見出し画像

ドイツ・イタリア出張(2024年2月11~24日)


忙殺された2月と3月

2月の海外出張の様子を更新するつもりが、帰国後から1カ月半が過ぎてしまった。
というのも、2月24日の帰国後から3月末まで、本当に忙殺され続けていた。
出張中に貯め続けた仕事の後処理、年度内に完成させないといけない書類、3月半ばには学会発表が2つ、3月下旬には合宿形式の3泊4日のセミナーの主催。
プライベートでもいろいろと予定は詰まっていたし、さらに、3/21には、幼少期に世話になった叔母の訃報、葬式のために島根に行ったり。
とにかく記事を書く余裕が全くなかった。
冷静に振り返ると、何もそこまで追われなくても…とも思ったり。結局、3月はサバゲーにも行けず。

4月頭になり、ようやく落ち着き、もう海外出張の記事のことはすっかり忘れていた頃、サバゲー仲間の1人に
「海外出張の記事、待ってるぞ」
と言われ、筆を執った次第である。

結論を先に述べておくと、今回の2週間の海外出張は、本当に有意義な時間であった。
特に、後半のミラノで過ごした1週間は、2024年最高の1週間になるんじゃなかろうか、と2024年序盤にもかかわらず強く感じたものである。

今回の海外出張の目的も、研究打ち合わせである。
ドイツのコンスタンツに1週間、イタリアのミラノに1週間、それぞれ別の研究者との研究打ち合わせを入れた。

2/12~17(月~土)にUniversity of Konstanz

最初の目的地は、ドイツのコンスタンツ大学。スイスとの国境近くの街で、最寄りの大きい空港はスイスのチューリッヒである。
2/11(日)の夕方に関空を出発し、アブダビ経由でチューリッヒを目指す。
使ったのは、エティハド航空。
中東御三家(エミレーツ、カタール、エティハド)の中で一番マイナーな航空会社であろうか。
とはいえ、やはり中東系エアライン。なんとなくラグジュアリーな感じが、とてもよかった。
安いし、夕方・夜発の便利な便も多いし、やはり安定感抜群だ。
ちなみに、エティハド航空のハブ空港であるアブダビ空港は、ミッションインポッシブルの最新作でトム・クルーズが屋根の上を爆走したのでも有名。
詳しくは、下記を参照されたい。


アブダビ空港の様子。深夜12時頃の到着でも店は全部開いてるし、人も多い。
チューリッヒ行きの便。チューリッヒ到着は、2/12(月)朝6:40の予定。

チューリッヒ到着後、電車でコンスタンツを目指す。まずはホテルにスーツケースを置いて、そのあと大学を目指す算段だ。
途中、地滑りだかの影響で、目的の駅2つ手前で降ろされ、そこからバスでコンスタンツを目指すも、これまた少し手前で降ろされた。
まだスイス国内。
違うバスに乗り換えるかどうするか…考えていたのだが、調べると、ホテルまで徒歩15分程度。
よし、歩くか。
生まれて初めて、徒歩で国境を越えることにした。
グーグルマップに言われるがままに歩いていると、いつの間にかドイツ国内に…。
ん?いつ国境越えた?

スイスとドイツの国境。たしかに関所っぽい出で立ちだが、だーーれもいなかった。

言われてみれば、関所っぽい箇所を通過したが、なんの看板も出てなかった。
ヨーロッパ(シェンゲン内?)の国境は、日本でいう県境と同じだ。まじで。

ホテルにスーツケースを預け、大学へ向かう。
コンスタンツ大学所属のある研究者を訪ねたのだが、彼とは昔から共同研究をしていて、共著論文も2本書いたことがある。
今回、私が最近"ハマっている"新たな研究テーマを彼と共有し、とある論文に書いてある予想の部分的解決や反例の構成に努めた。

