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20231126 授業で使える心理学関連の動画コンテンツ充実の希望

 日本のよいところとして「海外の研究の翻訳が多くなされていて自国語で大学教育が可能である」ことをよく耳にします。それはまた海外の研究への追従を生んでいる可能性があるとも思いますが、日本語だけで学んでも海外で学んだと同レベルの研究をすることができる状況というのはありがたいと思います。
 しかしそうした状況は「文字媒体」に限られているように思えて、大学の授業で使えそうな動画コンテンツについては海外には豊富に存在するのに、日本ではなかなかないなあという気がしています。
 例として、私が授業で重宝させていただいている日本行動分析学会の「動画で学ぶ行動分析学」のページをあげさせていただきます。

 条件づけなどは文章で読むよりかは動画で見た方がわかりやすいと思ってここで紹介されている動画を授業で見せるのですが、解説音声はすべて英語なのでなかなか理解できないのが残念だと思います。Youtubeには話されている言葉を自動的に字幕でつける機能があり、かつその字幕はいろいろな言葉に自動翻訳してもらえるので、日本語字幕を自動でつけてくれるのでかなり理解はできるのですが、やはり日本語の解説が音声で流れる方が理解度は格別だろうなあと思います。

 で、上のページでは紹介されていないけれども、いろいろと日本語で似たような動画が開発されているかもしれない!と思ってYoutubeで「条件づけ」という用語で検索してみると…すごいいっぱい動画が存在している!!!

 しかし、ざっと見た限りそのすべてはホワイトボードやスライドに絵をかいて口で説明する「チョーク&トーク」の講義を動画に収めたものであって、上で紹介されているような実際の動物への条件づけの動画などを取り入れたものは見つけることができませんでした。
 
 こうした現象が起きる原因として「日本人は講義スタイルの動画が好き」というのはあるかもしれません。しかし、やはり大きいのは、教員がその教育的な目標を達成するために動画コンテンツを作成できるのを補助できるようなシステムが日本には存在しないというのが大きいような気がします。

 新型コロナで遠隔授業用の教材を作成するときでも、Zoomなどの操作になれPowerpointの音声記録機能を学んで授業動画を作る方法を学ぶだけで自分にとっては精一杯でした。ビデオカメラで素材となる動画を撮影してプレミアで編集してナレーションを吹き込むことができる機材はそろっていましたが、そのための技術を学ぶ余力は自分にはありませんでしたし、仮に技術があってもその素材となる動画を撮影するために時間をつくるのは至難の業だったと思います。
 おそらくこのあたり、何の根拠もない妄想ですが、海外の資金力のある大学などではそのような動画作成をプロに依頼できるような予算などを持っているところがあるのだろうなあと思います。
 
 また、もう一つあるのが「日本のNHKが優秀すぎる」というのもあるかもしれません。NHK総合もNHK教育もすごく完成度が高く授業に活用しやすい動画素材を無数に持っているため、それより劣る動画素材をわざわざ作ることに予算をかけることがしづらくなり動画素材の作成が阻害されているような気がします。
 しかし、NHKは公共放送ではあれ国営放送ではないためそれらの資料を一般の教員が自由に気軽に使うためにはハードルが高く、授業内での使用は結構難しいような気がします。たまたま自分が興味を持ってみていた番組かつ録画をできていた動画をみせたりしますが、そうした動画をパソコンに入れて自由に使うためには著作権の問題があったりしてかなり面倒な気がしますし、そもそも「いい動画に気づいて録画する」のがすごく難しいので実際には活用できていない人がほとんどだと思います。
 このあたり、NHK教育の完全国営化をして管轄を総務省から文部科学省に移したらどうなるのだろう…などと夢物語を考えたりしますがまああり得ませんよね。
 
 規模の大きい大学などでは授業用の動画コンテンツの開発なども支援してくれる部署があるところもあると思いますので、そういうところが作成してくれた動画コンテンツを無料で分けてくれるのを待つのが一番の「現実的な解」かなあと。
 あと、日本心理学会が実験や統計などで「皆に使いやすい教材」の開発に取り組んでくださっていることがあって助かることが多いので、授業でみせやすい動画コンテンツなどを作成してくれるとよいのになあと。

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