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地域で支える地方公共交通の必要性

 こんばんわ。10月14日は「鉄道の日」。日本全国で鉄道に関するイベントが行われ老若男女問わず広く愛される鉄道の役割についての理解と関心がより深まった一日となりました。(あくまで主観です…)学生時代にJRの駅員アルバイトをしていたくらい鉄道好きとして地方公共交通きかんとしての地域鉄道のあり方をまとめてみました。
 


日本鉄道の歩み


 日本の鉄道は、明治5年10月14日の新橋・横浜間の開通を第一歩として、明治末期までには幹線網がほぼ全国に完成しました。はじめは私設鉄道だったものが国家の長期的展望により買収され国有鉄道となり、大正時代には日本経済の発展をけん引する中心的な存在の位置づけになりました。それを受けて鉄道省が設置され総合的、能率的な鉄道行政体制の確立されました。戦時中も鉄道は大量輸送ができる国内の物流の要として活躍をしましたが、戦後約8年にもわたる戦争により鉄道は、軌道の被害1,600キロメートル、全延長キロの5% が戦災を被り、さらに、車両については機関車14.4%、客車19.1%、電車25.1%、貨車7. 5%、車両工場55%、連絡船65%がそれぞれ被害を受けました。このような直接被害のほかに、戦時中からの資材等のひっ迫による補修、整備を伴わない酷使による施設や車両の荒廃も進んでいましたが、しかし国民生活の安定や経済の復興のために、国有鉄道はいち早く立ち上がり、戦後復興のために激増する客貨輸送を、輸送力不足、 石炭の入手難、労働運動の激化等の悪条件の下に遂行しました。昭和30年代になると日本経済の高度成長は、人口の都市集中という点で鉄道業界に大きな影響を与えた。特に、東京・大阪等の大都市における輸送事情は毎年悪化の一途をたどっていました。 このような状況に対処するため、運輸省は①都市内における路面電車から地下鉄への転換、②都市近郊鉄道の輸送力増強、③都心と近郊とを結ぶ直通相互乗入れの実施を中心に対策を推進してきました。東京オリンピックにあわせて開通した東海道新幹線は、新幹線が高速性、安全性、大量性及び確実性の点で優れた機能を有する近代的な交通機関であることを広く国内外に認識させたばかりでなく、その通過する地域を東海道メガロ ポリスとして一層発展させることとなった。しかしその反面、経済の高度成長とともに、東海道ベルト地域への人口の集中は激化し、過疎・過密問題の解決が重要な政策課題として注目されるようになった。モータリゼーションの進展によって従来、鉄道主導型だった日本の輸送構造は大きく変化し、貨物部門における国鉄のシェアを減少させ、加えて、運賃収入の伸び悩みなどから累積赤字を計上することになり、昭和62年4月に国鉄は分割・民営化された。分割・民営化後のJR各社の輸送量は概ね順調に増加し、これによる運輸収入の増加と事業の合理化・効率化により、国鉄時代と比較して経営状況の向上だけではなくサービスも好転することとなった。阪神淡路大震災、東日本大震災などの災害や地下鉄サリン事件などの鉄道を巻き込む事件などを経て、現在、北陸新幹線、北海道新幹線、都市鉄道の整備、赤字路線の対策そして)超電導磁気浮上式鉄道(超電導リニアモーターカー)など私たちの生活の足だけではなく夢のある乗り物として鉄道はこれからも活躍をしていくことでしょう。

首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)


