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宇宙人が部屋に現れるというクレーム

これはどこかで一度、書いたことがあるかもしれませんが、そうじ力講演会終了後のサイン会で恐怖体験した話です。

講演終了後にサイン会を開くことがあるのですが、
その時に、読者の方からいろいろと相談を受けます。

その時もサインをしながら相談を聞いて、本を手渡しする少しの時間で、回答を出して納得してもらうというスゴワザを出し続けていたんです。

結構な人数が並んでくださっていて、待たせて悪いなあと思いながら、せっせとサイン書いていたんですが、後方で並んでいる20代後半くらいの女性が明らかに様子がおかしいのです。

そわそわしているというか、落ち着きがないというか、やばい感じのオーラを漂わせていました。

待ちくたびれて、イライラしているようにも見えたので、僕はとにかくサインを急ごうと思いました。

彼女のサインの順番が近づくにつれて、ますます興奮状態になってきていて、これは、ちょっと怖いなと思っていたんです。

それで、いよいよ、彼女の番になると、

岡本太郎並みに目を大きく見開いて、

初対面の僕にかなり顔を近づけて、

ちょっと怒り気味で

「う、う、うちゅうじんがへやにくるんですけど、どうしてくれますか?」

と、大きな声で言われました。

僕も、今までにない質問というかクレームだったのでびっくりしてしまって、

「えっ、う、うちゅうじんですか?」

と思わず聞き返してしまいました。

すると早口で機械的に、

「そうじ力を実践したんですけど、部屋に宇宙人が来るって、どうしてくれますか」

というので、今度は落ち着いて、相手を受け入れる気持ちで、

「あなたの部屋にそうじ力を実践したにもかかわらず宇宙人が入ってくるんですか?」

と丁寧にかえすと、

ものすごく感情的に、

「そうです!宇宙人です!そうじ力実践したんですけど、宇宙人が部屋に入ってくるってどういうことなんですか!私眠れないんですけど!」

これは、もう僕へのクレームです。

彼女の後ろに並んでいる人達はザワザワしはじめてます。

「いやぁそれは・・・」

と何と答えたらいいのかとまどっていると、さらに強い口調で、

「ねむれないんですけど!」

もう僕はこわいので謝ろうとしたんですけど、「そうじ力を実践したのに、宇宙人が入ってくる」というところに、違和感を感じて、ちょっと強気に出る事にしました。

「あなたは、本当に、そうじ力を実践しましたか?」

彼女は「うっ」という感じになり、急におどおどします。

さらに僕は、気持ちを込めてこういいました。

「本当にそうじ力を実践できていれば、気持ちがハッピーになるんです。

ハッピーな空間と心ができれば「部屋結界」がはられます。

波長同通の法則によって、あなたを恐怖させる宇宙人は来ません!

つまり、宇宙人は入ってこれません!

あなたがしていたのは普通の掃除だと思います!」

彼女は、目を丸くして、僕を凝視しています。

僕も心臓が高鳴ります。

すると、彼女は会場に轟くぐらいの大きな声で、

「先生、申し訳ありませんでした。

私、そうじ力を実践していませんでした。

単なる掃除に陥っていました。

これから帰って、そうじ力実践します。

ありがとうございました。」

と言うと、会場の入り口に向かって走りだしました。

僕は、心臓のドキドキが収まらないまま、距離が離れていく彼女を見送り、平然と何ごともなかったかのように、次の人のサインをしはじめました。

すると、かすかに視界に入っている、会場の入り口付近にいる彼女がこちらを振り返り、

また、もの凄い勢いで、走ってくるじゃないですか。

もう、これはやられる!と思い、身構えると、

また、僕に顔を近づけ、目を見開き、彼女はこういいました。

「サインもらってないですけどぉ!」

震えながらサインをすると、彼女は、満面の笑顔になり、大切そうに本を抱きかかえ、深々とお辞儀をして、帰っていきました。

あれからしばらくたったけれど、彼女の部屋に宇宙人は来なくなっただろうか?

ふと気になった日曜日でした。

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