たかぎ ますみ(masuminosora)

生きるということは表現すること。 金沢市東山で古い町家を借りて暮らしています。 経験を…

たかぎ ますみ(masuminosora)

生きるということは表現すること。 金沢市東山で古い町家を借りて暮らしています。 経験を味方につけるキャリアコンサルタント。積読チョモランマの高さを更新中。 HP▶︎httpa://www.awkanazawa.com

マガジン

最近の記事

落ち葉拾い

小さな紙袋を持って公園へ。 春に爛漫と咲いた桜の樹の彩づいた葉がはらはらと散り落ちて、風が吹けば葉っぱの雨が降る。 好きな色味を見定めて葉を拾い、袋の中に入れる度に、かさり、と音がする。何やら小さな秘密の宝物をポケットに入れるようで、内緒の秘密ができたようで楽しい。 集めた葉を我谷盆に盛る。 創り出すことをやってみたくて習ったのだが、下手くそな上に完成に至っていない。丁寧にヤスリをかけて磨き、角を削ぎ、艶を生み出す作業が必要なのだけれど、手付かずのまま二年が過ぎた。それ

    • ほぼ皆既月食の月

      お天気に恵まれた。 目視できる。 青い地球の上に居て、宇宙の巡り合わせを目の当たりにする奇跡。 難しいことは手放して、目に映る不思議に身を委ねよう。 どんなに言葉を尽くしてもこの様を語りきれないし、言葉は想いに届かない。 うっとりする。 「能登花見月」が呑みたいなぁ。。。

      • 利己的な表現者

        目の前に座った人を、どうしたって励ましてしまうのだ。それが私のスタイルだと気づくのに時間が掛かった。 なんとかしてあげないと。 何かを言ってあげないと。 どうにかしてあげないと。 いろんなことを教えてあげないと。 元気になってもらわないと。 解決策を考えてあげないと。 それは、いったい、誰のため? あなたのためだと言いながら、実は自分がそうしたいだけの、とても手前勝手なコントロール。 目の前に座った人が、何を望んでいるのか。どうしてほしいのか。どんな言葉を掛けてほしいの

        • 薔薇の横顔

          早朝から冷たい雨が降り、 濃灰の空から叩きつけるような雨が降り、 遠雷の訪いに肩をすくめ、 バラバラと落ち続ける白い礫に目を剥く。 そんな天の気を受けても、 喧騒の合間には陽が顔を出し、 凛と可憐な花が開く。 春の日に娘から贈られた花を植え替えて、 お世辞にも上手いとは言えない世話でも、 私という粗忽に負けず、 あれから三周目の開花。 この花は強い。 助言を受けて、 今ある姿を一旦捨てると肚を括る。 うまく行っているからと言って、 それが最善だとは限らない。 この花

        マガジン

        • 詩集 いのちのぱん
          6本
        • 眞澄の空
          6本

        記事

          蟹は後姿

          やって来ました。北陸蟹合戦のシーズン。 解禁の6日はお天気にも恵まれて、ニュースによると超ブランド蟹「輝」が水揚げされ、大きさ、重さ、姿形(足折れ、色など)の審査を経て認定され、競りに掛けられての落札金額がナント500万円✨ 凄すぎるわ… そんな世界を眺めていたら、毎年恒例、じいじの差し入れ。 ありがたく頂戴し、捌く前にフォトジェニックな撮影大会を繰り広げる我が家。ええ、庶民です(笑) 蟹の面構えって好きなんですけど、人によっては嫌悪される場合も。甲殻類の顔、面白いと

          銀の匙の名前

          コールセンターに問い合わせ。話口の担当者と話が噛み合わなくて、もやる。 …承知しました。それでは、この件はどうなさりたいですか?そのままで良いということでしたら、報告を承ったことを記録に残して、お話を終了させていただきます。現場の確認などの対応をご要望でしたら担当営業所に引き継ぎまして、改めてのご連絡とさせていただきますが… 借りてる部屋の不具合に対応してほしくて連絡した時、「伝えるだけで終わり」という選択肢があることを今日初めて知った。何のための修理の窓口なんだろう。そ

          到着遅延アナウンスの午后

          ようやく秋が存在感を現し始めた今日この頃。 ええ。相変わらず積読チョモランマの標高を更新しながら、お仕事したり、コーヒーを飲んだり、美味しいものを食べたり食べたり食べたり時々作ったり食べたりして元気にしております。 朝晩冷え込みがキツくなってきたので、どのタイミングでホットカーペットやら、ヒーターやらを投入しようか思案中。ホットカーペットは登場させたら諸々終わる予感しかない…。ぬくぬくの居場所は麻薬で劇薬。手の届くところに登攀中の本やら雑誌やらKindleなんかがあったら

          到着遅延アナウンスの午后

          あるべき座にあるべきことの美しさ

          致し方の無い状況を乗り越えて約3年頑張ったけれど、とうとうその日が来てしまった。上の永久歯、第一臼歯を抜歯。 現在の歯医者さんにお世話になって3年になる。 3年通ってようやく、あのデンタルの機械のウィィィ〜ンやシャーーッツやキュイィィィンやズゴーッに慣れ、2ヶ月に一度のクリーニングにも通い、担当衛生士さんともすっかり仲良くなった。 だからといって、良くはならないと最初から宣告された通り、良くならないまま踏ん張って踏ん張って、そしてその日が来た。 抜歯は5秒と掛からなかっ

