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♯4 社内が混乱する!?同じ名前問題

「鈴木さん、昨日ココが間違っていたから気をつけて」
と、朝一番に担当社員さんから注意を受けたのだが、全く身に覚えがない。
しかも、私は昨日は出勤していなかった。
キョトンとした顔をしていると、
「あー!ごめん。あっちの鈴木さんだった!」
帳票の捺印だけを見て声をかけられたのだ。

結婚して苗字が変わったことで、
私の名前は“鈴木 正子(スズキ マサコ)”(仮名)という
全国に同姓同名が何十万人いるんだろうか?!という被りやすい名前になった。
結婚前から勤める会社で正社員として働き続けるのであれば、旧姓を使い続けるということができたのだろうが、
派遣社員として色んな会社を流浪している私には、その選択の機会がなかったのだ。
そのためどんな会社に行っても、必ずと言っていいぐらいに同じ苗字の方がいる。
冒頭の事件以降、仕事で使う捺印のシャチハタはフルネームのものを使うようにしている。

ある派遣先企業でのこと。
私が働き出した数ヶ月後にスタッフ増員で、別の派遣会社から新たに3人の派遣社員がやって来た。
偶然にもそのうち2人が私と同じ苗字の“鈴木”さんだった。
1人の人に至っては名前の途中“鈴木 マサ”まで重なっていた。
そのため、この企業では“正子さん”と、下の名前で呼ばれるようになった。
担当社員さんは
「派遣会社にはややこしいんで『鈴木さんだけはもう勘弁して下さい』と言っているんです」
と、明け透けに言っていたが、苗字が理由で仕事を落とされる人がいるなんて、なんと理不尽なことだろう。

そして、また別の派遣先企業では、遂に同姓同名の人と出会ってしまう。
出勤した初日。終業前に上司から呼び出された。
そして、深刻な顔で、
「実は社内にあなたと全く同姓同名の“鈴木 正子”さんがいるんです」
「そうなんですか。(驚く)」
「とっても言い難い話なんですが、ちょっと問題のある人で…。
 社員が頻繁に名前を出して悪く言ったりしてますけど、あなたのことでは 決してないので気を害さないで下さいね」
「あっ、はい……」
もう、なんとも言えない複雑な気持ちになった。
幸い同じフロア内で働く人ではなかったのだが、
就業中は、私宛のメールが間違えて向こうの鈴木正子さんに届いたり、その逆もあったりと、私の見えない部分では社内の人を混乱させているようだった。

他の企業では前任者も鈴木さんで、“鈴木さんから鈴木への引継ぎ”というケースも経験したり、エピソードは尽きない。

旧姓の時は、そんなに多い苗字ではなく、読み方も難しくなかったので、
このような問題と向き合っている人への当事者意識の想像力は完全に欠けていた。

たまたま派遣社員として、新しい環境に飛び込む機会が多いために、
同姓の人とも出会う回数が増えているのだが、
それでも、帳票やメールの文字上だけで人間違いをされることはあっても、
コミュニケーションを取っていく中で、自然と個人を認識してもらえ、呼び名の混乱は解消されていく。

被りやすい名前になったことで、新しい職場なら尚更。
よりきちんとそこに付加価値としての自分のキャラクターや本質を見てもらえるように、
誠実に毎日の仕事と向き合わなければ…という思いをより強く抱くようになったのだ。

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