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組織の良心

春は人事異動の季節だ。

今まで気持ちよく助け合ってきた同僚や慕っていた上司、優しくしてくれた先輩がいなくなるのは、想定していたこととはいえ寂しい。

組織の良心を欠くことが、寂しくて少し不安だ。

若い頃は、仕事ができる人ばかりで組織が成り立つといいのに、なんて不遜なことを考えていた。しかし、組織は仕事ができる人ばかりでは、うまく回らない。思いやりのある人、優しい人がいるから、立場の弱い人が守られ、職場が居心地の良い、支え合える場所になったりする。

仕事ができる人や上に立つ人が精神的に安定していて、発展途上の人に寛容でないと、同調圧力が強くなり、どうしてもギスギスするし、お客様にもよいサービスが提供しにくくなる。

いくら正しいことを言っていても、優しさがない上司や先輩のもとでは、職員は本音を言わなくなるし、失敗を隠すようになる。そして、自己防衛本能からお客様以外に目を向けるようになってしまう。人材が定着しなくなる。
そして、さらにギスギスしていく。

仕事のできる人の圧力がサービスの低下を招く。

「肩の力を抜いて働いていいんだよ」という空気を醸し出してくれる上司。

マイペースだけど温厚で頼りになる同僚。

立場の弱い人に寄り添って、声をかけたり、心を痛めたりする姿に救われてきた。

「今のメンバー、誰一人欠けて欲しくない」って、朝のミーティングで勇気を振り絞って話していた姿を忘れないだろう。

たわいない、けど楽しい雑談をしたことを忘れないだろう。

私もそんな空気を醸し出せるように、困っている人や辛い思いをしている人をちょっと救えるように、働いていけたらいいな。

それが、優しくしてもらった、救われたことに対するお礼になるだろう。

白鳥が畑で虫をついばむ。
朝夕はきれいな隊列を組んで飛ぶ。
遠い北の国に行く準備をしているんだろう。

春は、暖かくて眩しいけど、ちょっと寂しい。
白鳥はいつの間にかいなくなって、
畑には、小麦やビート、馬鈴薯が育つようになる。

寂しさと優しくしてもらった幸せは裏表。
そう思ったら、少し元気になれるかな。

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