          あるべき座にあるべきことの美しさ

          ウチのワニが飄々としている。

          失くしたと思っていたイヤリングの片方が、バッグのサイドポケットから出て来た。完璧に諦めていたのですごく嬉しかった。あんなに探しても見つからなかったのになぁ。ま、失せ物とはそんなもの。自分が思ってもみなかったところから出て来ることが多いし、ほんと異次元ポケットはあちこちに隠れている。 東山baseの向かいの桜公園。葉っぱが色付き始めた。窓を開けて風を通せば、するっと通り抜けて行く。相変わらずの静かさで、そろそろ彩葉が落ちる音が聴こえそう。秋を楽しみながら、ゆっくり冬支度をしよ

          ウチのワニが飄々としている。

          遅れて来たトマトと部品の話

          石川県民のフェーズ「なんでやろ」の履行です。 バリカタ一風堂でもよかったんちゃうか?という心の声は、家族の地元愛に押し切られました。いえ、間違いなく好きですが。 で、まさかのトマト麺が残留しておりおり、完売間近のPOPに煽られてポチ。とろけるチーズをトッピングにポチ。タブレット注文だから、ポチ。運ばれて来た熱々を、白い紙エプロン装着で豪快に大量の赤い水玉を飛ばしながらいただき、去り行く夏を堪能〜。 そして昨日入院した愛車について、担当さんから電話があった。 「……というわ

          遅れて来たトマトと部品の話

          外気温は33度

          10月です。 今日も素晴らしく眩く明るく燦々とお陽さまが照り照り、洗濯日和だわ、お出かけ日和だわ、諸々規制明けでイベントてんこ盛り。引き篭もらざるを得なかった日々から、今日を待ち望んでいた気持ちも大きくて、どこもかしこも人出は多め。私もその喧騒にちょっぴり浸って幸せ心地。 そして10月です。 どっぷり秋のはず。夏ですかいっ⁈と言いたくなるくらいには暑い。だけど、半袖Tシャツでいいんだか、長袖シャツを羽織るかは悩ましいところ。とはいえ10月で、朝夕は涼しい。気温差激し過ぎる。

          さいはての海際で「私のこと考えて」と主張してみる。

          アートです。 作者はスボード・グプタさん。 きらきらひかるステンレスバケツから吐き出されているのは、近隣海岸に流れ着いた色とりどりのプラスチックたち。これをゴミと言っていいのかどうか、ちょっと躊躇。反応を怖れずに言えば、ヒトの吐瀉物的な…。 手軽さと便利さで私の生活にも随分な量が入り込んでいるなぁ、と。突きつけられると胸がイタイ。環境問題大事だと言いながら、SDGs大事だと言いながら、プラ塗れな日々。ううううう……。イタイ。 せめてもムダにはしまいと、小さなことからコツ

          さいはての海際で「私のこと考えて」と主張してみる。

          さいはてブレイク

          先日の、さいはての、珠洲市曽々木海岸。 海色と空色が混じり合わない水平線。 秋が来たはずなのに、夏を引き摺るような天気が続く。30度に届くような暑さの日も、どこかしら秋の憂いが匂う海岸で、テイクアウトのコーヒーを飲みながら、しばし波音に塗れてみる。 吹く風の向こうから、もうすぐ冬がやって来て、この海の色を鉛色に変えてしまうんだなと思ったら、キュッと背筋が伸びた。あの空だって鈍色になって、陽射しを遠ざけてしまうんだと思ったら、ギッと歯を喰いしばっていた。 秋の深さを味わい

          巡る赤

          奥能登国際芸術祭2020+ デイヴィッド・スプリグス『第一波』 作家がインパクトを受けた珠洲の海の大荒波。 さいはての、赤い波濤。 塩田千春さんの『時を運ぶ船』が漕ぎ出す海の、激動の瞬き。 大きな透明フィルムに一枚一枚手描きされた絵が重ねられての、この奥行きと立体感。作者が重ねたものは何なのだろうか。 それにしても、この赤い色。 赫い。朱い。紅い。緋い。 総称することが精一杯の、赤。 胸が湧き立つ。心臓が撥ねる。眩暈がする。 魂を鷲掴みされるような色と音無き波濤。 古

          赤を巡る

          奧能登国際芸術祭2020+。 諸々が明けて10月の佳日を今日と決めて、数ある作品の中の「赤」を観に出掛けた先の、ふたたびの塩田千春『時を運ぶ船』。奧能登芸術祭2017の作品がそのまま展示されている。 無数の赤い糸で具現化される感性。 一昨年、どうしても直にこの眼で観たくて、東京の森美術館の作品展に行った時の衝撃を思い出す。 小さな船から噴き出すように、糸が綾なす「時」が圧倒的。 この「時」は、時代のようでもあるし、溢れる情報のようでもあるし、身体の中に張り巡らせた神経や