#4 まだ空港かい! …大げさに

乗換案内アプリが弾き出した通り、出発時刻の3時間前に空港に到着した。いつ以来か記憶にもない関西空港の改札口は、大阪のどのそれよりも広く感じられた。そして、あらゆる目的で来日した異邦人達が目に付いた。
そこは国際線のみでなく国内線もあるにも拘わらず、僕にとっては日本と海外の境界線の入り口のように感じられた。(大げさな。すると境界線は出国審査後の免税エリアってことかい?僕ちゃんよ?)

ドラゴンボールの孫悟空が実兄ラディッツに殺されて(正確にはピッコロだが)、あの世の入り口に立った時もこんな感覚だったんだろうな。(なわけねえだろ!)

などと考えながら国際線の方向へと歩いて行った。

まず僕は何をしなければならないのだろうか。とりあえず出発の案内に従って移動してみよう。僕は慣れないキャリーバッグを転がしながら出発フロアへと向かった。

エスカレーターではキャリーバッグを自分の前に置くのが正解だな。

などとつまらないことを気にしながら長いエスカレーターで国際線出発フロアのある4階へと昇って行った。

到着したその4階フロアの高すぎる天井は僕のような小人にとっては逆に息が詰まるような気がして、眼前の多数の旅行者(がきっと多かっただろう)がその時はまるで目に入らなかった。
以前社員旅行でベトナムのハノイに行った際に、羽田空港の国際線を利用しているので、さほど違いはないだろうにも関わらず、

これが国際線の出発フロアか。

と、まるで試合前に会場を訪れたオリンピック選手のような感覚へと陥った。(大げさを止めろ!!いや、甲子園を訪れた高校球児でもいいか。いやいや…)

次第に現実味を帯びてきて、行きかう人々が目に付くようになってきた。
慌ただしく動いている人、ぼーっと案内板のようなものを眺めている人、椅子に座ってバッグを抱えて眠っている人、家族、カップル、友人同士、多様な人々が多様な行動をとっているのを見ていると、何故だか全員が旅行熟練者のような気がしてしまい、僕だけがコピーを取ることすらできない新入社員のような気さえしてしてしまった(もう下手くそな例えやめろ!!)


これから僕はどこに向かえばいいのだろう。

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