何でもない

何もすることのない日曜日。
今日は天気もよくないから、朝からみんなで家でゴロゴロ…
女神様は静かに読書をしていた。
「ね、女神様」
ぼくは言った。
「なぁに、コマ?」
なんだろう…いつもありがとう…今日はのびのびできていいですね…うぅーん…
ぼくは少し笑って答えた。
「ううん…何でもないです」
女神様は全部わかったように微笑んで言った。
「そう」
そしてまた読書に戻る。
さっきより少し嬉しそうに。

美子がぼくのところに絵本を持ってきた。
「ね、コマ兄」
「どうしたんだい、美子?」
絵本読んで、というのがいつものパターン。
いや、今日のおやつは何?かもしれないん
しばらくじっと、ぼくの顔を見た後、美子が言った。
「ううん…何でもないよ」
ぼくは少しおかしくなって笑った。
「そう」
そのまま美子は、ぼくの膝の上で絵本を読み始めた。

ぼくたちの様子を見て、女神様が言った。
「ね、美子」
「はーい、女神様」
美子は楽しそうに答える。
そういえば、美子はこの本お気に入りだよね、とか、最近一人で本を読めるようになったね、とか、成長したな、って昨夜、美子が寝てから女神様は言っていた。
でも、女神様は幸せそうに言った。
「ううん…何でもない」
美子はおかしそうに笑う。
「そう、そうなんだ」
ぼくたちはなんとなくおかしくなってみんなで笑った。
何でもないような、とても楽しい日曜日だった。

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