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アメリカに渡航制限解除の兆し。ワクチン接種を条件に11月上旬から 週刊インバウンドニュースマガジン9月3週号

2021年8月の訪日外客数が発表。オリパラ効果で、今年3番目の数値

2021年8月の訪日外客数(推計値)が発表されました。

訪日外客数(2021 年 8 月推計値)〜 8 月:25,900 人、国際的な移動の制約続く 〜(JNTO)

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海外からの渡航は引き続き大幅に制限されていますが、先月同様オリパラ開催に合わせて、選手や関係者が日本を訪れたことで2万人を超える数値を記録しています。

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国別数値も先月と似た傾向です。中国、韓国などもともと訪日の多かった国のほか、アメリカ、フランス、ドイツなど、五輪選手派遣の多い国々が多くの割合を占めています。

来月は五輪効果が消え、また6月までと同水準の1万人程度に戻ると思われます。

重点支援DMO37法人が選定。3つの分類に注目して自地域の観光づくりのヒントを集めよう

9月13日、観光庁から重点支援DMOの発表がありました。

そもそもDMOとは、 Destination Management Organizationの略語で、地域と協同して観光地域作りを行う法人のこと。稼げる地域観光の担い手として期待されています。

現在日本には、95のDMOが登録されていることはご存知でしょうか?

参考:登録DMO一覧

重点DMOとは、その中でもさらに意欲とポテンシャルがあり、地域観光の磨き上げ及び着地整備に取り組む組織のことで、政府からの重点的な支援を得られます。今回新たに5つの法人が選定されたことで、全部で37法人となりました。

37法人の詳細は以下のとおりです(参照元)。

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皆様の地域や、皆様がご存知の地域はありましたでしょうか? さて、ここで気になるのは上記一覧の3分類です。

重点地域DMOは、以下の3つのタイプに分けられています(参照元)。

総合支援型 (19法人)
地域の着地整備の状況や観光地域振興の取組への積極性・先駆性が認められることに加え、既に一定以上のインバウンドの実績がある、または今後インバウンドを伸ばしうる取組が期待されるかどうかを考慮して、インバウンドの誘客に向けて国として支援を強化すべきとして選定されたDMO。

特定テーマ型 (7法人)
インバウンドの誘客の強化と並行して、国内誘客を進めるべき、または着地整備において取り組むべき課題があると考えられる一方で、特定のテーマについて特色のある取組が認められ、他のDMOへの横展開を進めるべき「お手本」となるものとして、選定されたDMO。

継続支援型 (11法人)
令和2年度重点支援DMOとして選定されており、上記2分類にはあてはまらないものの、さらなる取組を引き出すことが期待されるDMO

ここからは上記説明を呼んだ私の理解です。総合支援型は、観光地としてのポテンシャルと実績がある、まさに重要なDMO。特定テーマ型は、ある分野での特徴が際立つものの課題も抱える、あと一歩のDMO。継続支援型は、過去に選定されたものの、際立った成果や特徴を出せていない実行・実績が期待されるDMO。と言ったところでしょうか?

重点DMOは、(あくまでも政府の考える)観光地域の成功例、あるいは他地域へのお手本だと解釈できるでしょう。

37法人の何が評価されたかを知ることは、みなさまの観光地域経営の重要なヒントになるでしょう。その際に上記の3区分を把握しておくと、情報収集の精度向上につながるのではないでしょうか?

私ならば、特定テーマ型DMOに注目し、1. 評価される特定のポイントは何か 2. 「あともう一歩」の課題は何で、共通点はないか をまずチェックします。その後、総合支援型に注目し、3. 「2」で見つけられた課題はどのように解決した(している)のか を分析すると思います。

情報収集の参考になる、重点支援DMOの取り組み実績はこちらからご覧いただけます。

緊急事態宣言は全面解除の見込み? ワクチン接種証明を使ったGoTo再開も視野

新規感染者数がピークアウトしたかに見える昨今、政治の世界でも制限緩和や旅行回復に向けた動きが現れ始めています。

自民党総裁選に立候補している岸田文雄氏が、GoToトラベル再開に言及しました。日本旅館協会浜野浩二会長との協議の中で出た発言で、「再開を検討する」との内容です。

実施にはワクチン接種証明書を活用する意向を示しており、時期は「経済を再開したら」と明言はされていません。

そのため現時点ではどこまで現実性のある発言かはわかりません。しかし、GoTo再開を言及するのも憚れるような時期が長かったことを考えると、国内の雰囲気の変化を感じざるを得ません。

GoTo再開の前提になるであろう「緊急事態宣言の解除」については、菅首相が発言しました。

菅首相は今週後半に訪米する予定ですが、帰国後に解除に関する最終判断を行う見込みです。この先の状況によってはどうなるかわかりませんが、現時点では解除する方向で進んでいるようです。