左が今回尋ねた研究者。同い年のポーランド人。

今回尋ねた彼、同い年なのだが、30代半ばで教授になった強者だ。
本当にいろんなことを知ってるし、チープな表現だが、頭の回転がとにかく速い。
字はものすごく汚くて何を書いているのかいつも読めないのだが、いわゆる「頭の回転に書く行為が追い付かない」タイプと思われる。
彼は、私の中で目標としている研究者の1人である。
今回も、私が彼に教えた新たな研究テーマに対して、すぐに部分的解決を得るアイデアが出てきて、学ぶことが多かった。
ある程度研究結果も揃ったので、共著論文を書こうと算段している所である。
結局、帰国後は私も彼も余裕がなくてほとんど前に進められていないのだが、これは必ず近日中に論文として完成させたい。

ところで、今回滞在した期間、コンスタンツはFasnachtというお祭りをやっていた。
スイスのバーゼルという街で開催されるBasel Fasnachtが有名らしいが、スイスの各街で行われている祭りで、誤解を恐れずに適当なことを言うとすると、“もう少しちゃんと伝統を重んじたハロウィン”的な感じだろうか。
街は仮装して歩く人たちであふれ、ブラスバンド隊が音楽を奏でながら練り歩く。
ただ、その仮装の中に「マリオ」的な人はおらず、明らかに皆が一貫したコンセプトをもって仮装をしている。
(詳しくは、Fasnacht・仮装、でググっていただきたい。)
ホテルの目の前の広場では、ブラスバンドの演奏をバックに人形?らしきものを激しく燃やしていた。何かしらの儀式なのだろう。

ホテルの目の前で何かを燃やしている。写真右側にはブラスバンド隊が音楽を鳴らしている。

とにかく、珍しいものを見ることが出来た。

2/18(日)はミラノを観光したおす

12(月)から16(金)までミッチリ議論した後、17(土)にコンスタンツを出発。
次の目的地であるミラノを目指す。
コンスタンツからミラノは、陸路で約4時間半の距離。
まずチューリッヒまで移動し、乗り換えて、チューリッヒからミラノまで乗り換えなしの約3時間。
要するに、1日に2回陸路で国境を越えることになった。これも初の経験だ。
スイスは通り過ぎただけなのだが、車窓からの景色は、なんというか、“スイス然”としていた。

スイスを縦断中。うまく撮れてないが、スイスっぽい風景。

17日は移動に費やし、到着後は研究の続きを進めつつ、ご飯を食べて、その日を終えた。
代わりに、18日日曜はミラノ観光し倒すと決めていた。
実は、今回が初めてのイタリア訪問である。徹底的にミラノを観光すると決めていたし、ご飯は毎日イタリア料理しか食べないと決めていた。

まずは、ミラノドゥオーモ。デカい。ザ・観光地という感じがして、すごくよかった。

ミラノドゥオーモ。すばらしい。日曜で人がものすごく多かった。

コンスタンツでは日本人を全く見かけなかったが、ミラノではさすがに多くの日本人旅行客を見かけた。
卒業旅行っぽい大学生風の女子6人組がキャッキャキャッキャしていた。
カップルや家族もよく見かけた。

また、ドゥオーモの近くに、かの有名なPRADAの本店があるということで、見に行ってみた。
ブランド物には全く興味ないのだが、PRADAの本店と聞くと、興味がわく。

PRADAの本店。よくわからないが、それっぽい出で立ちだ。

よくよく調べてみると、ミラノはあらゆるハイブランドの本店が立ち並ぶ街。
その手のものに全く興味はないのだが、ドルチェアンドガッバーナやらジョルジオアルマーニやら、私でも知っているハイブランドの本店と聞くと、ミーハー心をくすぐられる。
散歩がてら、ひと通り本店巡りをした。どの店にも中には入ってないのだが。

