見出し画像

納豆

 先月に令和5年の会計調査の結果が発表されました。毎年この時期になると注目されるのが餃子日本一のまちはどこなのかで、令和5年は浜松市の年間支出額が1世帯当たり4041円で3年ぶりの日本一になりました。毎年首位を争う宮崎市は2位で3497円、宇都宮市が3位で3200円という結果でまた来年の首位奪還に向けて餃子を使ったまちづくり争いが加速化することでしょう。その様ななか、水戸市で餃子より注目すべきランキングなのが「納豆」です。残念ながら納豆の年間支出が一番多いのは福島市の6308円、そして盛岡市6236円、前橋市6203円と続き水戸市は第4位の6151円。全国平均の4368円を上回ってはいるものの「納豆のまち・水戸」を謳っているのに、水戸市民としては何とも言いようがない結果となっている。ただ、この総務省の家計調査というのは全国168市町村の無作為に抽出された約9000の調査世帯に家計簿を記入してもらい結果を出している。また公表されるのは県庁所在地と政令指定都市の計52市だけなので他の町村はどんなに支出額が大きくてもランキングには入りません。また、抽出調査なので「来年こそは!」と、ある世帯が毎日納豆を大量に購入していてもその世帯が抽出されなければ調査結果に反映されることはないので注意しましょう。

家計調査とは

 既に説明した通り家計調査は全国で無作為に選ばれた方の家計簿から結果を発表しています。ではなぜその様なことをするのかというと、総務省が行う家計調査は、国民生活における家計収支の実態を把握し、政策立案のための基礎資料として提供することを目標としています。この調査では県庁所在地と政令指定都市の計52市が公表されるために、国の政策だけではなく自治体による地域おこしにも利用されることがあります。有名なところでは「納豆のまち・水戸」、「餃子のまち宇都宮」の他に「ラーメンの聖地、山形市」など統計を基にした様々なシティプロモーションが行われています。1位になった市だけではないところがとても興味深く感じます。

納豆消費とお米

 さて、話は水戸市の納豆購入額に戻します。私たちが納豆を食べるときに一緒に食べるのが「お米」ではないでしょうか。令和5年の納豆購入額とお米の消費量を比較してみると

納豆購入額とお米消費量(総務省家計調査より)

水戸市ではお米の消費量が全国平均を下回り全52市のうち下から数えた方が早いということがわかります。水戸市民は納豆と一緒にお米を食べることが少ないのか、水戸内で販売される納豆が高級なのかはここからは読み取ることはできませんが、仮にご飯のお供に納豆を選んでいる人が多いのであれば、もしかしたら、納豆購入額を押し上げるヒントはお米の消費量にあるのかもしれません。

おわりに

 日本全国でお米の消費量が減っていることから、お米の価格が上がらず稲作を辞めてしまう農家の方が増えています。先日聴いた農業政策の講演で「地方の人口減少はお米の値段が原因」と話している方がいた、ロジックとしてはお米の値段が下がると、稲作で生計を立てていた農家が離農し仕事を求めるために大都市に集中するといった内容だった。昨今では、ロシアのウクライナ侵攻やコロナウイルス感染症による物流の停止を経験したことや、東アジアでの地政学リスクなどから食料安全保障を耳にする機会が増えた。現在のお米の生産量では日本人全員がお米を食べるための量は確保できず、万が一海外から食料が入ってこなくなった時に国内で餓死者がでると予想されている。食料だけではなくエネルギーなどの内製化も喫緊の課題ではありますが、まずは食料から安全保障を考えるというのも大事でしょう。納豆の購入額を上げるための方法か、食料安全保障の問題をほんの少しだけ改善するきっかけになるかもしれません。

おまけ

 納豆や餃子の話題ではなく食料安全保障が今回のテーマでした。今月水戸市では男性がわら納豆70g×5本=350g、女性がわら納豆70g×3本の210gを食べる早さを競う「水戸納豆早食い世界大会」が開催されました。男性の優勝者は岩手県の方。盛岡市ではないものの岩手県民も納豆に対する思い入れがあるのではないかと推測してしまいました。当日は納豆の他にお水が提供されていたようですが、できれば白米もつけてくれると嬉しいのですが…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?