レーザー彫刻機を買った話
安価な?民生レーザー彫刻機を買って40日間程、毎日一人でずっと引きこもっていました。導入しました!とは言い難いレベルの結果なので、買いましたという題にしています。
予想よりも出来ない事が多く、膨大な訓練と試行回数が必要でしたが、沢山の事を学ぶことができました。また、日本語のYOUTUBE動画で使えるものは皆無で、英語でも最早職人技のレベルの動画ばかりで、使いこなすことが大変難しい製品です。クオリティの高いモノが出来ている動画は全て、相当な訓練を積んだ人が、上手く出来た部分のみ切り取った編集動画と思って問題ありません。今後、このマシンは使える加工にのみ使い、クオリティに難があったり、時間がかかりすぎる加工は、ばっさり諦める予定です。
・買った理由
キーホルダーなどのグッズを作っている工場を見学する機会があり、その中に業務用レーザー彫刻機があって色々調べていたら欲しくなってしまった。
・買った機材
xTool D1 Pro レーザー彫刻機 20W
xTool D1Pro用1064nm赤外線レーザーヘッド 2W
エアアシスト、回転ロータリー、カバー、ハニカムテーブル
計30万円くらい。
・膨大な量の訓練とテストの結果、出来るようになったこと
①2-3㎜までの薄い木と色付きアクリル・紙の彫刻とカット
⇒カット出来る素材ならば、早く大量に正確なものが作成できる。
②アルマイト加工されたアルミ・コルク・木材への彫刻
⇒ただし、精密なレベルでの正確な場所への印刷は難しい。
一つ一つ目視しながら作った方が無難。
・不満なところ、実用性に乏しいところ
①精密なレベルでの正確な場所への印刷がほぼ不可能。
②ユニットが動いてレーザーを当てる形式なので、速度が遅い。
③都度、テストと調整の手間が必要。
④金属彫刻用の2Wの1064nm赤外線レーザーヘッド を別売りで買ったが、求める精度でのの印字を実現するまでの難易度が高く熟練時間と試行回数が必要。更に印字スピードが遅く、パワーが弱すぎて表面すら削れないアルマイト素材もあった。線のみ、背景無しであれば、数分で出来るが、下記のクオリティで1時間、2センチ四方の彫刻で20分かかる。色付きアクリルの場合、カットは20wユニットで、彫刻は2wのユニットに付け替えてというオペレーションで細かい印字のモノが作れるが、位置合わせの調整し直しとなる。出来ることへの時間・手間・ストレスが膨大。結局20Wユニット1台で彫刻・カットした方が綺麗なモノが早く出来る。(後日、黒アクリルへの2wユニットでの印字は白く綺麗に出るという解説であったが、全く出来なかった為、断念した。)
④回転ローターでのガラスコップと瓶の彫刻をしたが、下準備の手間が大きいことと、彫りが浅い上に、精度が出ない。時々多く彫ってしまって欠ける部分が出てしまう。透明アクリルは綺麗に出来るまでにはなったが、両者とも他のもっと早くて簡単でクオリティの高い結果を出せる手法がある。
・実現できるとはあるが、ハードルが高すぎてテストすらできないこと。
金属への色付き印字
⇒ レーザーの温度と速度の調整で色がつくそうだが、正確な場所に印字することすら難しい上、色の付き方が、部屋の気温やコンディションに左右されるらしく、とてつもない研鑽が必要そう。
結論
この機械の今後の使用用途
①2-3㎜までの薄い木材と色付きアクリル・紙のカット
②上記素材・アルマイト加工されたアルミ・コルク・木材の彫刻
③上記素材・クッキーやパンなどの食品への印字
で使用しようと思います。
④ライトスタンド用の透明アクリルへの薄い彫刻は安定して出来るようになったので迷い中です。ニーズがあって or サンプル用には使えるかな。
出来るが手を引いたほうが良さそうな用途
①アルマイト加工されたタンブラーの印字
⇒ スピードとクオリティに不安が残る。失敗したときのダメージが大きい。
②透明アクリル、ガラス瓶、マグカップの彫刻
⇒ 下準備が多すぎる、他にもっと早くてクオリティの高い結果を出せる手法がある。
③金属の彫刻
⇒ うっすらと残る程度は可能だが、満足できる深さまでは彫刻出来ない。
最後に
簡単に自分の望んだ精度とスピードを出すためには300万円以上でランニングコストが高いマシンが必要そうですが、用途を絞ればある程度の事は実現出来ます。ただ、相当な外国語での調査と訓練が必要です。使いこなすというレベルに行くためには最早オフィシャルサポートは元々無いと思い、全て自分で外国語の資料を調べて解決する気合いが必要そうです。
とはいえ、今回の経験は、今後の業務に必須の時間とコストだったと思います。今、今後の必須業務にマッチした別のレーザーマシンの導入検討を進めています。しかし、YOUTUBEもAIも全然役に立たない種類の事に出会えて、とても嬉しく思っています。
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