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76.職業=谷尻誠【谷尻誠】読書感想文

※いつもみたいにAmazonのリンクがなぜかつけられませんでした。気になる方は谷尻さんの名前で本を調べれば、すぐに出てくると思います。


さてさて、久しぶりの建築の関する本です。
最近はもっぱらビジネス本やら、経済学の本を読んでいました。

学びが多く面白い内容がほとんどですが、やっぱり自分にとってはどこか遠い存在で、親和性というのはあんまりないですね。

その点、この谷尻誠さんという人は、建築家でもありながら、いくつか事業を手掛けている人です。
最近読んだ松下幸之助さんの本よりは、さすがに身近です。


話が一瞬脱線しますが、最近図書館で本を借りることを覚えました。
「本を買う」のってお金かかる行為なので、躊躇しませんか?
なので僕はよく、Amazonの欲しいものリストに入れては、久しぶりに見返して買う、みたいなことが多かったのです。
ところがどっこい、その欲しいものリストに入れていた本の多くが、図書館にはあり、タダで借りれるとのこと。


ということで借りてきました。

本のタイトルにもある通り、「谷尻さんしかそんなことやってない」的なイメージが真っ先にあがります。ほんとに建築家?って感じです。

本の中では、谷尻さんの幼少期からの体験と気づきが書かれており、谷尻さんの考え方とその好奇心、実直さが描かれていました。


ほかの誰かと

僕は一人時間が、皆さんに比べると要らない人だと思います。
今も同棲していますが、一人になれないから同棲しない、という意見があまり当てはまらない側の人間です。

結構変わってると言われますが、その理由はシンプルに人といた方が楽しいからです。

もちろん一人になりたいと思うときもありますが、それはだいたい、他の人に迷惑をかけるのが分かっているときです。

一方で、ずっと一人だったらどれだけ楽か、と思うこともあります。
やっぱりやりたいことがそう簡単にできるわけもなく、いろんな要因でどんどん自分時間が圧迫されていくことは感じます。

本の中に、こんな言葉がありました。

自分一人では起こらないような状況、思いつかないような感覚を、ほかの誰かと時間をシェアしていることで、新たに知ることができる。
自分がすべてをコントロールできるのは、たしかに楽チンかもしれないけれど、そんな世の中は予定調和すぎてつまらない。

p.66より

なんていい言葉でなんていい解釈してるんだ、と思いました。

でもほんとにそうだと思います。
ほかの誰かは自分にはない価値観を与えてくれて、世界をどんどん広げてくれます。

僕の彼女はスーパー理論派の僕と真反対のスーパー感覚派です。
わけわからんことを毎日口に出しますが、やってみると意外と楽しいことがほとんどです。

絶対一人より、みんなといるほうが得だと思います。

軸足はどこにあるか

私は正直、建築の設計をしている時間が限りなく短いです。

まだまだ下っ端なので、言われたことをまずこなす。スキマ時間で準備して、打ち合わせという名のアイデア合戦に備えていることがほとんどです。

またワンジョブに定まっていないこともあるので、できることを探し、手を挙げ、何かを得ようともがいたりしています。

手当たり次第にやっていたら、結果としては他者からの評価は「なんでもできる人」にしかならない。

p.74より

お、自分じゃん~~。
間違いなく今の自分はなんでもできる人です。

趣味に関しても同じことが言えて、なんでもやる人なイメージがついてしまっています。

マルチな才能というのは一つのメリットだけれど、その軸足がどこにあり、ベクトルが向く先には何があるのかを感覚的に捉えられているのは大切なこと。

p.74より

今の自分の軸足はどこにあるのか。建築なのか?

いろいろやっている自分だからこそ、いろいろやってみて決めることができそうです。

そして自分の軸足に価値を設定しないことには、何も生まれません。
いろいろやっている谷尻さんだからこそ、その言葉の重さを強く感じました。

グレーゾーン

グレーというとどっちつかずで中途半端なイメージ。
白黒はっきりついていない、何とも言えない状態。

良いイメージが先行する言葉でないと思います。

じゃあこれを反対に言ってしまえば、白か黒かどっちかに決めることが良いイメージと認識されてしまいます。それも違いますが。

どちらに価値があるかを比較することよりも、いまいる場所、状況の中にどんな魅力があるのかを探ることの方がよほど有意義だし、なによりも幸せなような気がします。

p.98より

現状の自分にもやもやしている人は少なからずいると思います。
そのもやもやである状態を否定するのはよくないよ、ということです。

もやもやがある中でひとつのコトに価値があると断定し、生きていくことは視野を狭める行為になりかねません。
もやもやしているからこそ、グレーゾーンにいるからこそ、自分にとっても余白に新しい考え方が備わるのです。

グレーであること、肯定していきましょう。

マインクラフトと同じ状況

いまの建築の状況をエンドレスに街を構築し続けるマインクラフトと例えていました。

一方で、高度経済成長期の中での、建築の役割はもっと重大なものであり、無いといけないものを作る行為だったわけです。
それを本の中ではRPGという例えをしています。

この本の中で一番心に残った言葉でした。
いわば自分が今している仕事の価値を再認識させられました。

復興や成長期と並べると、それほどの大義があるわけでもありません。

海外の状況と比較すれば日本なんて豊かすぎるわけです。
豊かのさらに豊かを目指すことって、ほんとに今やるべきことなのでしょうか。

もっと土台のところだなあ、と直感ですが、感じました。

自分との約束を守る

自分との約束を守った数だけ、自信がつく

p.186より

谷尻誠さんの奥さんである、谷尻直子さんの言葉です。

自分が決めたことに責任をもって約束を果たそうとすることは、なかなか難しいことだと思います。

特に個人の判断のみで作った約束なんて、裏切るのは自分だけなので、簡単に約束は破れます。

一方で、約束を守れば、やりぬいた自信がつきます。

すごくシンプルな考え方なので、言葉を理解するのは簡単です。

僕なんて自分との約束を破りまくり人間です。
良くも悪くも約束をたくさん作ってしまう性格なので、タスクオーバーなだけなのですが、約束守らないことには全部中途半端ですよね。

なにかをやり切る。といわれるとハードル高く感じます。
自分との約束を守る。これだけなら頑張れそうですね。

さいごに

今日たまたま谷尻さんの50歳の誕生日ということだそうです。
まあたまたまですが。笑

僕自身、建築を学んで、仕事にしながらも、違うことに興味がいってしまう才能の持ち主です。

そんな自分には谷尻さんは学生のころから、「かっこいい人」でした。

過去に、僕の大学の後輩が、谷尻さんの主催する事務所にインターンに行っていました。

僕自身は谷尻さんにお会いしたことないのですが、後輩に「谷尻さんってほぼ先輩でしたよ」と言われたのがとても嬉しく、今でも忘れられません。


こんなかっこいいおじさんになれたらいいな
を体現しているのが、僕にとっての谷尻誠です。

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