昨年12月、「東京のリヨン」でワインを飲みました。

このときにいらしていたのが、ボージョレのワイン生産者であるクロテール・ミッシャルさん。当日は、現在販売中の２本のキュベを持って来ておられました。いやはや、美味しい料理に美味しいワイン、気の置けない仲間たちと楽しい時間をすごしました。

この日、このワインをいたく気に入ったのは、何を隠そううちの夫氏。
「あの、100年のほうのワイン、よかったな～。100年のほうのワインさあ、買いたいよね。あの100年のほうの…ほら、100年のほうのさぁ…」と、それからしばらくうわごとのように呟いておりました。わかったわかった。美味しかったよね。今度買おうね。

そうこうするうちに年末が来て、年が明け、新しい１年がはじまったわけですが、「ねぇ、そろそろ買おうよ。あの、ほら美味しかったじゃん。12月にさあ、飲んだガメイの、ほら100年のほうの…」わかったよ！！！！

というわけで、ようやくレ・ヴァン・リーブルのよしき君にご連絡し、購入させていただきました。珍しくしつこいな夫氏…！（飲みたかったらしい）

折しも10年に1度と言われた、京都の大雪のさなかでした。こんなときにホントすみません…と思いつつ、ワインの到着をわくわく待ちました。玄関のピンポンが鳴ると、「はっ！ワインだ！」と胸が躍ります。

ワインが届くのって、なんだか嬉しいですよね～。遠くボージョレの村から、ようこそ、我がますたや家へ！

フルールドポー 2019 / クロテール ミッシャル ［￥3800（税抜）］

＜ワインdata＞
国：フランス（ボジョレー）　種類：赤　品種：ガメイ　ヴィンテージ：2019　生産者：クロテール・ミッシャル　インポーター：上田佳希

＜バランス＞
酸味★★★☆☆　タンニン：★★★☆☆　香り：★★★★☆

というわけでこちら、ボージョレのガメイです。レ・ヴァン・リーヴルのよしき君が直輸入しておられるので、インポーター名は「上田佳希」となっておりますカッコよ…！

エチケットに描かれた人物は、かつてソムリエをしていたクロテールさんのことも模しているんだそう。いろいろと頭で考えず、まずは目隠しをするような気持ちで飲んでもらいたい。ワインをそのまま感じて欲しいという、願いも込められているんだそうです。

ちなみに、こちらは樹齢100年を超えるヴィエイユ・ヴィーニュのブドウの樹から造られたワインです。もうひとつのキュベに使われるブドウの樹は、樹齢40年～80年。よしき君はワインを注ぎながら、「まあ、どっちもヴィエイユ・ヴィーニュですけどね…」と呟いていました。ほんまや。

色合いは鮮やかで、ほんのりと茶色みがかってみえます。熟成がガンガン進むほどの年月ではないと思うのですが、自然派の作り手なので若干熟成の進みははやいのかもしれません。

香りは複雑だけれど、穏やかで控えめ。主張が柔らかい印象です。「ガメイらしい」親しみやすさは感じつつも、どちらかというと素朴な土っぽい雰囲気も感じます。

飲んでみると、綺麗な酸と果物感がじゅわじゅわあ…とくちの中に広がっていきます。う～ん…こりゃあしみじみ美味いな…果実を優しく手で絞ったような、ピュアピュア感。これ、なんの味だと思う？って聞かれたら、「うーん、木苺の味？」みたいな、ちょっと夢っぽいことが言いたくなってきます。

実は抜栓直後はブレッド系の香りを感じて、ちょっとドキドキしてました。わりとなんでも飲めるわたしですが、ブレッド香だけはちょっと敏感。多少あっても飲めはするんですが、ないならない方が助かる派ではあります。

ただ、時間が進むにつれてそれもだいぶマイルドになり、後半はほとんど気にならなくなりました。そりゃあ、100年の眠りから覚めたブドウの樹ですもんね（なんか違うけど）。時間をかけて、ゆっくりと、楽しみたいワインだったと思います。

これがガメイらしいかと問われると、いや、全然、ガメイらしくはないのです。
でも、品種特徴やイメージを超えて、ワインとして美味しいワイン。それこそ「目隠しをして飲んでも」美味しい、芯の通った魅力を感じるワインだったのでした。

「いや～、しみじみ美味いねぇ」

そんな風に語らいながら、クロテールさんのお話が蘇ります。

「どのようなワインを買うかは、もちろん買う方の自由です」

「でもわたしは、虫の声が聴こえない畑では、仕事をしたいとは思えない」

「毎日畑に出ていて、わたしは今、幸せです」

優しいはにかみ笑顔で語られる、そんな、穏やかでまっすぐな言葉のひとつひとつ。

思い出補正？
本人に会ったから影響を受けてる？

いいんですよ、ワインって、それこそが楽しいんではないですか…！！

▶クロテールさんと奥様のユカさんをゲストに招いたワインの輪はこちら。みんなも好きになっちゃえばいいさ…！

というわけで、わたしのワイン友達（※夫氏）と、実に水曜日ぶりに交わした杯だったのでした。ああ、いい夜だった🌙

さて、今夜はなにを飲もうかな。夜が来るのが楽しいって、最高だな…！

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■ ますたやとは：
関東在住の30代、3000円ワインの民（たみ）。ワインは週に約5本（休肝日2日）、夫婦で1本を分けあって飲みます。2021年J.S.A.認定ワインエキスパート取得、2022年コムラードオブチーズ認定。夫もワインエキスパートを取得、現在はWSETLevel3を英語で挑戦中の、ワイン大好き夫婦です！

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