「この世はなぜ、在るのか」

…この疑問については、色々な角度から検討できるものと言えるだろう。

まず私は純粋に、物理的に日本以外の国がなぜ存在するのかを知りたいのだ。

例えば、私はアメリカに行ったことがない。

もし私がこのまま死んでしまったとしたら…私視点の世界において、アメリカは存在しなかったことにならないだろうか？

この問題提起は以前から何度もしてきたが…今回あえてまた取り上げ、さらにもう少し、角度を変えて表現してみたい。

突然だが…私の寿命はどれくらいなのだろうか。

まぁ事故や事件、天災などに巻き込まれなければ、80歳以上は生きるだろう。相当短く見積もって、だ。それくらい、己の健康状態には自信がある。

仮にそれくらいだとして…そのたった80年ほどで、世界各国を回るなど不可能だ。

まぁ回る「だけ」なら、出来るんだろうさ。でも、とある国の細かい裏路地なんかにはいちいち足を運ばないだろうし、何より危険な国やら島々などにわざわざ行こうとも思わない。

経済的余裕が出来たら、確かにもう少し旅行に専念する時も来るだろう。でもせいぜい数カ国程度が関の山で、大体は日本にいると思う。苦労してまで多くの国に行くのもめんどくさい。

…と考えると、だね。

そもそも私がこの肉の器を滅ぼす前に特定の国に行けなかった場合、その国の存在意義って何だろう？意味あるのだろうか？

もちろん政治経済の影響、および現地の名産品を輸出入してるし、事実としてそういった形で日本とは「干渉」しているよ。そう見ると確かに存在していると言えるし、意味があるとも言える。

しかし…何度も言うが私がそこに足を一生運ばなかった場合、「物質的に・物理的に」その国は存在している必要がない。

つまり、「設定上存在している」ってだけでOKってことになるじゃないか。

私はご存知の通り、タイに通しで三年半ほど住んだ。それにラオスやマレーシア、中国に台湾…その辺の東〜東南アジア諸国には足を運んだし、それらの国は確かに、物理的に存在していた。

「じゃあやっぱり世界は全部、お前の意志とは無関係に、物理的に存在してるじゃん」と言われるかもしれない。

一見すると、確かにそうだ。

でも、本当にそうか？

もし…もし、順番が逆だったとしたら？

最初からあったのではない。「私が行ったから、物理的に具現化する必要があった」のではないか？

この世の理は全て、逆転している。

「なら全部を逆さまに考えよう！」…と、言うのは簡単だよ。でも、事はそう単純じゃないんだ。私もまだまだ、仕切れていないところがある。

ただ、そのタイやらマレーシアやらは、最初から物質化していたのかもしれないけどね。

だって、この世に自由意志は存在しない。ランダムもない。なら、私があのタイミングでタイ・バンコクに住む事は、生まれた時点で確定していたということだ。

ならそのシナリオに合わせて、現地は最初から物質化していたとしても問題ないだろう。尤も、そこはいくら考えてもわからない。

ともかく…国もヒトも…森羅万象全てが最初から在るのではなく、「在るべき時にのみ、在る」のだと思うわけだ。

必要なもの以外は、必要ないわけだからね。

この狂ったまでに秩序的、かつ合理的な宇宙においては、別に珍しいことでもないだろう。

なら、「世界が消える時」とは…

すなわち、「私がこの世を必要としなくなった時」だ。

その瞬間は結局、私にすらわからないのかもしれない。

ヒトも世界もいつのまにか生まれ…

そして、いつの間にか死ぬのだから。