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夏が終わらない、気がする。


 暑すぎる。アイスも平気で溶けてしまうし、胸元は汗で湿ってしまうし、なんとも不快な気分だ。それでも太陽は笑っている。例え誰かを熱中症にしようとも、太陽は容赦なく自己主張を続ける。己の存在を日光として、人々を照らし続けている。

 夏、もういいんだけど。花火も見たし、素麺も冷やし中華も食べたし、お盆にはお墓参りに行ったし。もう、いいんだけどなあ。そろそろ、快適に散歩がしたい。知らない街を、一人でフラフラと、特に目的もなく歩いていたい。

 そういえば、今年の夏は海に行っていない。小さい頃はよく家族で千葉の海へ行ったものだけど、ここ最近は海へ行く機会もなく、行きたいなあ、とは思うけど、妙に遠いところにある海へ行く気力がない。来年は、行くかな。

 そろそろ、二十五歳が終わる。もう四半世紀を生きたのかと思う一方で、まだ二十五年しか生きていないのか、なんて愕然とする気持ちもある。まだまだ若いと感じることもあれば、すでにおじさんだなあと老いぼれてしまった自分を哀れに思うこともある。二十五歳とは、実に変な歳だったかもしれない。

 二十六歳。尾崎豊さんが亡くなった歳だったと思う。特に何も残すこともなく、まともに生きることもできないまま、私は二十六を迎える。社会人としてやっていけるような能力もないから、人からすれば随分と曲がりくねった道を歩いているように見えるかもしれない。ただ、私は周りの同級生のように、社会が求めるような正しい生き方をすることができないでいる。いや、もう今後一生できることはないだろう。それは本当に惨めであり、残念としか言いようがない。

 それでも、二十六を迎えてしまう私は、何も変わらずまま生き続けなければならない。死ぬ、なんて選択肢は取りたくない。どうせなら、このまま突っ走ってやろうと思う。落ちるところまで落ちて、ほくそ笑む。それが私の生き様だろう。

 夏が終わらない気がする。それでも、二十六になった私は確実に冬を迎えるだろう。メリークリスマス。


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