異なる価値観を持つ人同士はどう繋がるべきか? 〜映画『きみはいい子』〜

 序盤から中盤までは平熱な雰囲気が際立ってるんだけど、池脇千鶴と尾野真千子が抱擁を交わすところに陽の光が射すシーン以降は、色彩豊かな感情が一気に浮かびあがってくる。こういうダイナミックな展開に持っていくまでの、物語を丁寧に描く繊細さも見逃せない。

 画面サイズをヨーロピアン・ヴィスタにしたのは、たくさんの出来事が起こる広くない街の“広くない感じ”を上手く表現するためなんだろうけど、これも大当たり。物語はもちろんなんだけど、そのスタイルにも惹かれてしまった。

 というわけで、否応なしに多様な社会となった現在において、異なる価値観を持つ人同士はどう繋がるべきか?という疑問に対する決定打のひとつを示した傑作です。

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