モーツァルトの虹色のメロディ。
中学高校時代、まだクラシック音楽を聴き始めのころ、宇野功芳氏が折にふれ「いちばん好きな作曲家はモーツァルト」と書いているのを読んでは、「モーツァルトの何がそんなにいいんだよ」と思っていた。小ト短調の交響曲などは十代の感受性にもそれなりに訴えかけてきたものの、ベートーヴェンの激情、ブルックナーの宇宙、ワーグナーのスペクタクルに比べてモーツァルトはいかにもスケールが小さく、どの曲もなんだか似たような、明るいけど軽い、軽食みたいな音楽としか感じられず、したがってCDプレイヤーにその