共に食事をしたい人

お久しぶりです。ますいけです
今回はLGBTとも精神疾患とも違うテーマです。ご飯が話題です。

さて、皆様食い意地は張ってらっしゃいますか?私は料理を生業とする家で育っているせいか一般より食い意地が張っているように思います。幼いころ実家にあった本はレシピ本や「美味しんぼ」等の料理漫画でした。そんなものを読みつつ育ったので、未知の食材や料理法、味付けの表現を見ると気になって気になって仕方ありません。料理漫画を読んでいてもそうですし、他の小説やエッセイで食事シーン、食べ物シーンが出てくるともう目が釘付けです。どんな味なんだろう。食べてみたい。再現できないものか…と気になって気になって仕方ないのです。

両親から学んだ事

現在一人暮らしで一人でご飯作って食べている私ですが、まだ実家にいた頃両親に「結婚するなら食の合う人ってのが重要だよ」と言われていたものです。食が合う合わない、どういうことだろう。と当時は思いました。同じ食材が好きな人同士の方がいいという事かな?と考えてはいたのですが、最近思うようになったのは「ご飯にかける情熱の方向性の近さ」なのかな。と思います。

これは是が非でも美味しい、手の込んだものを作れというわけではなく、日々ありふれた料理を味わって「美味しい」「幸せ」と感じる能力が近似値で同じベクトル向いているほうがうまくいく。という事だと思うんです。

新卒の頃、よく料理をする彼氏と料理をしない彼女のカップルがいました。彼女は「いつも彼が美味しいご飯を作ってくれるの」とのろけていましたし、彼氏の方もまんざらではない。ただ、当時の職は早番遅番があって、彼の方が遅く帰ることもしばしば。そんな時は食事はどうしてるの?という話題になりました。そうしたら「ごはんにふりかけとかバター醤油のっけて、かかかっと食べちゃう。」と言ったのです。ふりかけにもバター醤油にも罪はありませんが、私はな…んだと?と思ったのです。そう。後半の「かかかっと食べちゃう」に違和感を覚えたのです。

腹が満ちればそれでいい人種

前述した「かかかっと食べちゃう」同僚彼女、おそらく彼氏の作る美味しい食事も楽しんではいると思うのですが、基本腹さえ満ちればそれでいいタイプの人間なんだな。と想像がつきました。食べる事にあまり興味がないのでしょう。「食べる事に興味はないけど美味しいものは食べたい」という心理の方は多くいます。外食とかしたらちゃんと美味しいものを選んで食べることができるのに、本人の食生活を聞くと本当に「食事」をどうでもいい事ととらえている。

私は「食べる事は生きる事」だと思っていますし、簡単ご飯の代名詞であるたまごかけご飯にも浪漫があると思うタイプ。それに、誰かと食卓を共にするならば「これ美味しい!」「○○入れて正解だったよね!」とご飯に対しても意見交換がしたい。こういう人種が「腹さえ満ちればいい」タイプの人とご飯を共にしたらどうなるのでしょう。仮にステーキを食べに行ったとします。
私:「うわー、うめぇ。ガツンとにんにく、肉も肉汁たっぷりで!」
相手:「美味しいね。」
私:「付け合わせのインゲンもたまらん!」
相手:「そうだね。ごちそうさまでした。」
こうなるのが予想できます。っていうか、過去に何度か味わったことのあるパターンです。私が酒や白飯と料理のマリアージュを楽しんでいてまだ半分くらいしか食べてない状態なのに、腹が満ちればいい人種はすっかり食事を腹に収めている。
こういうのを「食が合わない」っていうんだな。と年齢を重ねるごとに分かるようになってきました。

二人で食べる楽しさ

一人暮らしで一人気ままに食べるご飯も結構好きな私ですが、誰かと食べる機会があるならそれはそれで楽しみたい。二人で一つの料理をシェアしたり、それぞれ違うメニューを「こっちはこんな味で美味しい」「こちらは違った感じで美味しい」と美味しいと感じる時間を分かち合うのも大好きです。

ある日我が家に人が泊まった時、翌朝私が目を覚まして廊下兼台所に行ったらそこには我が家に泊まった人が私の冷蔵庫を開けて物色し、台所で立ったまま食べている姿がありました。寝起きの私に睨まれると「いただいております。」とぼそぼそと言い、逃げるように部屋に入っていました。

家主の私に断りもなく冷蔵庫の中のものを食べたことに憤慨しましたが(心狭いかもしれませんがめちゃくちゃ怒りました)、理由を聞いてみたとところ「おなか減ってたけど、寝ているの起こすの悪いから」と返ってきました。人間だもの。お腹は減る。仕方ない。でも起こせ!朝からちゃんとしたものを作れないかもしれない。作りたくないから「松屋に朝定食食べに行こう」と誘うかもしれない。でもどちらにしろ、せっかくの二人でいるのに「美味しいね。」と言い合う時間を大事にしないで、自分の腹を満たすことを優先する相手に今後料理を作るのは心理的にしんどい。この方とは「食が合わない」んだな。と悲しく思いました。

食の合わなささで別れる

私は漫画が大好きなんですけど、ご飯系の漫画がことのほか好きなのです。よしながふみ先生の「愛がなくても食っていけます」も好きな漫画の一つなのですが、あるエピソードで、好みのタイプだし条件的にもあっている。「こんないい出物にはもう出会えない」と思ったのに、食が合わなくて別れたというのがありました。自分が美味しいと思ってるものを「変な味だったけどまぁ食べれたよな。」と言われてそれが決定打となって別れるという。
これだけではなく、食に対する姿勢の違いも描かれています。彼氏さんは前述した腹さえ満ちればいいタイプの人間なのです。この回を読むと私は毎回膝を叩きます。「正しく!!正しく!!」と。

大人になって実感する食への姿勢。人とご飯を食べる機会が減っているコロナ禍だからこそ、一緒に食事をするチャンスを目いっぱい楽しみたいものです。


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