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「印刷ボーイズに花束を」と「空手」

宣伝なのよ。

先日実家に帰ったら、姉がいた。久しぶりの家族団らんである。姉とはやや近い業界で仕事をしており、老父老母の前で、互いの日々の健闘を称えあうことになるかと思っていた。


しかし、実際は違った。

姉は一人で日本酒を飲み明かし、酩酊状態に突入。そんな状態で、この継続的な宣伝に対するありがたいアドバイスをいただいた。

「つまんねぇことばっか書いて、だからお前はダメなんだ、デブ!」

ありがたいお言葉である。

さて、今週は「印刷ボーイズに花束を」の宣伝である。

ついに「印刷ボーイズ」シリーズの3巻が9月2日に発売となる。これが、驚くほど充実の内容で、正直テンションが上がった。「印刷あるあるのすべてがわかる超究極本、誕生!」という惹句にウソ偽りなく、とんでもないボリュームにて「印刷」周りの情報が盛り込まれているのである!
本編の面白さは言うまでもないが、それ以外のおまけコンテンツももはやおまけの域を超えており、それを読むだけでもこの価格の価値はある。

「印辞苑」~印刷用語の基礎知識~(21ページ)
「印刷王ウルトラクイズ」
コラム「印声人語」の欄外オマケ74本
特製〈手描き〉校正記号一覧表

「印刷」というと専門業界の話と思うかもしれないが、ふと考えてみると、印刷と縁がない仕事はほとんどない。もちろんデジタルシフトはどの業界でも進んでいるわけだが、カタログ、説明書、社史、社内報、業績レポート、リーフレットなど、どんな会社にだってなんらか印刷物はある。だから、どんな部門に所属するビジネスパーソンでも、必ず楽しめる内容というワケだ。これは本気で約束しよう。

こんなすごい本を作ってくれた、著者の奈良裕己さん、担当編集の玉造くんと石黒謙吾さんには感謝しかない!

https://qr.paps.jp/dbh3Z

さて、この「印刷ボーイズ」、初期立ち上げは私も関わっており、著者の奈良さんと「何のテーマ」にするかよく話し合ったものである。その際に上がったのが次の3つ。

①印刷 ②育児 ③剣道

③は、奈良さんが剣道部ご出身ということで出てきたネタ。剣道にまつわる面白ネタを漫画にしていきたいとのことで、それはそれで魅力だった。結果的には上記の通り「印刷」で収まったわけだが、いつか奈良さんの「剣道漫画」も見てみたいものである。
最後に、私も格闘技エピソードを公開しよう。死闘の話だ。

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空手だ。

オリンピックに空手がやってきた。

男女の「形(かた)」で喜友名 諒選手と清水希容選手がそれぞれ金メダル、銀メダルを、男子組手75キロ超級で荒賀龍太郎選手が銅メダルを獲得するなど、日本人選手も活躍を見せてくれた。

そもそも、空手はいくつもの流派があり、競技のレギュレーションが違う。そんな種目がよくオリンピック競技になりえたなぁ、と思う。調べてみると、オリンピックを目指すための道のりは長く、1964年、オリンピック競技を目指すために全日本空手道連盟が設立され、その後は世界空手連盟がルールの統一を図ってきたそうだ。

なぜ、私がそんなことを気にしているかというと、私は実は18歳くらいまで空手ボーイであったからだ。身体が小さく喘息持ちだった私は、心技体の充実を求めて道場の扉を叩いた。正確にはお母さんが扉を叩いた。いや、電話をした。

そんなきっかけだが、私は意外にもめきめきと頭角を現し、小学生高学年時には黒帯を獲得。北海道に松井ありと恐れられる存在となり(幻想)、道大会で入賞して全国大会に駒を進めた(1回戦負け)。

その私が得意としていたのが、喜友名 諒選手と清水希容選手がメダルを獲得した、「形」だ!!

清水選手が挑戦した「チャタンヤラクーサンクー」(北谷屋良公相君/沖縄県の北谷にいた屋良さんが考えた形と言われている)は挑戦したことがないが、私は「エンピ」「カンクーダイ」あたりの形を得意とし、世界と戦っていた。

ちなみに形であるが、競技を見た人はおわかりと思うが、演技前にその演舞名をシャウトするのが決まり。当時私も、「エンピ!」「カンクーダイ!」とはつらつと叫んでいたが、45歳を迎えたいまは、居酒屋で「ホッピー!」「クーシンサイクダサイ!」と叫ぶ日々。時の流れとは残酷なものである。
そんな私の空手での“死闘”の話をしよう。

小学校三年生か四年生のころ、私は道場仲間と一泊二日の合宿練習に出た。北海道の山奥。エンタメの香りはひとつもない。周りは、鬱蒼とした森。そのなかにポツンとある、練習場と簡易的な宿泊施設だけの、極めてストイックな合宿場だった。

初日の午後。

練習は、「形」ではなく「組み手」であった。
身体の小さかった私は、組み手が苦手だった。そのときも大きな上級生を相手に押されまくりで、繰り出される鋭い突きや蹴りにアップアップ。それでも反撃を試みる。狙いを相手の側頭部に定め、右回し蹴りを繰り出そうとした、その刹那の出来事である。

目の前がブラックアウトした。

そして、全身を貫くような激痛。


「ウギャエオワ---------------------------!!!!」


声にならない叫び声を上げた。刺すほどの鋭い痛みが全身を貫き、その後体中がしびれる感覚に陥り、私はその場に倒れ込んでしまった。

上級生のカウンターが顎にでもヒットしたのだろうか。否。この痛みは下半身からくるものだ。まさか、「金的」に相手の前蹴りが直撃した? いや、痛みの種類が違うのだ。

見上げると、組み手をしていた先輩が「どうした、大丈夫か!!」と心配そうにしている。この心配ぶりからすると、どうも先輩の攻撃で倒れたワケではなさそうなのである。激痛の正体が、まったく見えない。

「ま、まついくん! どうした!!」

先生、道場の中がたちが駆け寄ってくる。

そのとき、道場仲間の一人が、大きな声で言った。

「ハチだっっっっっ!!!!!! デカいハチが、まついくんのお尻に突き刺さってます!!!!!!」

巨大なスズメバチの一撃だった。

厚手の空手着をも貫く、衝撃的なアタック。場所は、繰り返すが北海道の山奥である。信じられないほどの巨大なスズメバチが、小学生の私のピュアな臀部にその針を突き刺したのだ。

あまりの痛みに、私はワンワンと泣きながら、そのまま意識が薄れていく。
そんななか発見者である仲間の言葉がうっすらと聞こえてきた。

「でも、先生!!!!! これは相打ちです!!!! まついくんも倒れましたが、ハチも動かないから、もう死んでます!!!! 相打ちだと思います!!!!!!!!!」

相打ち。

そうか。

そうなのか。

なんかその表現が、ウケた。

痛くて痛くて泣きながら気を失ったが、相打ちならきっと私の臀部も一矢報いたのだろう。

師範のクルマで山を下りたところにある病院に緊急搬送され、お尻の巨大な腫れとともに、私の合宿は終わった。30年以上も前の、夏の思い出である。オリンピックで空手を見て、この話を思い出した。

相打ち。

人生でそうはない、貴重な体験だった。

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さて、信じがたいことに8月がもう終わります。帰省なども制限された夏でした。どうか、少なくともこの8月最後の土日が、みなさんにとってピースフルなものでありますように!



心から、よい週末を!

なんだかしょうもない日常の雑文ですが、そんなものでも読んでいただけて嬉しい! ネガティブなことを書かず、なんだか安心するようなものをお届けしたいです。