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どんないいことも、たのしいことも過ぎてしまえばかえってこない。でもそれは


寝られなくなってしまうほどの大きな風の音と、ときおり揺れる家。この激しい台風がさらっていってくれたら、ようやく、今年の夏は終わりだ。(天気予報を見ると、明日は夏のような気温になるらしいが…。)


というのも、参加しているオンラインコミュニティ「旅と写真と文章と」のSUMMERクルーと題された三ヶ月が終わり、明日からはAUTUMNクルーの期に入る。

実際のところ、先ほど日付が変わる前までオンライン上で「もう終わるね」「さみしいね」などとコメントし合っていたのだが、12時を過ぎた頃には静まり、どこからともなく終わってしまった。もう少しくらいお話していてもいいのに。なんだか律儀だなぁ、と笑ってしまう。
でもそういうところが、私の大切に思う仲間たちらしくて、好きだ。
そして今しがたコメントがついていたが、遠く海を越えた、外国に住んでいる仲間たちもいる。


そう、仲間たち。
クルーと呼ばれるオンラインコミュニティに参加している人々と、仲間だとか友達だとか、そんな風に呼び合える関係になってしまった。仕事を一緒にするようになった人までいる。
遠方でなかなか直接は会えない人たちとビデオミーティングをしたり、もちろんオンライン上で言葉を交わすだけの人も。それでも私たちは仲間だといえる空気感がそこにはある。

どうすればこのコミュニティの心地よさが伝わるのだろうかと、いつも頭を悩ませる。
ただ仲良しなだけでも、仕事に繋げようぜ、なんてぎらりとしているわけでもなく。それでも自分たちのやりたいことをきちんと実現させるパワーを持っている。

どうか伝わってほしいと願うのだけれど、この心地よさを知れるのはクルーの特権でもあるよなぁ、とちょっぴりいじわるなことを思ったりも、する。
勇気を出してインターネットの海に、旅に出た者たちの。
(締切などで入れなかった方とはどこかでお会いできると信じています…!)


どこもかしこも「平成最後の」と意気込んでいた今年の夏。

海外で公演をしたりと仕事面ではとても充実していたし、仕事以外でも積極的に忙しくしていた。

たのしいこと、たくさんしたなぁ。
手帳をぱらぱらと見返してみても、その思い出のほとんどをクルーと過ごしていることに気がつき、驚いた。
コミュニティの中のイベントではなく、友達として会うことも多くなり、私のコンサートにまで足を運んでくれた。(しかも一回限りではなく・・・!いつもありがとう)

あまりにも出来すぎていて夢なのかもしれないなぁと、ときどき思う。大人になっても好きなことにまっすぐで、でもやわらかくやさしい人たちに出会えたなんて。
振り返れば振り返るほど、この夏が終わってしまうのがさみしくてたまらなかった。


そう、さみしがりなのだ、私は。楽しいことがはじまると、決まって終わったあとのことを考えてしまう。

でも、いつもこの言葉、もうそらで言えるほどには頼りにしているこの言葉を思い出して、少し安心する。大好きな江國香織さんの小説の一節。


どんないいことも、たのしいことも、
すぎてしまえば返ってこない。

でもそれは悲しいことじゃないわ
過ぎたことは絶対に変わらないもの。
いつもそこにあるのよ。

過ぎたことだけが、
確実に私たちのものなんだと思うわ。

江國香織「神様のボート」より

(私たちはその名の通り、旅と写真と文章を愛するコミュニティなのだが、私もみんなに触発されて写真を撮るようになってよかったなぁと思う。)


そうだね、一緒に過ごした私たちの夏はたしかに、ある。

秋も続けるという人も、一旦離れるという人も、大切な仲間たち、これからもどうかよい旅を。

まつりに美味しいコーヒーをご馳走してくださいっ