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恋以外を知って、恋に落ちたハナシ

ほんの3日ほど前、私は恋に落ちてしまった。

一日中、頭から離れないのだ。星野源さんのことが。

大ヒットした「恋」をあれほど毎日耳にしていたのに、きっとあの時から恋に落ちた人はごまんといるはずなのに。
今、なんでもないこのタイミングで、仲の良い友達が星野源さんを好きだと言っていたからという簡単な理由で、ふと聴き始めてしまったら最後、いとも簡単に、すとんと落ちた。

もしかしたら彼よりも星野源さんの方に強く想いを寄せているかも知れない、なんて冗談を言えるほどには、好きになってしまっている。

ひとまず、サブスクリプションサービスを開き、1番上に表示された曲を聞いてみる。途中から、あれ?間違って違うアーティストを再生した?と思ったが、2018年に発売されたアルバムのタイトル曲「Pop Virus」だった。

恋やCMで聴いた爽やかな印象とは打って変わり、ゆっくりとしたビートの裏打ちが、重くどっしりと、ちょっとうるさいくらいに響く。聞き進めると、意外にもダンスミュージックのような楽曲も多く、驚いた。

ドラえもんの主題歌「ドラえもん」も衝撃のイントロだった。「星野源」だからこそ為せる、「ダサかっこいい」のギリギリの境界線を攻めている。

楽曲の中では、昔のドラえもんのメロディを引用していたりと芸が細かく、つい何度も何度も聞き込み、そのイントロさえも癖になってしまった。

一枚のアルバムを、あれ、もう終わり?と聞き終えたことは今までにあっただろうか。次はどんな顔を見せてくれるんだろう、と、くるくる変わる表情から目が(正確に言えば耳が)離せなくなった。

彼の持つ、音楽の多様性に圧倒される。曲の一音目から印象的で、ときどきちょっかいをかけてくるような遊び心があって、これからどんな世界を見せてくれるのだろうとわくわくする。

曲がりなりにも私の職業は音楽家なので、音楽は好きなのだが、「J-Pop」という類に深く興味を持って聞いたことはあまりなかった。特にバンド編成のグループは、全部同じような印象を受けてしまうから(と思い込んでいたから)だった。楽器の編成も基本的には変わらないし、よっぽどメロディや歌詞が印象的でないと耳に残らない。

例えば新作EP「Same Thing」はたった4曲の小さな作品だが、豪華なアーティストとコラボしたことを差し引いたとしても、彼の音楽性が凝縮されている。自分が音楽家であるがゆえに、そのあまりの天才さがありありと手にとって分かってしまう。恐れおののき、ひれ伏してしまう。

また、彼の才能は音楽だけにとどまらずに、文筆家としても活動しているそうだ。(まだ好きになったばかりなので、ネットストーカーよろしく、暇を見つけては彼のことをググっている。)

「星野源 歌詞」と検索をかけようとすると、「意味」「意味不明」などと候補にあがってくる。まぁたしかに、「好きです。」とストレートに愛を告白するタイプではないね、彼は。…と知ったかぶってみるが、これからもっともっと、彼の言葉を読み込んで、想像して。もっともっと知りたい。

あぁ、こうやってどんどん彼にのめり込んでいくのだろうか、と思うと、本当に、まるで、恋のようだ。

まつりに美味しいコーヒーをご馳走してくださいっ