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「カレンちゃんのお花畑」第一章 可憐にて

カレンちゃんはその日からすごくとっても

「花を見る」ことにした。

匂いや肌触りとか色とかを見ていた。

どうすれば自分にとってきれいなのか

あのおばあちゃんが言ったことがわかりたい気持ちで一生懸命見ていた。

するとカレンちゃんは思い立ったかのように2階の自分の部屋に行ってあるものを取ってきた。

それは図工の時間に使う「絵の具」だった。

これもおばちゃんに買ってもらったもので

「いろんないいものを描きなよ」と言われて渡された。

するとカレンちゃんは絵の具の

白色をパレットに取り出すと

おもむろに自分の指に塗ってみた。

冷ややかな絵の具の感触が指に伝わり、カレンちゃんの指は白くなった。

カレンちゃんはこう思ったのだ

「お花で一番キレイだなって思うのが色だと思うの」

「だからその色を塗れば私の指もその花みたいになるのかな」

カレンちゃんは今まで見てきた中で一番キレイだと思うユリの花を思い浮かべながら指を白く塗った。

でも・・・というか当然だけど

指はユリにはならなかった。

カレンちゃんは悩んだ。

「どうしてユリと同じ白い色を塗っても、それはユリの綺麗さにならないのか」

ふと目をあげるとお父さんの車が目の前にあった。

先月買い替えた真っ白なセダン。

カレンちゃんはその車を「かっこいい」と思っていた。

その色と自分の白い指を見比べても

同じ色なのに「かっこいい」とも「かわいい」とも思えない。

でも、ユリの白い色は「きれい」と感じる。

「わたしの指は白くなっただけだね」

カレンちゃんはその後も

夏に見たひまわりの黄色

梅雨に見たあじさいの青

春によく見るチューリップの黄色

全部試して見たけれど

どれも「指を花」にはできなかった。

じゃあ絵は?写真は?

カレンちゃんは自分の中の疑問と旅をし始めた。


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