読書感想文が嫌いだった

学生のころ、読書感想文が嫌いだった。
本を読むのは好きだったし、たぶん当時も文章を書いていたけど、読書感想文だけは好きになれなかった。
原稿用紙5枚、2000文字。
今思うと、自分で文章を書くことが少ない学生に感想文2000文字って、文字数多い。
8割(1600文字)くらいは埋めなきゃいけないから、自分の本当の感想だけでは足りなくて、あとがきを参考に書いたこともあった。ひどい時は本を読まず、あとがきを読んで書いていた気がする。まさに原稿用紙を埋める作業。

先生は「自分の気持ち、自分の体験談をふまえて書くといいよ」みたいなことを言っていたかもしれないが、そもそも語れるだけの体験なんてない。年に一回、「突然語ってください」と言われても無理なのだ。
もちろん、練習すれば良かったのだが、読書感想文=夏休みの課題というイメージで「練習する」という発想すらなかった。

読書感想文が嫌いな理由としては、「正解がわからない」というのもある。
感想文なのだから正解なんてない。
むしろ、全て正解だ。
と今では思えるが、当時は非常に苦しんだ。
テストでも「この時の登場人物の気持ちを答えよ」という問題があるがこれも嫌いだった。
あと、「作者の言いたいことは何か」みたいなのも。
つまり、文章には作者の言いたいこととかテーマとかがあって、それを正確に把握しなきゃいけない。でないと、マルがもらえない。
こういう気持ちのまま、読書感想文も取り組んでいたんだと思う。
教科書に載るような文章はそういうのがはっきりしているけど、世の中にはそうじゃない文章が山ほどある。テーマがあっても分かりづらいものもあれば、テーマそのものも特にないものもある。
その中で必死に正解を探すというのは、ほんとう苦行。そもそも探し求めている正解なんてないのかもしれないのだから。

昔の自分にアドバイスするなら、
・一度目は普通に読め。感想を書かなきゃという気持ちでは楽しめない=感想でない。
・何回も読めるよう大長編は避けろ。そもそも読みきれない可能性もある。自分が無理なく読める長さで。
・小説じゃなくてエッセイとか評論の方がわかりやすくていい。読書感想文の本=小説なんて、指定なかったよね?
かなぁ。

大人になった今、たまに読書感想文を書きたくなる。誰もマルなんかくれないし、宿題なんかじゃないけど。
感想を伝えたい。
こういう気持ちが学生の頃にあったら、読書感想文ももう少しは好きになれていたのかなと思う。

#エッセイ #読書感想文

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?