 土浦延伸が話題になったつくばエクスプレスにも触れないわけにはいかないので少しだけ。
 大都市圏では人口集中による住宅・土地問題によって、都心に通勤可能な場所に住宅を取得することが困難となっていた。大都市圏には、大量の住宅地の供給できる地域が残されているにもかかわらず、これらの地域には通勤・通学のための鉄道が整備されていないため、宅地の開発が進んでいない状況にあった。 都心と郊外を結ぶ沿線の開発は巨額の建設費を要するのみならず、開発の初期においては旅客輸送需要が少なく、需要が増加するには相当の年月を要するので、鉄道経営の採算性について不確定な要素が大きく、鉄道事業者のみによる整備が難しい状況となっていた。 平成元年6月、新たな鉄道の整備により茨城県のつくば市など大量の住宅地の供給ができる地域において、沿線の宅地開発と鉄道新線整備の整合性をとって一体的に推進するために地方公共団体、 鉄道事業者及び宅地開発事業者からなる協議会を設置する等の特別措置を講ずることによって、大量の宅地の供給と新たな鉄道の着実な整備を図ることを目的とした「大都市地域における宅地開発及 び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法(宅鉄法)」が制定された。平成3年10月には、東京、埼玉、千葉及び茨城の1都3県から申請のあった、東京圏北東部地域の開発と一体として整備される常磐新線の計画が、同法に基づく基本計画として承認され、第三セクタ ーの首都圏新都市鉄道株式会社が事業主体となってその整備が進められ開通し現在に至っている。

地域鉄道を取り巻く環境

 これまで、日本鉄道史の概略や茨城県民の期待の星「つくばエクスプレス」について少し触れてきましたがここからが本題。現在、地域住民の通勤・通学の足として重要な役割を担っている地域鉄道は少子高齢化、モータリゼーションの進展によって極めて厳しい状況となっています。加えて新型コロナウイルスで社会活動が制限されてことにより、全国で95社ある地域鉄道は令和3年度においては91社が赤字となり経営状況の厳しさに拍車をかける結果となりました。地域鉄道は地域住民の通勤・通学を担うだけではなく移動手段の確保、少子高齢化、地球環境問題への対応といった地域の経済の基盤となる重要な社会インフラとして位置づけられています。地域の将来を考える上においてどのような交通機関や輸送サービスを確保するかは重要な課題となります。沿線地域でしっかりと議論をして地域鉄道の活性化を図る必要があると考えられます。

新たな取り組み「ローカル鉄道の生き残り戦略~牟岐線」

 今年の鉄道の日に当たり国土交通省は、鉄道に関する優れた取り組みを表彰する第22回「日本鉄道賞」の大賞、特別賞、計5件を発表、大賞には「相模鉄道と東急電鉄の直通線開業」特別賞に、ローカル鉄道の存続戦略のヒントとなる「牟岐線の鉄道・バス連携の取り組み」などを表彰しました。JR牟岐線は徳島と阿波海南を結ぶ路線で、一番利用される徳島駅と阿南駅の間でも一日の利用者が約3500人(2020年)とかなり利用者が少ない路線となり存続が危ぶまれています。本来なら競合関係にあるはずのバス会社と連携し移動手段をシームレスにつなぎ利便性の高いサービスを供給するビジネスモデルを確立しました。これはJRとバス会社の努力によるものではなく料金が独占禁止法に触れてしまうことから特例措置として国からの協力も受けたことが注目をされました。これからの地域鉄道の生き残り戦略の貴重な例となったことが評価をされました。

最後に

 鉄道は他の交通機関よりもエネルギー効率に優れていることから、輸送分野において鉄道へのシフトが進めば交通分野全体の環境負荷が軽減し、地球温暖化問題へも貢献すると言われています。現在、鉄道会社ではエネルギー効率の良い車両の導入や鉄道施設の省エネ設備及び再生エネルギーの利用など鉄道システムの技術開発により環境問題に取り組んでいます。また、少子高齢化が進む地域の貴重な交通手段として鉄道は安全かつ安心な乗り物として活躍が期待されています。地方公共交通の存在が地方を支えているといっても過言ではないことから、地域全体で地方公共交通の必要性について考えていかなければならないと思っています。

関連があるかもしれないので以前の投稿を
バスの日を迎えて。|郡司真人 (note.com)
牛久市のバス|郡司真人 (note.com)
3/8岡山駅にてサンライズエクスプレスの連結とその他特急|郡司真人 (note.com)
鉄道の廃止に関するメモ|郡司真人 (note.com)
宅鉄法|郡司真人 (note.com)
雑記2|郡司真人 (note.com)
水戸駅と勝田駅|郡司真人 (note.com)

交通問題のついてのメモが思いのほか多かった。雑記2ではバスと鉄道の競合について書かれていたけれど今回の一件で少し考えが変わった。

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