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2017年の七夕の神宮の9回表を振り返る

現在スポナビでは「プロ野球復刻試合速報」と、プロ野球の過去の試合の速報を再現している。4月22日には2006年パ・リーグのプレーオフで斉藤和巳(元ソフトバンク)がマウンドで崩れた試合の速報がされた。
斉藤には思い入れがあったので、見ようかな~と思いながら次の日の試合を確認した。その際の反応が以下である。

https://twitter.com/mashi_119/status/1252521297759748097?s=20

は????

ヤクルトファンからすれば「こんな試合を復刻しなくていい、寧ろするな!」というのが正直な感想ではないだろうか。自分自身あの9回表の決勝弾は未だに覚えているし、あれより絶望感を感じた記憶はほぼ無い。

しかしながら、例のホームランまでは(勝ったと思っていたので)途中見ていなかったシーンもあった。
そこで、「あの日の小川は何故6失点したのか?」と思い、当時の映像を参考にしながら振り返っていく。また、小川がクローザーに至った経緯や、最後には2017年当時の私の感想なども書いていく。

※筆者は一応ヤクルトファンである。決して広島の回し者では無い。

1.はじめに

本来であれば試合全体を見ながら考察すべきであるが、9回の映像しか準備しきれなかったため試合中盤までの流れは割愛させていただく。

2.「抑え小川」の経緯

「そもそもなぜ小川を先発として起用しなかったのか?」

他チームのファンだけでなく、ヤクルトファンにとっても大きな疑問点であったと思う。
勿論、小川はルーキーからずっと先発で起用されているからだと考えるが、特に2017年は5月まで先発としては7登板して4回のQS(内3回HQS)とチーム内では絶対的な安定感があった。

それに関して、伊藤智仁一軍投手コーチ(当時)は長谷川晶一氏の「96敗」で次のように語っている。

『交流戦の後半、石山泰稚、ルーキ、秋吉亮(現日本ハム)がそれぞれ調子を崩したりして、リリーフが不安定な状態が続いていました。そうなると、ゲームプランにおいて逆算ができなくなってくるんです。そこで、もう一人ビシッと抑えてくれる人材を考えていました。
その条件としては、(中略)、つまり「三振が取れること」、ここで頭に浮かんだのが小川でした。』

確かに、シーズン前半で抑えを務めた秋吉は5月の防御率が7.00でセーブ失敗も目立ち、主にセットアッパーを務めたルーキは6月の防御率が6.75、石山は5~6月が平均して4点台と安定しているとは言い難かった。
また、先発には新外国人のブキャナンやベテランの石川雅規、交流戦では完投勝利を挙げた原樹理、ケガから復帰した由規や山中浩史など揃いつつあった。

そして6月は防御率2.00と安定していた秋吉が、その月末に右肩肉離れで戦線離脱。正に緊急事態であったこの時、私は小川の配置転換をポジティブに考えていた。丁度6月30日のリリーフ登板では1回無失点でホールドも記録し、新たな勝ちパターンが出来上がると思っていた。

あの七夕の日までは。

3.地獄のような25分間...9回表を振り返る

それでは当記事の本題に入るが、まずは結果と少しの感想を書いていく。
今回はニコニコ動画にアップされていた動画を参考にした。(以下のリンク参照)

https://www.nicovideo.jp/watch/sm31533876?ref=search_key_video&playlist=eyJpZCI6InZpZGVvX3dhdGNoX3BsYXlsaXN0X3NlYXJjaCIsInNlYXJjaFF1ZXJ5Ijp7InR5cGUiOiJrZXl3b3JkIiwicXVlcnkiOiI3XC8344Kr44O844OX77yZ5Zue6KGoIiwicGFnZSI6MSwicGVyUGFnZSI6MzIsInNvcnQiOiIraCJ9fQ&ss_pos=1&ss_id=a5670127-aa65-41d4-a339-cb42ff44f2cb


1人目バティスタ・・・初球の甘いストレートをレフトスタンド上段へソロホームラン[燕8-4鯉]

