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テレビ、情報、子どもの影響

うちの子どもは最近一人で市電に乗って学校に通いはじめた。親としては嬉しいやら少し寂しいやら。それまでは自転車で往復20kmを毎日二往復送り向かいしていた。1日40km。朝からかなりいい運動だった。

最近その子が家での会話で地球環境のことを話題にし始めた。車や飛行機は環境に悪い、地球が泣いている等。。。学校でそのような話題がでるのかと聞いたがそうでもないらしい。その情報源に気がつくのに一ヶ月かかった。

それはある難しい単語を聞いてきた時だった。うちの子は親の母語の関係で英語と日本語が母語、しかし学校に通い始めてドイツ語の読み書き喋りが主流になってきている。スイスに住んでドイツ語を話す学校に行っているので当たり前の帰結だが。「ペスティサイドって何?」と英語で聞いてきた。ピンっと来た。あー国民投票で農薬を国内全面禁止するかどうかのことだと。すかさず日本語で「なんでそんなこと知っているの?」と聞くと市電の車内にあるスクリーンの次の駅表示の合間に流れる文字ニュースであった。文字は読めたが意味が分からないという。

そこで一ヶ月前からうちの子が時々話題にしていた地球環境問題の情報源が分かった。なーるほど、うちの子は字を習い出してからやたらめったら町中にある字を口に出して読んでいた。街中の字ではあきら足らず家の中にある難しい哲学の本を引っ張り出してきて意味もわからず字面だけ追いかけて読んでいた。子どもの識字能力とはこのようにしてある時期に一気に身につけていくのだと感じた。外国に住み三か国後の家庭環境にあるので子どもが言語をどう身につけていくかというのはまるで実験をしているかの如く観察できる。

さて、本題は、その習得能力と子どもの環境である。これはこの子ども時期に備わる特別な時間であることがうちの子を見ていてよく分かった。そして・・・その時期に現代社会の洪水の如く流れる情報。ウチはテレビもないし、タブレットなども極力子どもがいじらないように注意している。娘が通うシュタイナー学校では学校内でのスマホ使用禁止、高学年になるまで学校に持ってくることも禁止。そしてご存知と思うが子どものテレビ視聴を極力避けるように学校が親に伝えている。

トラムの中で流れる文字ニュースは時間にすると1日往復で20分にも満たない。しかし、情報の良い悪いは別として子どもが吸収するその情報は同じものを見ている大人の数百倍数千倍のインパクトに当たると実感する。なぜなら私は10年この国に住み、ドイツ語学校にも通いながらもろくろくドイツ語を習得できていない。ウチの子はドイツ語に接するようになって幼稚園含めてまだ3年ほど、下の息子に関してはまだ幼稚園に行き出して1年たってもいないのに、地元のかなり方言のきついドイツ語をそのまま話す。

そろそろ、何が言いたいか分かってくれると思う。一日中垂れ流しで流れるテレビや街頭のスクリーン、そしてスマホ等の無作為な情報がどれほど子どもたちの脳内に食い込んでいるのか。止めることはできないとしても、親が意識して入っていく情報を選んでいくことは自衛策にはなると思う。大袈裟な話ではなく、こうして洗脳教育はできていくのかと思うとそら恐ろしさを感じる。。。

私たちが少なくとも一つの言語をある程度習得できるのはこの時期があるからであり、裏を返せばこの時期の環境がいかに大切であるかということでもある。ただ、決して早いうちからの過度な英才教育をすることがいいことであるとは、当然思わない。その年頃にあった適切な教育環境が必要なのである。そしてその年頃に大人向けに作られた営利目的のテレビやスマホの情報が子どもにどれだけの影響を与えているのか。それは一つ見方を変えれば、経済社会への一種の洗脳教育になってはいないだろうか、ということである。