はその答えに窮しない。2位以下ベスト10曲を選ぶとすればその選定作業には大いに迷うことだろう。しかし最高位に座する一曲は決まっている。それは9thアルバム「明日に向かって走れ~月夜の歌」所収の「恋人よ」という曲である(ここまで宮本の文体を模倣して書いてみた)。 バンド最大のヒット「今宵の月のように」前に配置された、アルバムのラス2であるこの曲は、長尺

          宮本浩次は「恋人よ」を歌わない