2人目田中・・・4球目のチェンジアップでファーストゴロ、1アウト(1、2球目のカットが浮いていた)

3人目菊池・・・2球目の浮いたストレートをレフトスタンドギリギリへソロホームラン(1球目のカーブはしっかり投げ切れていた)
[燕8-5鯉]

4人目丸・・・8球目のチェンジアップを見送り四球(1、2、6球目の際どいボール球を見送る)

5人目鈴木・・・4球目のカットを打ち上げセンターフライ、2アウト(初球のストレートが逆球、2球目のカットが少し浮く)

〈代走〉松山→上本

6人目松山('17神宮打率5割)・・・6球目のど真ん中のカットを打って左中間へのタイムリーツーベース(全体的に球が高い)
[燕8-6鯉]

7人目西川・・・5球目のボール球のチェンジアップを打ってセカンドへの内野安打(山田が上手く捕った、追い込んだ3球目に捕手中村がストライク要求してファールになったことが気になった)

〈代打〉ジャクソン→新井 〈代走〉西川→野間

8人目新井・・・4球目の真ん中のストレートを打ってバックスクリーンへ逆転3ランホームラン(1~3球目は完璧だった)
[燕8-9鯉]

9人目磯村・・・三球三振、3アウトチェンジ

…心が痛い、こうして映像を見て文字に表すことでさえ辛い。

さて、ここから私の考えを述べていく。
この日の小川は1回を投げ被安打4四死球1失点6で負け投手という結果に終わった。
全体的に球が浮いてたとは言え、1イニングで3つのホームラン、6得点という結果には広島打線の強さを改めて感じた。個人的には4人目の丸が、際どい球は見送ったりカットをして四球をもぎ取ったことに、打者のレベルの高さを痛感した。

上記の記事には当日の試合後の記者や小川の様子、そして後日談が掲載されている。その中でも目を引いたのは、

本拠地の神宮でありながら、レフトを中心に真っ赤に染まったようなスタンドは、異様な雰囲気を醸し出していた。

試合を見ていた当時は分からなかった(考えたくなかった)が、映像を見ていて特に感じたのがこのことだ。つまり極端に言えば、広島の本拠地であるかのような大声援があり、それが選手にまで伝わったのだと考える。

4.終わりに…諦めるに諦めきれなかったあの日と2017年シーズン

最初の部分で「あの9回表の決勝弾は未だに覚えている」と書いたが、言ってしまえば早く忘れてしまいたいのが本音だ。しかし8回裏にはおやすみモードだったのが松山のタイムリーで完全に目が覚めて、西川の内野安打で血の気が引き、新井のホームランで負けを察したことをまだ忘れられていない。

ただ9回裏に入る際、私設応援団であるツバメ軍団がマルチテーマDを流されたこともハッキリと覚えている。この応援歌は初回の攻撃時に流れるものであるが、応援団から正に「今ここから」という雰囲気を感じた。だからこそ、私は負けを察したと言いながら9回裏まで試合を見ていたのかもしれない。

また余談ではあるが、この年唯一現地にいた6連敗中のソフトバンクとの交流戦、柳田から特大の先制3ランホームランを打たれ「石川でもダメか…今日も負けか…」と思った時、

「試合はまだ終わってないぞ!俺たちが諦めてどうするんだ!」

とツバメ軍団の本間さんがゲキを飛ばされた。
結果的にこの日は(も)負けてしまったが、ファンのムードを上げて下さった応援団の方々には本当に頭が上がらない。

45勝96敗2分借金51という歴史的に負けたチームを生で見てきて、「勝ったら儲け、奇跡」と考えていた。悔しさを感じても応援することしか出来ず、ただひたすら日々の試合結果に目を逸らし…
ただ開幕カードでの鵜久森の代打サヨナラ満塁弾、中日戦での10点差逆転勝利と記憶にも記録にも残るような試合もあった。

いつか「2017シーズン、そしてあの七夕の敗戦があって良かった」と再び歓喜の時を迎えられることを切に願う。



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