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豆乳過剰摂取リスク ~豆乳・豆腐には膵がん罹患リスクがあります!~

豆乳・豆腐を常飲・常食されている方に忠告いたします!

過剰摂取は非常に危険です!!


豆乳は健康飲料として多くの方に愛飲されている飲み物です。
また、豆腐は大豆を利用した植物性高タンパク質食品として多くの方に常食されています。
ただ、近年の研究結果から膵がんの発生リスクが懸念されることが明らかとなりました。
あらためまして、常用されるかどうか本記事をお読みいただき、ご判断いただければ幸いです。

1.豆乳とは
豆乳は大豆を主成分とする植物性の乳飲料で、大豆を挽いて搾汁したりすることで作られる健康飲料として多くの方に愛飲されています。
豆乳は植物性であるため、動物性の乳製品である牛乳と比較して、脂肪やコレステロールの含有量が低く、飽和脂肪酸の割合も少ない傾向があります。
また、大豆由来のたんぱく質やカルシウム、ビタミン類を含んでおり、飲み物として単体で飲まれるほか、料理の材料としても利用され、豆乳を基にした製品として、豆乳ヨーグルトや豆乳アイスクリーム、豆乳鍋の素などがあります。

2.豆乳過剰接種リスク
豆乳の摂取は健康増進に効果があり、多くの人にとって安全な飲み物と言われています。
ただし、過剰な摂取や特定の状況下での摂取には以下のようなリスクがあります。
① イソフラボン過剰摂取
豆乳にはイソフラボンと呼ばれる植物性エストロゲンが含まれています。
イソフラボンは、ホルモンバランスに影響を与える可能性があり、長期間にわたるイソフラボンの過剰摂取は、特に女性においてホルモン関連の問題を引き起こす可能性があります。
② フィチン酸の影響
豆乳にはフィチン酸と呼ばれる抗栄養物質が含まれています。
フィチン酸は体内で吸収される鉄、亜鉛、カルシウムなどのミネラルの吸収を妨げる可能性があり、とくに鉄や亜鉛の欠乏が問題となる場合、豆乳を大量に摂取することで栄養吸収が低下する可能性があります。
③ アレルギー反応
豆乳は大豆アレルギーを持つ人々にとっては注意が必要です。
大豆アレルギーは大豆由来の製品を摂取することでアレルギー反応が起こるもので、発疹、蕁麻疹、吐き気、嘔吐、呼吸困難などの症状が出ることがあります。

3.大豆食品と膵がんとの関連研究結果
国立がん研究センターがん対策研究所による『大豆食品の摂取量と膵がん罹患の関連』研究において、以下のとおりレポート(一部抜粋)されています。
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平成7年(1995年)と平成10年(1998年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の10保健所(呼称は2019年現在)にお住まいだった45~74歳の方々のうち、食事調査票に回答し、がんになっていなかった約9万人を、平成25年(2013年)まで追跡した調査結果にもとづいて、大豆食品とその後の膵がん罹患との関連を調べた結果を専門誌で論文発表しましたので紹介します(Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2020年6月公開)。
膵がんは予後が良くないがんなので、予防に関する研究結果の蓄積が望まれています。
大豆食品には、たんぱく質、イソフラボン、レクチン等の多くの成分が含まれ、これまでにも循環器疾患や、一部のがんにおいてリスクが低下する可能性が報告されてきました。
しかし、膵がん罹患との関連については報告も少なく、よくわかっていませんでした。
そこで、私たちは、多目的コホート研究において、大豆食品摂取量と膵がん罹患との関連について検討しました。
食事調査アンケート調査の結果を用いて、総大豆食品・発酵性大豆食品・非発酵性大豆食品・各大豆食品(納豆、味噌、豆腐類)の摂取量を計算し、等分に4つのグループに分け、最も少ないグループと比較したその他のグループの、その後平均約17年間の膵がん罹患リスクを調べました。
【大豆食品摂取量の摂取と膵がん罹患リスクが関連】
総大豆食品摂取量が多いと、膵がん罹患リスクが高いという関連がみられました。
非発酵性大豆食品(豆腐類、高野豆腐、油揚げ、豆乳)摂取において同様の関連がみられましたが、発酵性大豆食品摂取(納豆、味噌)において関連はみられませんでした。
個々の大豆食品では、豆腐類の摂取が多いと膵がん罹患リスクが高いという関連がみられましたが、その他の大豆食品において関連は見られませんでした。
【今回の研究から見えてきたこと】
今回の研究では、総大豆食品摂取量が多いと膵がん罹患リスクが高いという関連がみられましたが、発酵性大豆食品摂取については膵がん罹患との関連はみられませんでした。
これまでの欧米の疫学研究では、インゲン豆、レンズ豆、エンドウ豆、大豆などを含むマメ科の植物の摂取は膵がんリスク低下との関連が示唆されています。
今回の研究では、豆類の種類の違いによる栄養成分の違い(インゲン豆、レンズ豆、エンドウ豆は大豆に比べて、炭水化物が多く、脂質が少ない、大豆はたんぱく質、脂質が多い)や、観察期間の違い(欧米の研究は6~8.3年であり、本研究は約17年と長い)などのため、先行研究とは異なる結果になったと考えられました。
総大豆食品摂取量が多いと膵がん罹患リスクが高い理由は、よくわかっていませんが、動物実験では非加熱大豆飼料を与えられた動物では、下痢などのほか、膵臓の腫れがみられたとの報告や、大豆に含まれるトリプシンインヒビターなどの消化酵素阻害成分の消化酵素や消化管ホルモンへの影響などが考察されます。
今回の研究の限界として、1回のアンケート調査から計算された摂取量で計算しており、追跡中の食事の変化については考慮していないことや、様々な要因について統計学的に十分調整できていないことがあります。
今回の結果を確認するためには今後のさらなる研究が必要です。
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4.豆乳・豆腐による膵がん罹患リスク
国立がん研究センターがん対策研究所による『大豆食品の摂取量と膵がん罹患の関連』研究結果から、豆乳・豆腐をはじめとする非発酵性大豆食品の摂取は膵がん罹患リスクを増大させる一方、納豆や味噌などの発酵性大豆食品接種は膵がん罹患リスクは増大させないことが明らかとなりました。
豆乳は飲料のため手軽に飲みやすく健康維持に効果があるとの思い込みから過剰摂取となりやすく、豆腐は手軽に取りやすいものですので、くれぐれも豆乳・豆腐の常飲・常食にはお気を付けいただきたいものです。


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