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【雑短歌】 人生最大の失敗を詠む

 好きな人に「好き!」と言える勇気があれば、後悔の無い人生を送ることができたのだろうか。
 そんな老生の嘆きを嘲笑うかのように、巷間には己の気持ちを直球勝負で言える人が大勢いる。何とも羨ましき限りじゃ。老生には到底真似は出来ない……。

 はじめて恋を知ったのは十四歳の春。片想いの相手は同じクラスの笑顔の素敵な女の娘。毎日、あの娘の笑顔を見ているだけで幸福だった。
 だから、あの娘にホンのちょっと声を掛けられただけで、老生の脳内は照れと喜びとその他諸々の感情がゴチャ混ぜとなって、ついつい「君のことなんか興味ないヨ」的な硬派(モドキ)の態度を取ってしまう。なんともはや。
 これは自分の恋心に素直になれなかった少年時代の失敗。人生最大の失敗。後悔を籠めて詠む一首。

  好きな娘の声に背を向け帰り道
   嬉しさ隠し天知を気取る

 (すきなこのこえにせをむけかえりみち
   うれしさかくしニヒルをきどる)

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