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勉強とは

自営業の父は、なかなか使い物にならない娘に「勉強しろ」との意を込めて、自らが読んで気になった雑誌や書籍に付箋をつけて渡してくる。

今、手元にあるのは、父が定期購読しているPRESIDENTの7月2号。

表紙には、『記憶は要領!一度覚えたら忘れない「一生モノ」の勉強法』という夢のような文字が踊っている。60代で宅建、CFPを取得し、税理士試験にまで足を踏み入れた勉強家の父が、いかにも好きそうな表書きだ。

文字だけ見ると、どんなにスゴイ勉強法が書いてあるのだろう、と思う。

よくビジネス書や教育書で、著名人や高学歴の方が勉強の方法論をレクチャーしているが、「並」の人間には到底継続できないような勉強習慣が披露されており、読むだけで「失礼しました」と、謎の恐縮を感じてしまうので少々苦手である。

今回はドラゴン桜の作者である三田紀房さん、橋下徹さん、佐藤可士和さんのページに付箋が貼ってあった。どなたもネームバリューありありじゃないか。PRESIDENTだから、そりゃそうか。自分には縁遠い気がするが、「ここを読め」とのことなので、仕方なしにページを開く。

異なる分野で活躍されている御三方。同じテーマの下でも、それぞれの専門を切り口に話が展開されており、見た目は三者三様の誌面。だが、根底にあるものは、皆さん同じなのかもしれないという感想をもった。

勉強とは、「いかにたくさんの知識を詰め込んでいるか」という知識の量で出来不出来を測るものではない。インプットしたデータを「いかに組み立て、いかに的確に使いこなすか」までを考え、実行することである。

そして、勉強過程において、「新しい知見や解釈を見出し、持論を展開できるようにすることが大事」と、理解した。

橋下徹さんは、司法試験に挑戦していた頃の話を例に挙げ、覚えなければならない膨大な裁判例について、試験に多浪していた先輩ほど詳しくインプットしていたと語っている。

法律のセミプロと呼べるほどの知識を備えた先輩方より、橋下さんが早く司法試験に合格した理由。それは、多浪の先輩方に比べたら少ない知識をもとに、持論を展開した論文答案を作成したからだという。

2度目の挑戦で司法試験に合格したのは、言うまでもなくスゴイ実績だが、論文試験には1度目で合格していたというのにたまげた。

「激しい批判は、オリジナリティの証し」と言い切る潔さの背景には、誰に忖度することもなく、大きな潮流に巻き込まれることもなく、粉うことなき橋下さんの知識をもって組み上げられた持論を発信しているという、確固たる自負があるのだろう。

翻って、いろいろと「並」のわたくし。学生時代に、上記のような勉強の必要性に気づけたらよかったな。成績はそれなりだったが、自分がしていた勉強は、知識の詰め込みだったことに今さらながら気づく。

それでも昔は、インプット量の多さでなんとかやれていた。でも今や、脳の処理能力的にも、インプットに割ける時間的にも限界がある。

只今、絶賛、AFP認定研修を受講中である。一度詰め込んだはずの知識がゴッソリ抜け落ちていることに愕然とする日々。テキストを読み返し「そうだそうだ」と膝を打つが、腹落ちしていない内容は、またすぐに忘れてしまう。

知識を増やすには、かなりの反復学習と忍耐力が必要であるに違いない…。

でも、PRESIDENTを読み、ちょっと前向きになってきた。それでもいいのかもしれない。学習の手を止めなければ、遅かれ知識は増えていく。その過程で、「どうしてこのような制度が設定されているのだろうか」「どうしてこんな計算をするのか」などと考えを巡らせながら、のらりくらりでも知見を広げていけば、私にも、人を納得させる持論を展開できる日が来るのかもしれない。

最近の時事問題で言うと、個人的に結婚の悩みのタネであった、選択的夫婦別姓制度は導入して欲しいという持論がある(我が家は夫が姓を変えた)。

姓の変更が結婚のハードルになっているカップルは他にもいるかもしれず、婚姻率の増加に少なからず寄与するのではと思うからだ。

だが、戸籍が重視される現状の世の中において、戸籍制度の改革なくしての導入は、混乱を招きそうである。選択制になれば、姓が同じ戸籍もあれば、同じではない戸籍も存在することになり、戸籍がベースで、すべてに戸籍のチェックを必要とする相続などで、確認作業が大変になりそうだなと思う。

今だって、ファイザーのコロナワクチンを希釈する生理食塩水だけを打ってしまったり、空のワクチン容器から空気を抜いて注射したりするのだから、新しいことをするときに混乱はつきものだ。

異なる姓のまま家族契約をして相続を受けてしまうような、『オレ家族詐欺』なんかも、なきにしもあらずと思ってしまう。

これまではひとつの戸籍に、同じ苗字で揃った人たちの名が記されていたのだから、直系家族の証明は一目瞭然。戸籍の信頼性はそこにあり、皆が大いなる安心感を寄せていた。同じ姓も異なる姓も、間違いなく家族であることをペラッと1部の証明書で表せるよう変わるには、時間がかかるに違いない。

まずは、通称利用の拡大から始めながら、戸籍に載せる内容や、記載方法などについて具体的に詰めていくのが良いのかなと思うけど、違憲合憲問題で立ち止まっているので、未だ道は拓けていない。

うーん。

こう書いてみると、知識の裏付けが薄いから、ただの意見・想いみたいな感じがするなぁ。誌面にて、「アウトプットのための知識の収集が大切だ」とも橋下さんは語っていた。勉強します!

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