期待して裏切られることが続いた1年ですので、無根拠な期待はしないほうがよいのでしょうが、明るい兆しが見えてきているようには感じられます。

さて、そんな日本の判断や判断後の姿に影響を与えるであろうアメリカの情勢について。

アメリカでは11月上旬から、外国人の入国条件にワクチン接種が義務付けられます。これは日本のようなすでに渡航がある程度許容されていた国からすると、陰性証明に加えて接種証明も必要となる制限強化の取り組みに思えます。

一方で、ヨーロッパの多くの国や中国など、もともと入国が禁止されていた国々からすると、ワクチン接種で入国が認められる緩和処置だと言えるでしょう。

【参加募集】観光庁予算資料の読み合わせ勉強会を実施
これからの訪日についてディスカッションしましょう

みなさんとディスカッションしながら観光庁予算要求資料を読み合わせする、オンラインの勉強会を実施いたします。つきましては、ご参加いただける方を募集いたします。

3週間ほど前に、このメールマガジンで以下の内容を配信致しました。

配信後に多くの方から反響をいただいたため、今回この読み合わせ勉強会を企画致しました。

インバウンドの未来に関心のある方で集まり、予算をみながらワイワイとディスカッションするゆるめのイベントです。もし少しでもご興味があれば、こちらのフォームからお申込み下さい。

イベント概要は以下のとおりです。

■概要
実施日:2021年9月28日(火)17:00〜18:30
実施場所:オンライン(お申込み後、ZoomのURLを送付いたします)
定員:特になし(もしも参加者多数の場合は制限する可能性がございます)
参加費:無料

■イベント構成
・観光庁予算って何?
・概算要求資料を読むとどんな意味がある?
・令和4年度予算概算要求解説
 ・大まかな方針
 ・規模の大きな予算
 ・新規で割り当てられた予算
 ・増額率が大きい予算
・実際に自分で読んで見よう
・ディスカッション

光明が見えたように感じられる旅行業界について、ぜひ一緒にお話していきましょう。ご参加お申し込みは以下からよろしくお願いいたします。

多様な人材が活躍できる組織づくりとは?
DMOの人材問題をディスカッションするトークセッションを公開

Facebookグループ「今だからこそできるインバウンド観光対策」にて毎週水曜日に開催しているトークセッション。

その模様をMATCHAではYotubeにアップしています。今回は先週9月15日水曜日に行われた「文化と経済を仲介する観光人材を育てる」をご紹介します。

先週に引き続き、テーマは人材。ポイントは「文化と経済」です。SDGsという言葉が流行して1年あまり。観光にもその流れが訪れています。

これからの観光は、ただ稼ぐだけでなく地域の未来に貢献していく必要があります。地域の文化や生活を守り・維持しながらも、経済的な利益も追求していく難しい舵取りを私たちは迫られています。

そんな新しい時代の観光を作っていく人材の育て方をテーマに、有識者の皆様のお話を伺っていきます。

文化と経済を仲介する観光人材を育てる - 鮫島卓氏×髙井典子氏×萩本良秀氏×青木優
https://youtu.be/TDAHPKbbeo4

あとがき

シルバーウィーク、いかがお過ごしですか?
私事ですが、現在引越しを予定しており、週末は荷造りばかりしていました。

引越しといえば、外国人の同僚によく「日本の賃貸ルールはよくわからない」と言われます。

LDKの考え方や、敷金礼金の慣習などなど。MATCHAには日本在住の読者も多いため、観光情報以外にこのような文化・生活情報のコンテンツも人気です。

また、外国人が日本で言えを借りる際には、外国人NGの物件・大家という壁もあります。在留外国人に対しては、イメージで怖さや不安を抱える方も多いのでしょうが、実際に海外出身の同僚の話を聞くと、やはり少し悲しく感じてしまいます。

このような物件を借りにくい方々のことを住宅弱者と呼ぶそうです。外国人の他には、高齢の方や身体に障害を持つ方、ひとり親、LGBTの方々などが含まれます。

賃貸サイトのホームズでは、そんな住宅弱者の方向けの支援サイトも用意しています。
https://actionforall.homes.co.jp/friendlydoor

日本の社会問題とも言えるでしょう。

さて、観光に引きつけて考えれば、在日外国人に対する視線は、訪日外国人に対する視線と根底でつながっていると私は考えます。在日の方にネガティブなイメージを持っている方は、訪日客に対しても同様の感情を持つことでしょう。

そのような人々が集まった地域に、海外のお客さんが喜んで訪れるとは私は思いません。訪日客を受け入れるなら、まずは身近な外国人に接してみてはいかがでしょうか?

在日外国人は、インバウンドビジネスの重要な担い手にもなります。彼らが暮らしやすい地域を作ることが、強靭なインバウンド地域を作ることにつながるとも私は思います。日本全体で外国人に対するアレルギーをなくしていけるよう、みなさまと取り組んで行きたいです。

今週も読みいただきありがとうございました。

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