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72.自分を捨てる仕事術

宮崎駿監督の話題作『君たちはどう生きるか』のプロデューサー補として、ふたたびスタジオジブリに戻った著者が伝える、分断がすすむ社会にいまこそ必要な「自分を捨てる仕事術」を、装いを新たに新装化! 
アニメプロデューサー・石井朋彦。その真摯な仕事の根底にある「自分を捨てる仕事術」とは何か。
「自分のなかには何もない。何かあるとしたら、それは外、つまり他人のなかである」という真実を、強い筆力で伝える1冊。
スタジオジブリの名プロデューサー鈴木敏夫が若き著者に教えた、会話術、文章術、人心掌握術、トラブル対応ほか、具体的方法論のすべて。

Amazon商品説明より

▶若いことの意味

「それはね、何もないってことなんだ」

この本の中で多く語られているのが、「自分を捨てて他人の真似をする」という仕事術です。自分の意見を捨ててひたすらに相手の真似をする。これを長年続けると、どうしてもまねできないと思ったところが出てくる。これが自分の個性であると、本書では述べられています。

どちらかというと、ここ最近「自分」を探し求めていた私には大変驚きで、受け入れたくも受け入れてしまうと今の自分の行動が否定されるような気分ですが、自分・核を見つけるためには欠かせない行為だと読み終えて理解できました。

会議は席順が命

席順で重要なのは、「目線」です。自分の意見よりも、相手の意見を引き出したいときは、みんなの目線が自分にぶつからない席に身を置いた方が、議論を俯瞰しやすい。議論に決着をつけたい場合は、決定権者の目線が、自分のほうへ向く位置に座ります。

こんなこと生まれて一度も考えたことありませんでした。理論理屈ではとても理解できる話です。また会議に出ていると、そういう2つのケースがあることも身に染みてわかります。
まだ私は若手なので、ほとんどが前者です。なので、自分はみんなの目線が交錯する場にいないように後ろで俯瞰していることがほとんどです。一方で自分が意見を言うときは、自分に目線が向きやすい位置に座れているのだろうか、と考えました。

その会議にとって、自分の役割と他人の役割を理解しておく必要があると感じました。この考え、とても面白かったです。

このほかにも、他人の味方を気にすべきという言葉が多くありました。

「自分が見られたい自分」よりも「人が見ている自分」が自分なのです。

私自身を振り返ってみるとエゴの塊なわけで、前者的な考えしかできないくらいです。ですが、こういう自分も捨てて俯瞰することを覚えようと思います。

意見は他人の「真似」でいい

そもそも、みんなで集まって議論をする最大の目的は何か。
それは、自分ひとりでは何日、何カ月かけても到達できないような発想が、みんなで言葉を交わしあいながら生まれること、その一点のみなのです。

私は見出しの言葉と反対に、自分が言う「意見」こそ重要なものなのではないかと思っていました。(まだそう思っている節もあります。)なぜなら私も建築業界という、少しデザインよりの領域に属しているので、オリジナリティがあり、「自分にモノ」であることに大きな意味を見出していたからです。

だれが言ったとか、どうでもいいじゃん。

少なくとも今の自分にはこんな発言できません。笑
ただこの必要性について考え直すと、どうでもいいかもしれないと思えました。この本の最後の方に「得意技」について書かれていたりしますが、「僕がやりました」と言える経験が今まで少なかった僕からすると、人の意見を引き出してまとめるほうが”得意”に思えます。

「学ぶ」の語源は、「真似ぶ」である。

空っぽにして、人の中身を入れてみる

自分のままで相手に対するよりも、自分を捨てていったん相手になり切ってみて、はじめて理解できることの方が真実だったのです。

今、特に私は会社の同じプロジェクトの上司が苦手です。仕事は(ある特定の領域において)とてつもなくできますが、人間的に非常に残念です。
でもこの本を読んで、とにかく真似してみようかと思いました。むしろ「真似したこともないのに、残念なんてどの口がいえるんだろうか。」と思うほどになりました。
真似してみればきっと考えていることや、そういう言い方になってしまうことを理解できるはずです。

「求められたとおり、やってみる」

それでも理解できないなら合わないだけなので、自分の感覚を褒めたいですね。

▶この本を読んで

本のタイトルにもある通り、自分を捨てると、この本に書いてあることもすーっと自分の中に入る感覚がありました。読んだことのある内容や、自分に響かない内容も普段はあるはずですが、「自分を捨てる」ということで、また新しい価値観に染まれることができたこと、この経験が面白かったです。

最近、自分について考える時間が多く、また悩み続けていると頭が爆発しそうになります。ですが、この本を読んで、「核」を今日見つけることは無理だ、と諦めました。笑
それくらい、「核」を探すことは時間がかかることだと思いましたし、根気も必要だと感じました。

どうにもならんことは、どうにもならん。
どうにかなることは、どうにかなる。

最後に乗っていた鈴木さんの座右の銘がとても素敵だったので、ここに載せておきます。
この言葉は結局、人生が外的要因に左右され続ける中で、どう進んでい行くかを表していると思います。つまり、他人なくして自分はないのです。

「自分を捨てる。他人を真似る」簡単そうで、めちゃくちゃ難しいこの行動によって、いろんな見方が変わることを知りました。

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