ドゥオーモの後は、スフォルツェスコ城を見て、ランチにカルボナーラを喰らい、レオナルドダヴィンチの「最後の晩餐」があるという建物を目指した。
え!最後の晩餐、本物がまだミラノにあるの?!全く知らなかった。
とりあえず行ってみると、どうやらオフィシャルに見ようと思うと相当前から予約してチケットを取る必要があるらしい。
2カ月先まで予約で埋まっていると言われた。なんじゃそりゃ!
諦めきれず、色々調べてみると、GetYourGuide

https://www.getyourguide.jp/

というサイト経由でチケットが取れるということを知った。
ミラノ滞在期間中でちょうど良い時間帯のチケットが手に入りそうだ。
(英語の)ガイド付きなのだが、オフィシャルに買った場合の3倍以上の値段…。
しかも、なんとなく胡散臭い気がしていろいろ調べまくったのだが……やはりめったにないチャンス。
払えない額ではないので、思い切って買うことに。
22(木)の朝に本物を拝むことに成功。本記事のトップ画像が、それだ。

もしかすると、どこかの誰かのために役立つかもしれない、そう思い、私が経験した詳細を残しておくことにする。
GetYourGuide経由でチケットを買うと、集合時間が指定され、チケットはそこで渡されることになる。
集合場所に時間の10分前には到着し、それっぽい人を探した。
すると、GetYourGuideという札を持つ人を発見。

ブロンドの女性がガイドさん。この人に名前を伝えて時間通り来たことをアピールする。

その後、その人の言われた通りに振る舞い、チケットを受け取る。

チケットが支給される。

同時に、ラジオ的なものを渡される。ガイドの音声を聞くためのものだ。

こんな感じの無線機を渡される。ガイドさんの音声をイヤホンで聞くことが出来る。

そして、案内されるがままに建物に入り、セキュリティを通り、いざ、最後の晩餐がある部屋へ。
その部屋に滞在できるのは15分まで。…とはいっても、写真を撮りまくっても、最後の晩餐の画しかないので、途中から持て余してくる。
ちなみに、ムービーは禁止。
最後の2,3分を持て余し、部屋を出るよう促され、おみやげ屋を見て、終了。
GetYourGuideは、多少値は張るが、(うまく時間が合えば)予約の手間が省けるしガイドがつくことを考えると、まぁ、悪くない選択だと思う。

話を戻して、18日の観光デーだが、実はこの日、セリエAの試合を見に行くことにしていた。
ミラノで尋ねる予定の研究者にお願いして、チケットを取ってもらっていた。
夕方、その彼と待ち合わせをし、いざスタジアムへ。
ACミラン vs ACモンツァ。私のミラノ滞在中に行ける試合がこの試合しかなかったのだ。
実はこの試合、モンツァのホームスタジアムでの試合だったのだが、モンツァはミラノから約20キロの所にある小さな街で、ローカル電車で20分程度で着く。
大阪市と伊丹市くらいの距離感。たぶん。(…伝わるだろうか。)

試合の様子。席でタバコを吸う人もいたし、スタジアムのキャパとゴミ箱の大きさが合ってなかったり、警備員の数が尋常じゃなかったりと、“イタリアっぽさ”を感じることができた。

ACモンツァとは、セリエAに上がりたての弱小クラブ。かたやACミランは、言わずと知れた名門チーム。
アウェイとはいえ、ほぼミラノのお膝元での試合。
ACミランは主力を温存し、若手を起用してキックオフ。
しかし!あれよあれよと2点とられ、なんと0-2でACモンツァがリードして前半を終える。
ミランは慌てて後半から主力を投入し、なんとか2点返すも、ACモンツァがもう2点追加して、2-4でACミランが負けてしまった。
まさかミランが負けるとは!どちらかを応援していたわけではないのだが、なかなか面白い試合だった。

試合終了後、23時を回っており、帰りの電車はない。
この事態はチケットを手配してくれた彼と想定済みで、相談の結果、タクシーを拾ってミラノへ帰ることにしていた。
(よくわからないが、Uber的なものはなかなか捕まらないらしい。)
歩きながらタクシーに電話をかけまくってくれていて、本当に彼には世話になった。

