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5.建築士が造付け家具について考える

新居のインテリアを思い浮かべると、あんな家具が置きたい!こんな家具に憧れる!と、ワクワクしますよね。新居への引越しを期に、家具を新調される方も多いと思います。今回は家具を新調する場合、造付けが良いか、既製品を置くのが良いか考えてみようと思います。

造付け家具”の定義…

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このページにおいて“造付け家具”とは、建築に合わせたサイズで制作し、固定した家具とします。既製品を既製寸法のまま簡易固定をするものは含みません。

造り付けるメリット…

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①建築と一体化したデザインとして、空間全体に統一感を持たせられる
→照明器具と併設したり、フロートデザインとしたり、インテリアを充実させることができます。
②老朽化や施工不良を除けば、転倒する恐れがない
→大きな地震は勿論、日常の中で体が衝突したり、収容物の重心が偏ってしまった時にも安心です。

造り付けるデメリット…

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①使い勝手の融通が効かない
→家具の模様替えは、気分転換のためにも必要ですし、家族構成の変化、荷物量の変化に応じて必要になります。
②コストが掛かること
→“既製品の置くだけの家具”と“造付けの家具”、同等の機能の物同士を比較した場合、固定の手間や、固定できる仕様とするために、コストが高めになってきます。

造付けにするべき家具…

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以上のことを踏まえて、私が造付けにした方が良いと考える家具は、2つあります。

①割れやすい物を収納する家具
割れやすい物を収納する家具は、耐震のために、造付けにした上で、扉に耐震ラッチを付けることをオススメします。
例えば、キッチンのカップボードは食器を収納する人が多いと思います。キッチン本体は給排水配管もあるため、気軽に位置を変更することはありません。キッチンの位置に合わせて、使い勝手の良い位置に、予め充分なカップボードを確保できるようであれば、それは造付けとした方が良いと思います。
ただ、飾り棚のような家具を造付けにしてしまうと、飾りたい物のサイズや量の変化に対応しにくい場合があるので、充分な検討が必要です。そういう場合は、既製品の家具を簡易的に固定する方法も検討しましょう。

②重たい物を収納する背の高い家具
人の身長よりも背の高い家具は、造付けとすることをオススメします。特に重たい物を収納すると、横揺れの力に対して慣性力が大きくなるため、家具の重心が偏ってしまうので、転倒しやすくなります。
例えば、書斎にたくさんの本や書類を置きたい人が、大きな本棚を設置する場合は、造付けの本棚が望ましいと思います。背の高い本棚が転倒すると、その重量により、人体に当たって大怪我になることもあります。他の家具や床や壁にぶつかって、傷つけることもあります。
ただ、子供部屋の本棚等を造付けにしてしまうと、子供が一緒に暮らさなくなり、別の用途に使いたいと思った時に、使い勝手が悪くなってしまうこともあります。どうしても転倒させたくない場合は、簡易に固定するか、背の低い本棚とするなどの工夫も検討しましょう。

最後に…

今回は、家具を造付けにするかどうかを、私ならどうするかという目線で考えていきました。コストをかけて、造付けにしたは良いが、生活スタイルの変化に対応できず、生活が不便になってしまうこともあり得ます。一つ一つの家具について、使い勝手を想像してみましょう。何となく、ではなく必ず理由を考えましょう。自分では難しい時は、専門家に相談するのも良いと思います。見た目の良さと、使い勝手と、コストバランス、全て妥協せずに家づくり頑張りましょう!

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