1. 100代目新首相に岸田文雄氏が就任。新首相の観光政策方針を再確認する

9月29日、皆さまご存知のように日本に新首相が誕生しました。

岸田新首相のもと、観光行政はどのような方向に進んでいくのでしょうか？

先週は当時の4候補による政策討論会と、各候補の観光政策に関する意見をご紹介しました。

今回は改めて、岸田新首相の回答のみを抜粋してご紹介します。

出典は自民党の公式Youtubeチャンネルの「【自民党総裁選】国民の声に応える政策討論会③「防災・減災、国土強靱化、観光振興、農林水産」（2021.9.25）」の動画です。

書き起こしではなく要約ですので、正確な情報は上記動画をご参照ください。

Q1. コロナ後の観光客誘致について、どのような政策を提案されるか
GoTo2.0という新しい観光振興策を訴えている。従来のGoToキャンペーンをバージョンアップさせたい。ワクチンパスポート、陰性証明を持っている方にはプレミアム率を上げるなど。以前のGoToトラベルは大型店・高級店に人々が殺到したので、中小・小規模の旅館・お店に行ってもらえるようにプレミアム率を上げるなど。また地域共通クーポンはぜひデジタル化したい。

Q2. 富裕層観光について
まだまだ伸びしろがある。日本とアメリカでは富裕層の落とすお金の単価が10倍くらい違う。その理由は日本にはまだ体験型の観光が不十分であるからだと指摘されている。日本には素晴らしい文化・芸術がある。まずはそのような種を活用するところから、日本の観光の可能性を追求していきたい。

Q3. GoToトラベルについて。昨年感染拡大の一因にならなかったか？今年再開された時に同じことにならないか心配している
先述のようにGoToはバージョンアップさせた形で、ワクチン接種証明、陰性証明と組み合わせた形で再開させていくことを主張している。ただし、コロナは変異も行われるので、共存する際に油断してはいけない。社会全体がコロナと共存するため、無料PCR検査の体制を用意する、簡易検査キットの入手を簡単にするなどの体制を作っていかなければいけない。旅行自体も、このコロナの時代にどのような旅行が安全なのかも、有識者会議を通じて考えていくのが大事なのではないか。

Q4. 国として今だからこそやるべき観光資源の活用方法は何か。どんな観光資源をどのように発信していくのか。
人の行き来ができるようになった時のために何をやっておくべきか。様々なツールを使って、様々なソフトを紹介していく。日本には海外の方に大変な魅力を感じていただける歴史・文化・伝統等、様々な財産が特に地方にある。こういう時だからこそきめ細やかに情報発信していく必要がある。

Q5. 観光振興についてもう一度聞きたい。地域の疲弊した経済が観光で回復可能なのか？インバウンドで様々な問題も起きたと思うが、ネガな面での意見も聞きたい。
観光は地域にとって大変大きな可能性を占めている。観光を活かすためには、地域や社会の活力を維持した上でないと、(その可能性は)発揮できない。地域・地方について、デジタル田園都市という構想を持っている。技術を活用して、都市と地方の物理・時間的距離を埋められないかと思っている。そういったふうにしっかり地方を作った上で、観光を乗せて大いに盛り上げていきたい。

私なりにまとめておきますと3つのポイントが挙げられると思います。

1. 目先はGo To 2.0で安全かつバランスの取れた観光振興策
2. 中長期では日本ならではの歴史・文化の活用 (商品化・高付加価値化？)
3. 同時にコロナ共存のための安全対策

Go To トラベルは事業者側で準備が間に合わない、という声もよく聞かれました。今回は2回目ですのでぜひ昨年の経験を活かしスピーディに対応したいですね。

また、今回はデジタル化や、ワクチンパスポートの活用などオペレーションがさらに複雑になる可能性があります。方針の変化などはこのマガジンでも随時ご紹介していきます。

2. 緊急事態宣言がついに解除！最初の週末は変化小さくも、旅行需要は確実に復活

10月1日、ついに緊急事態宣言が全国的に解除されました。

菅総理大臣は1日の会見で、飲食・イベントにおける制限の段階的解除に言及しつつ、マスク着用・三密回避などの対策を国民に対し引き続き求めました。

また、1日からは海外からの帰国・入国者の待機期間も14日→10日に短縮されます。ビジネスの渡航者にとっては嬉しい緩和ですが、旅行という観点では待機期間が10日になったからといって旅行者が急激に回復することはなさそうです。

