36日目 泣き夢

夢を見て泣いた。お父さんが死んだ夢。弟が死んだ夢。起きたら涙がでていた。夢だと気がつくまでの間を、長く感じた。お父さんが死んで1週間がたつと、夢の中のお母さんが言う。弟はまだ幼い。弟が描いた絵をファミレスで眺めて私は泣く。いつのまにか知らない男の子二人が目の前に現れる。私がお世話することになっている。一人の子はミニカーをたくさん渡すと夢中で遊んでいた。もう一人は東京の美術予備校に通っているらしく、画用紙に貝の絵を描いている。鉛筆で陰影をつけている。

夢、終わり。

午前中は、今朝の夢の悲しい気持ちを少しだけひきずりながら、自主リハビリをする。今日は休日だから、平日に会えるリハビリスタッフさんたちは来ない。

昼食は魚の西京焼きに、インゲンのごま和え、サトイモの味噌煮など好物ぞろいで、幸せな気分を取り戻す。バナナもパクッと食べられた。顎の手術後、腫れと麻痺で口を大きく開くのが難しかったが、ここまで来た。目標は指3本分。あともう一息。


昨日のいとこの結婚式に出席した妹夫婦や両親、夫がお見舞いに来てくれた。写真をたくさんみせてくれた。気管チューブをはずしてから妹夫婦に会っていなかったから、久しぶりにおしゃべりすることができて、うれしい。声はかすれ気味で、小さく、少し低くなった。まだのどに穴が空いている状態で、「オプサイト付ガーゼ」でふさいでいる。しゃべるたびにガーゼ内で空気がでたりはいったりして、はがれてしまいそう。まだしゃべるのは控えたほうがいいかもしれない。喉の穴も空気が通っていると、物理的に塞がりにくいような気がするから。

みんなが帰り、大河ドラマをみる。明日からまた平日がはじまる。


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