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世界の表現「色彩の歴史」~No.3 2つの解釈~

 前回からの続きです。前回はニュートンに反論を提言したゲーテ。そしてゲーテの捉えている色彩の感覚を少しだけお伝えしました。


 ゲーテが書いた「色彩論」の中で結構痛烈にニュートンを批判しています。気になった方は見てみてください。ゲーテが批判した理由は「実験」によって人の感覚が説明されていることです。実験を行うには「条件」が必要です。しかし、その前提である条件が狂ってしまうと同じ結果が得られません。

「色彩は自然の物であり、それを制限したとしても色彩の本質には辿り着くことが出来ないだろう」という感じです。

 意外と忘れがちなのですが、人間は常に自然の中に生きています。そしてその自然に対して抵抗しつつ生きているのもまた事実です。ですから、人間がどこまでその「自然現象」に抵抗できるか?ということがかなり重要になってきます。

 ここら辺は色んな意見があると思いますが、新しい病気の流行や台風の被害、または害虫による被害。というのは「人の条件設定を上回った」時です。その範囲内であれば対処できますがそれ以上になると今回のようなことになって、人は今までのように活動できなくなりました。

 暗室とスリットが無ければ成立しないニュートンのプリズムの分光

 自然光の中に黒い帯を置くと成立するゲーテのプリズムの分光

 「自然を絞る」という意味でニュートンは「自然をコントロール」しています。暗室とスリットという「コントロール下」であればニュートンの色彩は成立します。

 一方ゲーテの方は「自然の中に黒い帯を置く」とプリズムを通して見た時、ゲーテの色彩の見え方が成立します。

どちらも人工物を用いているのですが、違うのはその度合いです。どこまで自然に干渉しているのか?というのが両者の大きな違いです。

 「松下さん、それはちょっと拡大解釈では?」と思われてしまうかもしれません。私もそんな気がしなくもないのですが、でも、ゲーテが言いたいことはきっとそういうことだろう。というのが現時点での私の答えです。もしかしたら今後、勉強を進めていくと違った答えが見つかるかもしれません。

 もう一つの大きな違いは「ゲーテは闇(黒色)」を色彩だと考慮したことです。厳密に言えばニュートンは「光学」をやりました。なので闇、黒についてはそこまで考慮していません。

 ニュートンがもたらした科学的な光学は今や私たちの生活に欠かせないものになっています。私がこうやって色を使ってPPを作ったり、youtubeで動画を楽しんだりできるのはニュートンのおかげです。

 ですがゲーテの色彩論も必要です。ゲーテは科学的ではなく、人間の感覚を用いて色彩論を展開しています。そのため、染物や絵画、芸術的な面に置いて非常に重要な役割があります。

「スマホやPCの画面に色を表示するためにはニュートンの光学が必要ですが、その画面に何を表示するか、例えばアニメや映画などの芸術的な色彩表現に関して言えばゲーテの色彩論を用いることになります」

 これ以外にも色々あると思います。人がどう思うか、どう感じるかという感性に左右されますが違和感があるのは事実です。

 色彩心理、カラーコーディネート、身近なとこでいえば「服のセンス」「家具のセンス」といったところでしょうか。赤い服を着て外に出かけるのは派手だ、とか黒い色だとなんか気分まで重たくなるとかです。でも、「赤い服を着ると元気になる」とか「黒は高級感があって好きだ」みたいな人もいます。 

 色彩の美しさ、調和という点に関しては古代ギリシアから存在する「色彩調和論」という物があります。これは心理的な感覚である「色彩の美しさ、調和」を体系化しようとしたもので、ゲーテはその「色彩調和論」に一定の法則性を導き出すために「色彩環」を考案しました。

 ゲーテの説明では目は色彩に出会うと別の色彩「反対色」を目の中に生み出し、お互いの「呼び求め合い」によって得られる色があるとし、それを環状に表しました。

 黄色を見ると青を求め、赤色を見ると緑色を求めます。これは前回述べた残像体験によって確認することが出来ます。それとこの発展形として1918年にヴィルヘルム・オストワルトが出した「色彩の調和」の中ではこの色彩環に幾何学模様を入れることでその調和を見ることが出来るとしています。

 色彩の歴史を紐解くと、2人の人物がそれぞれ全く違う方向から解釈をしたことが分かります。両方とも後世に多大な影響を与えた人物であるということは間違いありません。

 そしてこれら両者を、両方から見て新たな色彩論を展開する人物が現れることになります。

今回は以上になります。次回に続きます。

・メンバーシップ「彩方技研(株)「仮」」について

 まだ会社ではありませんが、いずれは会社にしていこうと考えています。
このメンバーシップは「気質・色彩」を含ませて構築していく一枚の絵画のようなものを目指そうかなと考えております。

分かりやすく言えば「芸術」の分野です。

物語、絵、漫画、作曲、作詞、ダンス・・・ 

様々な表現方法がありますが、そういったものを組み合わせて何かの作品を作っていければなと考えています。

また、単に気質や色彩の世界を少し覗いてみたいという方、例えば○○を気質的に、色彩的に分析したらどうなりますか?というような質問でも構いません。

初月は無料です。その後は月100円となっています。
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