見出し画像

ガタカ Gattaca


良い映画に出会ったあとはどっと疲れる。

今回は完全に全身の力が抜けて軽く放心状態
心と頭がまだ映画の世界に浸っていたいと騒いでいて〜
しばらくソファから動けなかった。

わたしは昔から無機質な美しさや空間美が凄く好きで
箱根のポーラ美術館や沖縄の鍾乳洞も一生忘れない産物になっている。
ぱっと思い浮かんだのは、
SF映画のエクス・マキナも
無機質な美しさでは記憶に残っている。

だけれどより近代的気味だったなぁと
1998年に生まれた「ガタカ」を観て思い返した。
この映画がこの時代に創られた事に驚愕する。
そしてこの時代になって邂逅したことへの嬉しさを!

そんな私にとってこの映画は
視覚的満足度も高い中、美しい台詞たちが飛び交いながら
ストーリーが展開していく。

DNAにより人生を惑わされてきた人たちが
DNAレベルではなくて
生身で生まれて形成されてきた人間
そのものを必要とし、必要とされていく。
そこが何よりも美しい。

現世を否定するようで肯定してくれているよね。

これ人間の脳みそでどうやって考えたの〜?

誰も逆らえない筈の遺伝子をコントロールする。
つまり人の人生がコントロールされていく世界の中、
人間の恋愛、友情、同僚、夢、様々な人生のポイントが
映画表現という美技の中で私に深くのしかかった。

以下、作中の言葉を引用して

"エリートが何かの不運で悲運に見舞われた時
彼らの遺伝子は高値で取引される
「人の不幸が幸福を招く」"
ーOne man's loss is another man's gain

映画Gattaca

はじめに印象に残った言葉。

どんな世の中になろうと
幸福を探し求めて生きていくのかな

どんな世の中になろうと
希望を探し求めて生きていくのかな

遺伝子という愛の結晶による人生の決めつけは
結末のわかっている小説を読むのと訳は違うから
そう思いながら進んでいく映画は儚くて強くて美しい。

Consider God's handiwork:
who can straighten what He hath made crooked?
神が曲げたものを誰が直し得よう?

I not only think that we will tamper with Mother Nature.
I think Mother wants us to.

自然は人間の挑戦を望んでいる

映画の冒頭に出てくる上記の言葉たちは
映画をもう一度観返す程で作られているのかもしれないと考察している人がいたが、映画を観た後に必ずこの言葉に触れてみてほしい。

DNA操作なんてしたいけどしたくない〜
これがSFかぁ。

非現実的な事と現実的な事がうまく入り混じり
映画でしかできないことを
映画により自分の心に何かがスッと介入された時、
そういう映画に出逢った時に
わたしはこれぞ映画だなぁと思う。

ガタカ、人生の中でトップ映画だよ!


「TIME」と同じ監督・脚本のAndrew Niccolさんで納得。
あとはそれから日本語字幕翻訳の方、素晴らしいです。

最後の台詞がヴィンセントでもジェロームでも捉えることが出来るのは、この映画が形成したかったことが形成された瞬間だと思う。

兎に角、みんな!観て!


P.S 映画の中での螺旋階段はDNA🧬を揶揄しているって記事があって鳥肌立ったけれど(なんで足の不自由な人の自宅が螺旋階段なんだよ!って心の中で思っていた)
あの這って登り上げる姿は絶対に忘れない。遺伝子への抗いだって。こういう映画が大好きだ〜


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?