傷パワーパット求む

また治りかけの傷口に塩を塗る。傷口は瘡蓋をとりさらわれじゅくじゅくした赤い肉をさらす。
遠い昔の冷たい記憶、フリーズドライで仕舞い込んでいたはずなのに何かの拍子に水滴をあび、心を占拠していく。
スポンジのようにじわじわと水分を吸い、あの頃の私が姿を表した。
息がしづらく胸が苦しいのだけれど、この痛みを取り去る方法を私はまだ知らない。
ハーブティーを飲むだとか、美味しいご飯を食べるだとか、旅行に行くだとか、そんなことはある程度の余裕があるからできるんだ。苦しみに行き着く時の兆候が見られたすぐくらいにするもので、こうなってしまったら時間しか私を元に戻すものはない。
痛みに耐えきれず、気絶するように。
心も軋みに耐えきれなくなると、リセットされていく。

もう少しで泣いている幼い私は心から消えていく。また急冷されて水分を飛ばし、どこかの段ボールの中にしまわれる。次に出会うまでしばらくのさようなら。

これを何度繰り返したら記憶がもう戻れない過去になるんだろうか。
かつての足音に怯えずにいられる日は来るのだろうか。

ーーートラウマヘノ処方箋求ム

PS. とはいっても以前よりは苦い思い出に引っ張られる時間は短くなったと思うのです。これは心が乖離を覚えたからかもしれませんが、確実に傷口も浅くなってきてると予感しています。もうしばらくで糸口が見えるはずです。

松澤

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