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巡る赤

奥能登国際芸術祭2020+
デイヴィッド・スプリグス『第一波』
作家がインパクトを受けた珠洲の海の大荒波。
さいはての、赤い波濤。

塩田千春さんの『時を運ぶ船』が漕ぎ出す海の、激動の瞬き。

大きな透明フィルムに一枚一枚手描きされた絵が重ねられての、この奥行きと立体感。作者が重ねたものは何なのだろうか。

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それにしても、この赤い色。
赫い。朱い。紅い。緋い。
総称することが精一杯の、赤。

胸が湧き立つ。心臓が撥ねる。眩暈がする。
魂を鷲掴みされるような色と音無き波濤。
古い漁具倉庫の柱の向こうに、無闇に近付くことを赦さない力が在る。

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塩田千春さんの赤い糸とセットで、同じ日に絶対観たいと思った赤い波。この波に乗るか、呑まれるか。

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まるで奇蹟のように独り占めできた空間を味わう幸せは、濃いエスプレッソのようで。

ああビックリした!

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