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勾配日記 015 渓谷状

 眺めるという観点において、勾配の周囲の景観というものは、その勾配の角度が急になるのに比例して面白味が増す部分が多様にあると感じている。

 緩やかに長く続く見渡しのよい勾配及びその景観にも、そちらはそちらですっきりとした魅力があるのだが、ここ東京という都市のある種の混沌さをより際立たせる場は、鋭角でうねりのあるような勾配の方により多く含まれている気がして、ついそんな坂道を求めがちになってしまう。

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 写真は品川区内の住宅群を、細く急な勾配の途中から見下ろしている図だ。

 土地の高低差が激しい場所で、眺めている先の住宅群はちょっとした谷底にあるような状態だ。これ以上は車の進入は不可能で、この場からもう数十歩ほど進めば勾配は急な階段へと切り替わり、断崖に近いような場所を下ることとなる。

 少し話の趣旨がズレるが、この写真を眺めていると、建物の合間合間に緑が散見されることに気付く。

 仮にこれら散見される木々が全く存在しなかったとしたら、この景観はずっと息苦しものになっていたことだろう。

 

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