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美しすぎる稜線がみたくて〜明神ヶ岳縦走〜

5月中旬。
ソロで山のぼりを始めた半年前は、アルプスにしか興味がなかった。
それが、アルプスにのぼるために経験を積みたくて低山をいろいろ調べるようになり、調べれば調べるほど低山にものぼりたい山がどんどん増えていった。あたりまえだけど、山の魅力はひとつではない。

ー ルート

よりどりみどりの山たちから、今回選んだ山は神奈川県箱根外輪山のひとつである、標高1169mの明神ヶ岳。
明神ヶ岳から金時山に向かう稜線がとても綺麗だと知り、どうしても稜線を歩きたくて明神ヶ岳から金時山までの縦走ルートを考えた。
スタート地点は箱根登山バス「宮城野案内所前」バス停。この「宮城野案内所前」という名前だがYAMAPで調べると「宮城野営業所前」という名前で表示されている。でも箱根登山バスの路線図をみると「宮城野案内所前」とある。違うバス停かと迷ったが、どうやら同じようだった。

悩んだのはゴール地点。初めは矢倉沢峠から「金時登山口」のバス停におりるルートを考えた。
でもそれだと距離も累積標高も今の私にはちょっと物足りない。かといって金時山のてっぺんまでのぼるのはちょっとハードかなあと思い、間をとった分岐から「金時神社入口」バス停をめざすことにした。

登山ルート
地図上、私が歩いたのが黒のライン。緑のラインはルートを決める時に悩んだ道。

5時、もうすっかり明るくなったが電車は空いている。
新宿から小田急小田原線急行で小田原まで1時間半。そこから桃源台行きの箱根登山バスに乗り登山口のある「宮城野案内所前」バス停まで30分ほど。

バス停から住宅街を通り、「明神ヶ岳近道」という看板脇の路地をはいり進むと登山道入り口がある。バス停からは10分ほどだった。

最初の看板
登山口までは看板が随所にあり迷わない
ここでいいの?という風貌の近道を通る
登山道入り口

ー 山のぼりスタート

しばらくの間、前日の雨の影響でぐちょぐちょの暗い道をのぼる。左側には住宅がちょこちょこあり、最初のうちは登山道という感じはしない。

住宅街の横をのぼっていく
うっそうとした道がつづく

登山口から30分ほど、うっそうとした道を歩くと、ようやく広い場所にでた。住宅はなくなり、いよいよ山の道らしくなった。

ようやくみえた明るい光とひらけた場所
山らしい道がはじまる

登山道にはいってからは、道が一本しかないから迷うことはなかった。
整備された道という感じはあまりなく、暗いところも多いのでちょっと秘境めいた感じがした。

自然の織りなすデザインは格別
整備されてない道は好きだったりする
秘境めいたところにはいくつものアートがある
緑のバランスが美しい
みあげると咲きほこるツツジが

次第に岩も多くなり、明星ヶ岳からくるルートとの合流地点まであと100mくらいが急登でキツかった。

登山口から1時間ちょっとで、明星ヶ岳からの合流地点に到着。少し広く平坦な道にでたが、ベンチはなく座って休むほどの広さではないかな。
とはいえ、ここまで休憩できるような場所もなかったので、ここで水分補給と行動食をつまむ。

明星ヶ岳からの合流地点
明星ヶ岳からの道
これから向かう道

合流地点から10分ほどでパッと視界がひらける!

視界良好〜
先には自然のトンネルが
トンネルの中をくぐって歩くと
どーん!と青空のご褒美!
大好きな岩もあり

開放感のある景色を眺めならが進む道は気持ちがいい!!
トンネル→青空→岩を満喫していたら、ちょっとした水たまりを発見。
よくみるとカエルがいるではないか!!

土と同化するカエルさん

踏みそうになって叫んでしまった。ギャーギャー騒ぐ私におかまいなしでのんびり日向ぼっこ?のカエルさん。
山のてっぺんに近づくと急登、というのが多いと思うが、明神ヶ岳はてっぺん近くがゆるやかだった。
山容が台形というのが歩いていて感じられる。

気持ちのいい木のトンネル

てっぺんまであと10分というところで富士山登場!!

富士山は今日も美しい

あいかわらずお決まりの「わあ、富士山!」が飛びだす。最高の眺めだ。

美しい道
てっぺん近くで相模湾がみえた

ー てっぺん

「気持ちいい!」「最高!」をひとり連呼しながら進むと明神ヶ岳のてっぺんに到着。登山口から1時間40分ほどだった。
てっぺんは広くて開放感があり、富士山はもちろん箱根の山々を見渡せて眺めは抜群!

明神ヶ岳のてっぺん
大涌谷もみえる

貸切のてっぺん。
そう、人に出逢わなかった。バス停からてっぺんまで、ただのひとりとすれ違うこともみかけることもなかった。
さすがにてっぺんには誰かいるだろうと思ったが、てっぺんにも誰もいない。
こんなにも素晴らしい眺めをひとり占めだなんて、なんという贅沢なんだろうか!

広いてっぺん

富士山の前に金時山があって、まるで富士山が金時山を抱っこしているみたいだ。

富士山の手前にあるポコッとしたお山が金時山

てっぺんまで休憩らしい休憩をしていなかったので、ここではゆっくりとお昼休憩。
30分ほど休んだら金時山に向けての縦走のスタートだ!

