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「なんとかなる」を疑う

「なんとかなるよ!」

場面によっては元気が出そうなセリフですね。
しかし、このセリフも、ポジティブ至高社会が産み出した呪詛なんじゃないかと思うことがあります。

今日は「なんとかなるよ!」についてのお話です。

【ネガティブだからこそ】

私はネガティブです。
悪いことを考えがちだから、「何か新しいことを始めるとき」に出てくるある特性があります。
それは「考えられるトラブルはあらかじめ防ぎたがる」という特性です。
私の中では「とりあえずやってみる」というのは、無策で突き進むことを意味していません。
やるならやるで、容易に想像できるトラブルは未然に策を打っておきたいのです。
「リスクマネジメント」「リスクヘッジ」ほど大袈裟な話ではなくて。
身近に例えるなら、「遠出するから車載のスマホ充電器は持っていこう」という感じですね。

なんとなく流れが想像できると思うんですが、こういうトラブルシューティングの場面での「なんとかなるよ!」が恐ろしくて仕方ありません。

【たぶんポジティブな H くん】

昔、一緒にとある活動をしていた仲間に H くんという 1 つ下の男性がいました。
彼は、あまり良くない意味で直感型行動派で、見切り発射が得意な方でした。
私は最低限のトラブルシューティングをしておきたいので、彼を " 一旦 " 止めることが多く、それに対して彼は不貞腐れるということがままありました。
私は、彼の意見に反対しているのではなく、「ちょっと考えよう」と言っているのです。
「これをやりたい!」が先行して話を聞けないようでした。
私自身も割と好奇心が強いタイプなので、最終的には彼の意見を採用はするのですが…。

私としては、お客様が存在する活動だったので、まずはお客様に迷惑をかけたくないのがありました。
そして、高確率で起きるトラブルであれば、事前に根本的な原因を潰さないのは、得策ではないと思うのです。
テーブルの端にグラスを置いたら、落とした挙句に割れることを予想できます。
だからスッと中央に寄せる。
意識としてはそれだけの話です。

私もきっと上手く説明できていなかったんだろうなぁと反省しています。

ただ、お互い嫌いではなかったので、いざ始まると彼なりに気持ちを汲んでくれるのでしょう。
「なんとかなるよ!」と言ってくれます。

私はそれが怖くて仕方ありませんでした。

【なんとかしてるだけ】

案の定トラブルが起きます。
私はシミュレーション済みなので、なんなく対応します。
稀に「よくすんなり対応できたね!」など労ってもらったりもしますが、全く嬉しくありません。
そのときの私の心中は、「だから言ったじゃん」しかありませんから。
「私が一切手を出さなかったらどうするつもりだったの?」と思います。

私は、「なんとかなるよ!」と言う方が、最後まで責任持ってコトに対応しているのを見たことがありません。
結局のところ、「なんとかなる」のではなく、「周りがなんとかしてる」のです。
もっと言えば、H くん ( の立場の方 ) は「なんとかしてもらってる」ことに気付いて周りに感謝するべきです。

それ以来、場面によりますが、私にとって「なんとかなるよ!」の信頼度は低いです。
とても良い言葉とは感じ取れなくて、「あー、またやること増えるんだろうなー」と思ってしまいます。

H くんのケースは、あまり詳細を話せないためにふわっとしていますが、一般社会でもよく起こります。
「問題提起」を仕事あるいは能力だと思っている方は起こしやすいです。
この文を打ったときに、3 人ぐらい具体的な顔が浮かびましたが。笑
社内の問題を見つけること自体は悪くないんですが、それだけでは不完全だという認識が広まってほしいのです。
なぜかというと、ただ文句言ってるだけのことを問題提起だと思う方が一定数いるからです。
「で、どうする」が大事なわけで、それがないと文句にしか聞こえないということですね。
各種お騒がせ活動家なんか最たる例です。
違うところは、各種お騒がせ活動家たちは「なんとかしろ!」と最初から悪びれる素振りもなく、全て丸投げなところでしょうか。

話を戻しますね。

「なんとかなるよ!」という世間体の良さそうなセリフですら、使い所を間違えればただの無責任な発言になってしまいます。
そのセリフを吐いた人がなんとかするならまだしも、結果的に他所に責任を押し付けるような言葉って、ポジティブなんですかね…?

この記事を書きながら、言葉の難しさと面白さの両方を再確認できました。


以上
本日はこの辺で。

ありがとうございました!

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