ついに手に入れた!

本日もまた暑く、どうしてこんなに暑いんだろうなと思われる暑さです。ただ、朝晩は涼しく、秋の到来を感じます。暑い中ですが、やっぱり着物はきたい。その気持ちは忘れずに持っています。意志の弱い私が、こんなに長らくつづいたんですから、よほど、着物はすごいということになるんではないかなと思います。
さて、今回は私事で申し訳ありませんが、長らく、勤めてきた八木箏曲研究所が静岡市内の稽古場から、撤退、つまり師匠が稽古場を退職することになりました。また、新しい師匠が、今の稽古場を引きついでくれて、私はそちらに雇われることになりましたが、今の師匠がやめるということは、今までの古典箏曲中心だったお稽古がなくなることになります。新しい師匠は、どちらかというと、ホップス的な傾向があり、それはそれで構わないですが、なんだか大物が辞めるというのは、寂しいですね。
きっと健康上のことや、いろいろあるのだと思いますが、ある意味古典を演奏している人物や団体が、大幅に減ったのもあると思います。名流大会などでも、古典をやる人は減りましたし。一時の時代が終わりますね。寂しいな。
まあ、話を着物のことに戻しますが、着物に関しては、うるさいくらい師匠から叱られました。小紋を着ることは、許してくれましたけど、基本的に色無地や江戸小紋などでないと、着用できませんでした。音楽家は、楽器より派手にしてはいけないため、訪問着の着用は、禁止するとか、帯は、名古屋帯か、袋帯を一重、二重太鼓しかやってはいけないなど、厳しい服装指導がありました。今流行りの着物の本などは当てにできないため、仕方なく自分で覚えるしかなく、生地の見分け方や、柄の、意味などをよくノートにまとめたりしていたものです。蝶や椿、桜など、お教室には着てはいけない柄もありましたし、西洋花や、外来花をいれた着物もお教室には不向きでした。しかも、師匠が直接こうしろと言ったことはなく、師匠の着ているものではんだんするか、怒った内容を自分で考えなければならず、大変なお教室でした。呉服屋さんにも、時代に合わない、対象年齢が合わないなど言われ、なかなか本当にほしい着物が手に入らないで、泣いてしまったことも。そんなことで何回も失敗をくりかえし、お稽古用の着物としてふさわしいものがやっと入手できるように成ってきたなと思ったやさき、師匠がやめるなんて言い出す。まあ、人生なんてソンナモンだとは思いますけど、ほんとに悲しい出来事です。
でも、最後なんだからもうこいつも格好は一人前だと思ってもらえるように、理想的な着物を探しに行きましたら、ついに見つかりました。
師匠が、こうしてほしいと、うるさいくらい言っていた着物の条件は以下の通りでした。
1.光沢がある生地であること。着物全体が光ること。地紋のみが光るのではなく、着物全体が光る。
2.柄のない色無地。しかし、地紋は存在し、着物にびっしり隙間なく入っていること。
3.やむを得ず、江戸小紋を使う場合は、鮫小紋や、行儀小紋など格の高いものを使うこと。とくに、全体にびっしりはいっていて、色無地と見分けがつかないほど柄が細かいこと。
4.地紋や柄に縁起の悪い柄、西洋の花、抽象柄など意味のない柄はつかわない。
5.袖丈は、49センチ以内。それより長いと、弦にさわる。
6.若い人は元禄袖、年配の方は袂袖にする。
7.色は紫系が望ましい。
などなど、大変厳しい条件のなか、着物を選んでいました。
はじめのうちは、どれが何なのか全くわからないでいたけれど、怒られながらもやっと身につきました。もう師匠とお別れなのに、今になってやっと、理想的な着物を入手するなんて、出来の悪い弟子で申し訳ないです。いずれにしても、条件をすべて飲んではいませんが、理想的な着物に、なるべく近いものを、と頑張って購入しました。
まずこちら。

理想的な、紫の極鮫小紋です。
よく光る生地ではないけど、色柄はちゃんと師匠が言うとおりにしています。
お値段は、1000円。安すぎますよね。悲しい値段ですが、私には嬉しい買い物でした。
次にこちら。

紫の車輪を、地紋として入れた色無地です。
見ての通りよく光る生地で高級品です。
お値段は、3000円。こちらのほうが、華やかさはないですけど、格は高いのでしょうか。
まだ、帯や小道具は何にしようかきめていません。9月末に、師匠のお別れ会が開催されます。そのときは、どちらを着ようか、迷いますね。色無地と鮫小紋は、どちらが正装なのかなあ。
いずれにしても、やっと、13年間一緒にお琴教室やってきて、やっと理想的な着物を入手できたのに、尊敬していた師匠がいなくなってしまうとは。本当に、人生は無情なものです。
まあ、それでも、新しい社中でまた頑張りますが、もしかしたら色無地でなくなるかもしれません。それでも、着物の勉強したことは、無駄にならないと思います。音楽も無駄にならない学問ですが、こういう着るものの勉強も、無駄がないところが強みだと思います。
あとわずかですが、師匠との思い出を大切にしたいです。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。

拝読有難うございます。何かの参考にしてくだされば嬉しくもいます。