緊急事態宣言解除は非常に象徴的な変化ではありますが、その他のルール・社会的規範などはすぐには変化しないのではないかと考えます。

観光に対する人々の動きはどうでしょう。

2日・3日は宣言解除後初の週末となりましたが、街場の声は様々なようです。客足が戻ったという声も、以前とそこまで変わらないという声も。

ただし、いくつかの報道を見ると、大まかな傾向はありそうです。

東京都内や大阪など都市部の人流はやや回復したという声が多い一方、地方の観光地ではまだ実感を得られるほどの回復は無いようです。

遠方への旅行には準備期間も必要ですし、まずは近場の行楽に人が流れていったということでしょうか？

観光についてはこれから少しずつ回復してくるでしょう。

観光の未来が、将来確実に回復することを感じさせるニュースがこちら。

全日空によると、10月の国内便新規予約が1日約5万件と、9月の同時期に比べると約10倍に回復したそうです。

行楽シーズンがまもなく開始し不安を覚えている方々も多いでしょうが、観光客の動きは確実に活発になってきています。

3. アフターコロナの観光対策続々。官民での動きを紹介

さて、緊急事態宣言も解除され、国内はもとよりインバウンドの回復も意識されるようになってきました。

各地域では既に、様々な動きを加速させています。この項目では、そんな各地域のいち早い動きをご紹介します。

福島県では10月にも、米国、オーストラリア、英国、フランス、スペインに現地窓口を設置するそうです。福島県ではすでに台湾・タイ・ベトナムの現地窓口があり成果を上げています。

今後は現地窓口を通じての海外商談会参加を検討しており、コロナ後のいち早い顧客取り込みを狙っています。

沖縄観光コンベンションビューローは、まず国内向けのプロモーションを強化します。

三密を回避した沖縄の楽しみ方、離島コンテンツなど、安心安全と観光の魅力を織り交ぜた情報発信を行っていく予定です。

インバウンド(国際線)に関しては、まずは検疫体制の確立を優先する方針です。

参考ニュース：ワクチン接種で航空券プレゼント（ANA）

参考ニュース：ワクチン接種証明やPCR陰性証明書の提示により、さまざまな特典が受けられるキャンペーンを開始します。（JAL）

航空会社・旅行会社では、ワクチン接種者に対する優遇措置を開始しています。ANAではワクチンを2回接種した12歳以上の方(日本在住の会員に限る)に、抽選で往復航空券をプレゼントします。

JALでも同様の航空券プレゼント企画があるほか、空港内ショップでの割引キャンペーンなども実施します。

日本旅行では、ワクチンを2回接種した方限定で、宿泊施設で使える館内利用券3000円分をプレゼントします(先着1500名)。

国内・国際を問わず、動き始めている地域・会社は既に存在しています。コロナ禍で私たちは、臨機応変な対応や即応性の重要性を改めて認識したはずです。

この新しい変化のタイミングで、商機を逸しないようスピーディに対応していきましょう。

4. あとがき

毎週のご購読誠にありがとうございます。

いつも私事ばかりのあとがきですが、本日は普段以上にプライベートなご挨拶がございます。

このマガジンを担当しているわたくし植松が、9月30日を以てMATCHAを退職いたしました。

ですが、本マガジンは引き続き私が担当予定でございますので、特に変化はございません。楽しみにしてくださっている方がもしいらっしゃれば、ご安心いただけると幸いです。

MATCHAに入社して6年、本マガジンの執筆を開始して2年ばかりと存じます。

業界外からMATCHAにジョインし、本マガジンを通して皆さまとインバウンドに関しての勉強ができたことを大変ありがたく感じております。時々お会いした方に「読んでますよ」とお声がけいただけるのが励みになっていました。

これからも配信は継続されますが、改めて御礼申し上げます。配信期間中にコロナ禍が訪れ、一時はワクチンのニュースばかりお届けしていた中で、今週からはようやく観光の動きを重点的にご紹介できました。

個人的にも業界的にも節目の時期だと感じております。

現在は青森県青森市に移住し、新生活をスタートさせております。ぜひご近隣の方はお会いできたら嬉しいです！

青森駅前の「Aomori Startup Center」というところに大体おりますので、お越しください。

Twitterもやっているので、ぜひフォロー＆メッセージいただけると嬉しいです。

あおスタ(Aomori Startup Center)
https://twitter.com/AomoriStartup

Uematsu Hiromasa@あおスタ
https://twitter.com/matcha_uematsu

退職にあたり、MATCHAでの思い出なども書かせていただきました。

2021年10月。MATCHAを退職し青森に移住します！
https://note.com/uumatsu/n/n6e8908cdbdba

MATCHAは本当に素敵な会社ですので、これからもぜひよろしくお願いいたします。

今週もお読みいただきありがとうございました！

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