ー 後半戦、縦走スタート

明神ヶ岳から金時山に向かう稜線は素晴らしすぎた。
ずっと富士山をみながら進める。
誰もいないのをいいことに「サイコー!」の雄叫びが止まらない。
左を向くと箱根の山々がどんと構えている。
本当に気持ちのよい稜線だった。

サイコー!雄叫び中

金時山に向かう途中でようやく人と出逢う。
最初に出逢った人にあまりにも嬉しくて「今日初めて山で人に逢いました!人恋しかったので嬉しいです」と告白さながらに話しかけると、なんと「同じバスでしたよね。先におりられたので覚えてます」と。
そういえば、バスは人が多かったわりにおりる人がいなかった。金時山から縦走する人が多いようだ。
縦走路からは何組かの人とすれ違った。

景色がみえなくなっても心地いい

私はずっとひとりだったので、熊鈴リンリン鳴らしていたのだけど、金時山方面からきた人は誰も熊鈴を鳴らしていなかった。人が多いから?熊注意って看板あったんだけどな。
私もすれ違いが多いところでは鳴らすのをやめた。

明神ヶ岳から金時山までの道のりはアップダウンが多い。のんびり稜線歩きがあったかと思ったら、のぼりくだりの繰りかえし。ときどき出逢う”のんびり稜線歩き”がご褒美だ。
明神ヶ岳から45分、火打石山に到着。

火打石山(標識には火打石岳とあった)

標識はあったが展望も休む場所もないのでそのまま進む。火打石山からは、森の中を見渡せる山奥という感じのする道が多い。前日の雨で道はぬかるんでるけど、木々が潤い苔が美しく光っていた。

緑のアートがとまらない
緑のじゅうたんが足元を照らしてくれる
ゾウさんみたい!
苔が潤ってる

火打石山から20分ほど歩くと笹が切りひらかれた道にでる。とうもろこし畑を進んでいるような気分。

大きな笹の道
綺麗に道ができている
ミヤマキンポウゲかな?黄色いお花がたくさん咲いていた

パッと抜けでると大きくなった金時山!反対に富士山は小さくなっていく。

金時山が大人になったみたい

金時山への稜線がみえる。あそこをのぼるのかあ。。。

結構のぼるよね💦
これからいく道がみえるのって嬉しい
左には仙石原の街並みと大涌谷

矢倉沢峠に到着。

矢倉沢峠

ここからくだれば楽だけど、「まだがんばれる」と、さっきみたのぼりの道をのぼっていく。

もうひとふんばり!

最後の最後でこののぼりはなかなか堪える。
えっこらえっこらのぼっていると、すれ違った男性に「どこからのぼってきたの?」と聞かれ「宮城野から」と答えると、「それはよくがんばったね〜」と褒めてもらえて嬉しかった。

そしてようやく下山に向かう分岐点に到着!!

下りへの分岐点、仙石原方面にくだる
あとはくだるだけだ〜

分岐点は展望も休むところもないが、のぼりからの解放に達成感を味わいつつ下山を開始した。

ー 下山スタート

下山ルートは金時山にのぼったときに歩いたルート。一度歩いた道は安心感がある。

根っこがむきだしの木
苔に包まれた木
可憐な白い花、ヒメウツギかな?

すると金時宿り石がお目見え。
前回のぼったときにも撮ったが、石だけ撮っても大きさがイマイチわからなかったので、今回は誰もいなかったし、カメラを近くの石の上に置いて自撮りしてみた。

金時宿り石の前に立ってみた

やっぱりすごく大きい。

新緑の時期は写真の枚数が増えるなあ
木の根っこトンネルは落ちつく

明神ヶ岳のてっぺんから2時間50分、公時神社に到着。

公時神社

無事下山のお礼参りをして振り返ると烏骨鶏がたくさん!!
お店の方に許可を得て写真を撮らせていただいたら、踊りはじめる子が一羽。ダンシング烏骨鶏をしばし堪能し今回の山行は終わった。

ダンシング烏骨鶏

今回の山行はやはりなんといっても明神ヶ岳から金時山に向かう稜線。
おすすめするのがよくわかる、素晴らしい眺めだった。
道も、岩の道あり、ゆるやな道に険しい道、木のトンネルに笹のトンネル。本当にバリエーション豊かな道で飽きることがなかった。
おりてみると「金時山のてっぺんまでいけたかな〜」と思うけど、距離や累積標高もアルプスをめざすステップアップとしてはまずまずかな。
ただ、トイレがなくベンチがない。それがちょっと気になる点。
「宮城野案内所前」のバス停にはトイレがあるがその後は下山するまでない。金時山のてっぺんまで行けばあるけれど、このルートでは下山場所になる公時神社までない。5時間ほどの山行だったのでそこはちょっと心配かなと思った。
でもこの稜線はみるべき素晴らしい稜線。また別のルートでもきてみたい。
次は金時山までのぼろう。

のぼってみたいと思った山をひとつずつクリアしていく楽しさ。
予想していなかった発見や感動は山のぼりの醍醐味だ。
そして人との出逢い。
くだっている人はのぼっている人を応援する。街中にいてそんな風に声をかけあうことは滅多にないけれど、それが自然にできるのが山の魅力だし、実は難しいことではないんだと思わせてくれる。
山でなくても声をかけられる人でありたい。
大切なことはいつも山が教えてくれるなあ。

予定より30分くらい早くくだれたおかげで、一本前のバスに予約を変更できた!バスの中で次の山を考えよう。


距離:10.9km
累積標高(のぼり) 1085m



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