月曜から金曜は徹底的に研究に打ち込む。

2/19~23(月~金)にPolitecnico di Milano

今回の海外出張後半の1週間で訪ねたのは、ミラノ工科大学。
知り合いのイタリア人研究者が所属しているのだが、ちょうど1年前の2023年2月に自分が主催した学会にも呼んでいて、
「次はイタリア呼んでくれよな!」「おう、いつでも来なよ!」
という、よくあるやりとりをしていた。
今回の出張、ドイツに行くことが先に決まっていたのだが、イタリアは行ったことなかったので、ドイツ出張につなげることにしたのだ。
その研究者も、上で触れた私が最近ハマっている研究テーマに取り組んでいて、その話題で1週間徹底的に議論した。
何か論文にできるほどの新しい研究成果が出たわけではないが、毎日新しい発見がたくさんあり、「このテーマで研究を続けたい」と思えるほどだった。
数学的な詳しい内容書いてもしょうがないので雑に書くとすれば、「自分が元々得意としていたものに、新しい視点を加えた研究」といった感じだろうか。
“新しい視点”という部分は、私がまだ不勉強なことも多いのだが、そこを今回一緒に議論したイタリア人に教えてもらいながら、逆に自分の知っている知識を彼とも共有しながら、新たな知見をため込むことが出来た。

互いの知識を共有し、新たな計算を試みた。

最終日の22(金)は、15時頃まで大学で議論し、18:40発の便に乗るため、リナーテ空港へ向かった。
帰りは、ミュンヘン経由。ルフトハンザ。

ミュンヘンから乗り込んだ飛行機の入り口。

ところで、上でも少し触れたが、ミラノ滞在中はずっとイタリアン三昧。ピッツァ・パスタ中心。
やはり、イタリアは飯がうまい!間違いない。
これまでに多くの外国人研究者と話をしてきたが、自国の料理にプライド?を持っていたのが、唯一、イタリア人だ。
私は海外出張の際はいつも“日本食を一切口にしない”という縛りを設けている。(機内食も、和と洋があれば絶対に洋を選ぶよう徹底している。)
理由はいろいろあるが、帰国後にいくらでも食べられるのにわざわざ「クオリティがそこまで高くないもの」を割高の値段で食べてもしょうがない、という思考に基づいている。
同様の理由で、私の知り合いのイタリア人は皆、日本に来た際にピッツァを一切食べようとしなかった。
当然だ。噂通り、どこで食べてもめちゃめちゃうまい。

ランチにピッツァ。激ウマ。
ミラノ風リゾット。具がないのが寂しかったが、それでもうまい。
ミラノ風カツレツ。激ウマ。
デザートにジェラート屋でジェラート。
有名な話だが、イタリアで「コーヒー」といえば、これだ。ちっちぇえし、にげぇ。けどうまい!
パスタ。ローマ風らしいが、なんでも良い。まじでうまかった。
帰国日前日の最後の夕食、つまり、“最後の晩餐”。案の定の激ウマ。

研究者になって海外出張に年2,3回行くようになり、逆に自腹で海外旅行に行く気にならなくなったのだが、イタリアは、唯一、自腹でもぜひ行きたいと思える場所だった。
ご飯がウマいというのは、自分にとってはやはり旅行という観点においての最重要ポイントだ。
そこを完璧に満たし、かつ、観光スポットも多いイタリアは、旅行先として完璧なんじゃなかろうか。

研究面でも、その他の面でも、本当に充実した1週間となった。

新学期が始まる

そうこうしているうちに、新学期が始まり、講義も始まる。
また食堂が混む時期が来てしまう…。
まだ桜が残るキャンパスに、キャピキャピ新入生。4月の風物詩。
「キャピキャピ大学生」は、もはや春の季語だ。

今学期は、どれくらい試験を難しくしてやろうか。

次回のサバゲーは、13日土曜日の予定。2カ月以上開いてしまった。
なまりきった体ではあるが、貪欲にフラッグゲットに挑みたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?